六十三話目
昼食を食べた後は13:30まで休憩時間らしい。理音さんと桜空さんは私達にそう告げて、宮葉さんを連れて社長室に帰っていった。この場は癒音ちゃんに任すとも言っていた。そのため今は癒音ちゃんに連れられて休憩室にいる。私達5人とも時間になるまで自由にしていていいと言われているためこの場所で時間になるまで待機することにした。喉が渇いているだろうということで5人分の飲み物代をくれている。私達はそれぞれ好きなものを買って休憩室のソファーか椅子に座っている。
「このあとのことって誰か知ってる?特に癒音」
「さぁ?そこら辺はお父さん達も教えてくれなかったから」
「予想はできるの?」
「全く。できても自信が無いね。なんとなくこれかな~と思うのはあるけど確証がないし」
「なら仕方ないですわね。私達はどうにか時間を潰す必要がありますね」
「だね。まだスマホがあるぶんマシではあるんだけどね・・・」
私達はそれぞれ話している。私は言い切ったあと机に突っ伏した。そんな私のことをたしなめながら首元を叩いてくる千波弥。私達がそんな状態でいるとこの中で話しかけてくる人が居た。
「あら?さっきの癒音ちゃん達、学生さん達じゃない。あなたたちも休憩中なのかしら?」
「あ、東野さん。そちらも休憩なんですか?」
「えぇ。私達の部署も時間をずらしてね。何人かはあっちに残っているわよ。そうじゃないと発注されたものをトラックに積めないからね」
「なるほど・・・。ところで東野さんはどうして私達に?」
「見かけたから声をかけたの。あとは音坂ちゃんに用事があってね」
東野さんは私の向かいにある椅子を引いてそこに座りながら言う。椅子に座って、コトンと持っていた缶コーヒーを机の上に置いた。そうして私へと向く。彼女は私に何か言おうとしたが、横から亜未ちゃんが東野さんに聞いた。
「東野さん!さっき優月に何か言ってましたけど、あれは何だったんですか?それに優月と同類ってどういうことですか?」
東野さんは急に体を出して聞いてくる亜未ちゃんに対して目をパチパチさせている。私と千波弥、そして癒音ちゃんは同類って意味が分かったから体が凍り付いている。癒音ちゃんと千波弥が私のことを不安そうに見ている。私は目を閉じて少しうつむいて首を横に振る。
「音坂ちゃん、言ってなかったの?」
「え、えぇ・・・まぁ、はい・・・」
「そうねぇ・・・まず最初の質問だけど彼女に聞きたいことがあったのよ。だからそのことを伝えたの。それと2つ目の質問の答えだけど・・・言葉の通りよ?」
「言葉の通り・・・ですか?」
「えぇ。ね、音坂ちゃん。貴方、私とは少し違うけど似たようなものでしょ?」
「・・・・・・何のことですか?」
私は貼り付けた笑顔、こっちでの、女装ならできる笑顔で聞き直す。千波弥と癒音ちゃんが私達のことを不安そうに見ている。2人は私が女装していることを知っているメンバー。だからこそ、亜未ちゃんと由理子ちゃんに対しての接し方で言ってないことに気づいている。だから2人は不安そうに私のことを見ている。多分、心配してくれているんだと思う。けど、私はもう腹をくくった。それにこの際だからもうこのメンバーにはぶちまけていいと思っている。だから東野さんがストレートに聞いてきたら私は否定しない。
「それともはっきり言った方が良いかしら?」
「ですから何のことです?」
「はぁ・・・・・・。貴方、それ女装でしょう?あまりにも上手だったから見間違えたかと思ったけどそうでしょう。違う?」
「「えっ・・・・・・?」」
亜未ちゃんと由理子ちゃんが困惑した声を上げた。千波弥は目を閉じて少しうつむかせた。癒音ちゃんは心配そうな、不安そうな目で私のことを未だに見つめている。
「・・・・・・はぁ・・・そうですよ。その通りです。東野さんの言うとおり私は、いや僕は女装してますよ」
「「えっ・・・!?」」
「2人には黙っててごめん」
「やっぱりね。道理で私を見たときに驚かなかったわけね。そして癒音ちゃんと越智ちゃんは今の反応的に知ってたみたいね?」
「私は少しお父さん達の力を使って・・・」
「私は彼とは幼馴染ですし。それに彼が、優月がこうしている理由も大抵のことは知ってます」
「・・・・・・そうだね。千波弥ともう1人の幼馴染は知ってるね」
「ッ・・・!?」
僕は彼女のことを見る。もうばれたなら隠す必要は無い。僕は千波弥と零夜といるときやこうなったことを知っている人だけいるときにしか見せなくなった顔、しゃべり方に変える。
「優月・・・」
「これが普段の僕。家や千波弥達だけのときにしかしないよ」
「ハイ・・・ライトが無い・・・のですか?」
「そうね・・・。優月は基本のものを無くした。私達はそれを見ていることしかできなかった・・・!」
「どうしてそうなったの・・・?」
「・・・それって今いる?今は職場体験に来てるんだからそれはまた別の機会にして」
僕は冷淡に聞いてきた亜美ちゃんに告げた。僕が亜未ちゃんのことを見たとき少し怯えているように見えた。僕は気にせずに淡々と声の音程を変えずに告げていく。
「・・・・・・みんなこんな空気だけど、そろそろ時間だよ」
「呼ばれてるの?」
「うん。お父さんにね。時間になったら社長室に戻ってこいって」
「そうなのね。それじゃあね、皆。それと・・・音坂ちゃんには申し訳ないわ」
「・・・・・・いえ、問題ないです」
私達はそれぞれ立ち上がってエレベーターの方に歩いて行く。私達の空気は重い。特に亜未ちゃんと由理子ちゃんが。2人には初めて見せたから仕方ないけど。それでいうなら癒音ちゃんがそこまで驚いてなかったのが印象深かったな。
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では次回の話しでお会いしましょう!




