六十一話目
「それじゃあ、ここの説明を始めるわ。その前にワタシは東野。ここの事業部長よ。そして、ここの部署はこの会社の基板の部分よ。ここで皆に質問よ。この会社は最初、何の事業から始めたでしょうか?あ、癒音ちゃんが答えるのはなしよ」
「は~い・・・」
「だれか分かるかしら?」
「確か・・・物流会社からではなかったですか?」
「正解よ。この会社は今、世界まで配送するようになったけど元々は四国のみだったの。それを先代の社長がここまで大きくしたの」
「とはいっても先代社長・・・もとい私のお祖父ちゃんなんだけど。お祖父ちゃんは最初は身内からとっても嫌われてたらしいよ。なんか考えた方が周りと違うって言われてて」
「でも結果、その人がこの会社を大きくしたんだから皮肉なものよね」
彼女はこの会社の歴史について言い始めた。しかも癒音ちゃんもそれに関して話題を広げるから収拾がつかない。私達が声を挟めるわけ無くただただ聞いていると宮葉さんが咳払いをした。
「んんっ!」
「あ、ごめんなさい。この部署についてだったわね」
『お願いします』
「この部署はこの会社の基板。始まりで今でも収益のほとんどを占める部署。そこの扉の先は倉庫になってるわ。そこにいろいろなものがすぐに配送できるように用意されてるわ。・・・・・・皆、中見てみたい?」
私達は頷く。彼女は私達が頷いたのを確認してから私達についてくるように促した。私達は言われたとおり彼女の後ろについて倉庫の中に入っていく。宮葉さんは私達の一番後ろからついてくる。
「ここの中、今見えている範囲のは全部常温保存が可能な商品だけよ。冷凍、冷蔵はまた別の場所よ」
彼女は歩きながら説明してくれる。
「右の棚から家具、家電、電子機器、日用品。美容関連がきて服やアクセサリー関連、常温保存ができる食料品となっているわ」
「どこが多く発注されるんですか?」
「日用品と海外の食品。それに家電や家具が多いわね。やっぱり買って持って帰るとなるとどうしても重さがあるからこっちでよく出るわね。地方によったら変わるはずよ」
「東北だったらカイロとかみたいな感じですか?」
「そうね。他にもこたつとかもあったりするみたいよ」
「そうなんですね」
私は彼女に返す。すると、ちょうど発注されていたのかフォークリフトが動いていて、上の方から荷物を取り出している。
「あら?何か発注されたのかしら?昨日の時点ではあそこをとる必要はないはずなのだけど・・・」
東野さんはフォークリフトを見ながらつぶやいた。彼女はフォークリフトの方に近づき、フォークリフトに乗っている男性に声をかけた。
「どこから発注されたの?それは」
「香川っす。東野さん。まだトラックは出てないんで乗せるために持って行こうかと。今ならどこの県も出て無いっすからね」
「そうね・・・あとでリストに記入しておいてよ?」
「分かってますよ。彼女らは?癒音ちゃんもいますけど・・・」
「言ったでしょ?今日は体験に来る子達が来るって。癒音ちゃんが選んだメンバーが」
「そういやそうでしたね。まぁ、東野さんが案内してるなら安心っすね」
「・・・他なら不安みたいな言い方ね?」
「それぞれの部長を見てくださいよ。案内できると思いますか?」
「・・・・・・無理ね」
「つまりはそういうことっす」
「痛いほど理解したわ」
「あぁ、それとちょうど今は冷凍の方も動いてますしちょうど良いんじゃないですか?」
彼女は頷いて、私達のことを冷蔵・冷凍の方に案内してくれる。私達は重厚な扉を開けて中に入る。中に入ると一気に冷気が体に当たり、ブルッと震えた。癒音ちゃんと東野さんも私達と同じで薄着なのにそこまで寒いようには見えない。平然と立っている。
「ここに常温保存ができない食品をまとめてるの。冷凍食品もそうだけど、業務用のアイスだったりゼリー。他にも海外のアイスとかもあるわ」
「そうだね。他にも果物とか飲み物もあるね。・・・・・・みんな、大丈夫?」
「ぜ、全然大丈夫ないわよ・・・!!こんな寒い中、半袖でよくおれるわね!?」
「あ、アハハ・・・。慣れてるからね・・・。たまにここの会社に私も璃空も来てるから・・・」
「でも皆は寒そうね。早いところ出ましょうか」
「お、お願いします・・・!!」
私達は冷蔵・冷凍庫から出て最初に入ってきた事務室であろうに戻ってきた。その中にある来賓用に置かれていたソファーに上着をかけてもらって座っている。私達4人はまだ寒さが残る中、癒音ちゃんは何事もなかったように平然としていた。東野さんと宮葉さんがホットコーヒーを持ってきて私達の前に置いた。
「大丈夫?コーヒー入れてきたから少しはマシになるはずよ」
「あ、ありがとうございます・・・」
私達は受け取って飲む。亜未ちゃんと千波弥が口をつけ、「あつっ!」と言った。2人は猫舌なのにすぐに飲むからこうなるんだよ。私と癒音ちゃん、由理子ちゃんは普通に飲む。体に染み渡って温かい。
「そういえばそろそろお昼寝。宮葉さん、彼女たちはこのあとどうなっているのかしら?」
「理音様達の元に一度戻るようになっています。その後、7人で食堂に向かうことになっております」
「そうなのね。それじゃあそれを飲んだら戻りなさい。明日から一緒になるかもしれないし、そうなった場合はよろしくね」
『はい!』
私達は彼女に返事を返す。私達はコーヒーを飲みきった後、この部屋を出る。その後は宮葉さんの後をついて行って最初に理音さん達と会った部屋に向かって進み始めた。




