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六十四話目




私達は社長室に戻ってきた。癒音ちゃんが後ろからスルリと抜けてきてノックする。癒音ちゃんは宮葉さんのときと同じように、中からの返事を待たずに開けた。癒音ちゃんが中に入って行ったから私達も後に続いた。最初と同じようにソファーに座った。


「・・・なんか空気が重いね?何かあった?」

「癒音ちゃん経由で知ってると思うから言いますけど、このメンバーに女装していることを言いました。したらこの結果ですね」

「それは・・・・・・なんというか、特に空気が重い2人には気の毒ね・・・」

「言ってなかった私が悪いので。まぁここまでになるとは思いませんでしたけどね」

「そうなんだね・・・。大丈夫?次のこと話そうと思ってたんだけど・・・・・・」

「始めてください。気にしなくていいので」

「それはそれでどうかと思うのだけれど・・・」


理音さんと桜空さんは苦笑いして、後ろの亜未ちゃんと由理子ちゃんのことを見ながら私に告げた。


「いいと思いますよ。・・・・・・一応確認しますが。2人は進めて貰って大丈夫なの?それとも・・・」

「だ、大丈夫ですわ」

「・・・問題ないよ。切り替えるから。まだ全然聞きたいことはあるけど、そうも言ってられないからね」


2人は千波弥の問いかけにハッキリと答えた。さっきまでの重い雰囲気はどこへやら。2人はしっかりと理音さん達のことを見て言った。理音さん達はそれを見て頷いた。


「それじゃあ今からは朝、回ってくれた部署を大体1時間くらいの時間で体験して欲しいの。それが終わったら今日はお終い。明日の午前中に受け付けとか残りをやってもらって午後からは・・・今はまだ秘密」

「それじゃあ、宮葉。頼んだよ。いろいろと」

「かしこまりました。それでは皆様、行きましょう」


私達は午前中と同じように宮葉さんの後をついて行く。朝と同じで出てすぐにあるエレベーターに乗って1階に。私達は最初のアクセサリーとかを作っていた部署に向かう。私達は部署の中に入る。すると、最初に説明してくれた牧野さんがこちらに来て声をかけてくれる。


「まずはここですか?」

「えぇ。牧野様。よろしくお願いします」

「任せてください。それじゃあ・・・朝、少しだけ見せた製図部屋の方に行きましょう。ついてきてください」


由理子ちゃんが宮葉さんに聞いた。宮葉さんは肯定してから牧野さんに投げた。牧野さんは私達についてくるように言ってきたので、私達はついていく。大きな機械が置かれてない場所を通り奥の扉にたどり着く。牧野さんが扉を開けて中に入っていく。私達も追って中に入る。1番最後に入った宮葉さんが扉を閉めた。


私達は牧野さんに促されてパソコンが置かれてない席に座る。私達が座ったら牧野さんは、私達の前に紙を置いた。


「これは・・・?」

「そこにペンダントやネックレス、ピアスにイヤリング。リングやブローチなどなど・・・そういうアクセサリー関連をなんでもいいから作って見いや。柄だろうとなんだろうとええで」

「えっ・・・そ、それだけですか・・・・・・?」

「なんや、不安か?」

「す、少し・・・」

「・・・ここの部署は創造性が求められる。ちゅーことは創造できないとこの部署では働けんちゅーことや。もしかしたらアンタらが作ったものが商品化される・・・・・・なんてこともあるやもしれへんな」

「・・・・・・いいんですか?そんなことをして・・・」


千波弥が不安そうに牧野さんに聞いた。多分、会社として学生が作ったものを出していいのかと考えてるんだろう。実際私もそこは不安に思っている。


「多少は変えるかもしれへんが、こっちの奴らがいいと思えばだいたい作られるんや。そこは社長も丸投げしてきとる。やけん、稀にふざけたような商品が出たりするけんな」

「えぇ・・・」


千波弥は困惑した声を出した。


「ま、そういうわけやから思うがままに作ってみい。作れる作れない関係なしにな」

『分かりました』


私達は牧野さんの言葉に返す。私達は返事を返してから早速とばかりにとりかかる。私はペンダントを描く。先はよく見るソリティアにして、宝石はスフェーンかアウイナイト。私の今の意味も込めてのこの宝石。確かここでは主要な宝石は売ってたけどこういうのは見たことがなかった。それもありこの2つの宝石を選択した。


「ほー・・・スフェーンにアウイナイトか」

「分かるんですか?」

「俺はあまり石については分からんが宝石の石言葉は一通り調べたからな。スフェーンが純粋と永久不変。アウイナイトが過去との決別、慰め、励ましだろ」

「・・・その通りです」

「この石を選んだのにも訳があるのか?」

「えぇ・・・まぁ・・・・・・そうですね」


私が牧野さんと話していると、千波弥の視線が私に刺さった。私は一瞬だけ千波弥のことを見た。その一瞬で読み取れたのは私を見る千波弥は哀しい目をしてたってことくらい。


千波弥は私のことをよく知っているから。だから、私がどうしてこの石言葉がつく宝石を選んだのか理解できている。特に永久不変と過去との決別の部分に反応したんだと思う。

過去との決別は今の行けてない状態。永久不変は今の千波弥と零夜との関係性。


「おっ?そっちの嬢ちゃんは花か?」

「そうですわ。私、華道の娘なのでどうせならといった具合です」

「そっち方面は俺たちも手を出してないからな・・・。もしかしたら有り得るかもしれへんな」


隣でそんな会話をしているのを聞きながら、私は千波弥の視線から逃げるように紙に他のアクセサリーを書き始めた。






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