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五十七話目





璃空ちゃんの入部届けを伶奈先生に届けた週の金曜日。私は教室で、天文部の皆が私の席に集まって話している。


「この際だから気になってること聞くんだけど、全員どこの職種とか業種のつきたいとかあるのか?」


話していたら藤宮くんが私達全員に聞いてきた。私達はそれぞれ答えていく。


「私はお父様の、家のことを継ぐのでつきたいとかはあまりないですね。他の皆さんはどうなのですか?」

「俺も多分、母さんの後を継ぐことになるからこの学校にって感じだと思う」

「俺は技術職の何かにつけたらとは考えてるな。自分は営業マンとかよりも技術で体を動かしたいってのもあるしな」


最初に親の家業を引き継ぐために今も色々と動いている由理子ちゃんと零夜が答えた。そこへ追うようにして橋本くんが答えた。


「私はアレかな。服かアクセ関係の仕事に着きたいな」

「あれ?小説の方はいいの?現役高校生作家さん?」

「その肩書きで私のことを呼ばないでよ。それにそっちは副業でやる方が私にとって楽だからね」

「なるほどね。ちなみに僕は特にこれといってないかな。無難に1部上場企業に就職できたら程度にしか今は考えてないよ。優月は?」

「・・・皆、ちゃんと考えてて凄いなぁ・・・。私は今のところどこかに就きたいとかはないし。ちゃんと将来設計できてる皆が凄いよ」


私は皆のことを眩しいなと思いながら聞いていた。私は自分がよく分からないからどこに就きたいのかなんて全く決めてない。それに、私は“今”を生きるのに精一杯だから未来を考えられない。想像できないってのもあるけどね。


私達が将来のことについて話し合っている、このタイミングで教室の扉が開かれた。私達を含めて教室にいた生徒が開かれた扉の方に視線を向けた。入ってきたのは私達の担任教師。彼は手にファイルを持った状態で教卓へと向かっていく。


「それじゃ、説明はじめっぞー。全員席に着けー」


そんなゆったりとした感じでHR兼説明が始まった。それぞれ席を立っていた皆は自分の席に戻っていき席につく。全員が席に着いたのを確認して説明を始めた。


「前期期末試験の試験週間前にこの学年は職場体験がある。クラスは問わず最大5人までのグループを組んで、高等部2年の担任又は副担任の教師に紙を書いて提出しろ。その後、行きたい職場の候補の紙も書いて提出しろ。あまりにも同じ場所に多かったらこっちで態度とかを考えて決めるけどな。職場先に関してはこれからプリントを配る」


先生はそう言って右端の列からプリントを配り始める。先頭で配られた紙を受け取った生徒は後ろに回していく。


私達も配られたプリントを受け取ってその中に書かれてある企業の名前を見る。そこにはここの市に住んでいたら必ず聞いたことあるような企業の名前が多い。見てみると私の通学中に見る会社の名前もある。


「期限はグループの最終締切は来週の金曜日。職場の最終は再来週の水曜日だから忘れないようにな。ちなみにグループが決まらなかったやつはこっちで勝手に決めるからな。そこんとこ理解しとけよ」


私達は頷く。それを見た先生は縦に2、3度首を振り、もう2枚プリントを配ってきた。私達が全員それを受け取ったことを確認したら先生は教室から出ていった。


私はそれを見て立ち上がる。なんとなく誰かがやって来そうな予感があるけど気にせずに廊下に出る。すると横から足音が聞こえたので私はそっちを見てみる。横を見てみるとこっちに歩いてやってきている癒音ちゃんと千波弥がいた。


「2人もHRで説明されたの?」

「えぇ。説明されたら癒音がすぐにみんなの元に行くって言って聞かなくて・・・」

「えっと・・・お疲れ様?」


私は千波弥に言う。千波弥は苦笑いで答えて、私は癒音ちゃんのことを見る。


「で、癒音ちゃんはどうして私達の元に・・・?」


私が不思議に思って聞くとさっきまでの笑顔はどこへ。彼女は周りをキョロキョロと見渡して私に顔を近づけて、声を潜めて伝えてくる。


「ちょっとここだと人が多いから部室で。ちゃんと説明するから」

「今日も部室に行く予定だったからいいけど・・・分かったよ。ちなみに男子は今日、運動部の方だからこないよ」

「多分問題ないから別にいいよ」


癒音ちゃんは私にそう告げてくる。私達は5人で天文部の部室に向かう。ここの一般棟から出て特別棟へ。私達は部室の前まで来て、私が鍵を取り出して部室を開ける。私が中に入ってからみんなも入って、最後に入った亜未ちゃんが扉を閉めた。


「どうしてわざわざ私達のクラスの元まで来たの?それなりに理由があるんだよね?」

「うん。なんて言えばいいかな・・・皆はある程度皆は職場先の紙でどこがあるか確認した?」


癒音ちゃんはここにいる私を含めた5人に問いかけた。私達は見てある程度知ったから頷く。癒音ちゃんはそれを見て教室の廊下側のカーテンを閉めた。私達は不思議に思いながらも癒音ちゃんへ次の言葉を促した。


「その・・・ね?これは信用してる皆にだから言うんだけど・・・。他言無用でお願いしたいことでもあるから・・・その、皆聞いてもらってもいいかな?」

「私は別にいいけど・・・皆は?」


私がみんなに聞くと再度皆は頷いて了承する。癒音ちゃんはそれを見てホッと安堵したような顔を見せた。


「実はね、お父さんから私が選んだ何人かなら職場先に来ていいって・・・」


私達は一拍置いてから驚きの声を上げた。癒音ちゃんの家のことは知ってる。日本でも数少ない大企業に当てはまる家。彼女がそこの実の娘で本当のお嬢様だってことは。今まで、そこの会社は基本的にインターンや職場体験を受け入れてなかった。けど、今回だけまるで特別かのような言い方で癒音ちゃんは告げた。


「そ、それはここの5人でグループを作ってあの会社の本社に行くってことですか・・・?」

「うん・・・。正直に言うと急にこんなこと言って悪いとは思ってるけど皆なら良いって私も思ってるからこうやってみんなに言ってるの」


彼女はここにいる私達にそう言ってきた。私達は顔を見合わせる。それぞれ少なからず驚いていて、癒音ちゃんのことを改めて見る。そしてまた顔を見合せて、皆頷く。


「その話乗らせてもらうよ、癒音。みんなも問題ないよね?」


今度は亜未ちゃんが癒音ちゃんに伝えて私達に聞いた。それに対しての私達の答えはもちろん賛成の意。


「そ、それと申し訳ないんだけどこのことはまだ蒼乃くん達までなら伝えていいけどほかのクラスメイトとかには伝えないで。行く人は私に一任されてるけど、この事を全て知ってるのは理事長と私のお父さんだけだから」

「皆、聞いたね?癒音があぁ言ったんだから私達は公言したらダメだからね」


千波弥の言葉に私達は深く頷く。癒音ちゃんはそれを見てまた安堵して私達の近くにくる。


「それじゃあもう書こっか。班員としての名前を」

「そうね」


私達は次々とつい先程配布された紙に自分達の名前を記入していった。








本日も数あるWeb小説の中から私の作品を読んでくれてありがとうございます!これからも週2投稿を掲げて頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします!




よろしければ是非、下の評価マークを☆☆☆☆☆➞★★★★★にしてください!




では次回の話しでお会いしましょう!

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