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五十五話目






「・・・全くもう・・・・・・。急にされると驚くからね?優月ちゃん」

「と言いながらもしっかり受け止めてくれたじゃないですか」


私達は曲が流れ切り、最後の退場のコールがされるまでの間で話し合っている。私は終わりかけのタイミングで詩雨先輩に抱きついてからそのまま。


「そうだけど流石に驚くの。優月ちゃんだってされたら驚くでしょ?」

「・・・そもそも力が全くと言っていいほどないのでそんな状況に陥ることがないのです。とはいえ、零夜くんや千波弥ちゃん以外だったら驚きますけど2人ならそこまでってところです」

「・・・・・・零夜くんと千波弥ちゃんは例外なんだね」

「まぁ、幼馴染ですし。2人が私の事を分かってるように私も2人のことはある程度分かるので」


私は詩雨先輩に抱きついている状態で、先輩の耳元で話しながら言う。その度に詩雨先輩がくすぐったそうにしている。


「というかそろそろ降りて」

「は〜い」


私は手を離し、重力に従って地面に落ちる。両足をついてしっかりと地面に着地する。私は少しその場でピョンピョンと飛んで詩雨先輩のことを見る。


「詩雨先輩はこの後どうするんですか?」

「私は自分のクラスで固まってるところに向かうよ。優月ちゃんは・・・文化部のリレーのトロフィーを受け取る必要があるけどどこにいるつもりなの?」

「日陰のあるテントの下にでもいますよ。暑いの嫌ですし」

「みんなの所には行かないんだね」

「考えはしましたけどどうせ零夜くんあたりは私のところに来ますから」


私達は退場の放送がなってからグラウンドの外に向かいつつ話し合っている。私はテントの方を見ながら、詩雨先輩はクラスメイトが固まっているところを探しながら。


「信用してるんだね」

「違います、腐れ縁です」

「でもちゃんと来るって思ってるんでしょ?」

「・・・まぁ、はい」

「そっかそっか。・・・あっと・・・私、見つけたから行くね。それじゃあね、優月ちゃん」

「はい、お疲れ様でした。詩雨先輩」

「優月ちゃんもね!」


詩雨先輩は私に手を振りながら、先輩達のクラスで固まっている方に走っていった。私も手を振り返しながら日陰になっているテントの中に入る。


私は日陰に入って地べたに腰をおろした。グラウンドの方では役員の学生が開会式の時に置いていた真ん中の所に台座を持って行っている。


その様子を私は見届けていると、頭へ急にタオルが掛かってきた。私は誰かは分からないけど多分合っているであろう人物の名前を呼んだ。


「零夜くん?」


私がそう聞くと今度は誰かに頭にかかったタオルごと髪をワシャワシャされた。私は驚きながらも抵抗せずにされるがままにされる。


「はぁ・・・少しは抵抗したらどうなの?優月」


私はタオルを膝の元に落として、視界が開けたタイミングで誰が私の元にやってきたのかを確認する。目の前にいたのは幼馴染の二人。


「やっぱり来たんだね。頭をワシャワシャしてきたのは千波弥?」

「いいえ、違うわよ。やったのは・・・」

「アタシだよ、優月」


私は咄嗟に後ろを振り返る。後ろから声をかけてやってきた犯人は優月のお姉さんの美玲さん。私はジト目で彼女のことを見ると彼女は笑いながら謝ってくる。


「別にいいですけど・・・。ただでさえたまに千波弥ちゃんにもやられたりするし。ね、千波弥ちゃん?」

「優月の髪質が悪い」

「開き直らないでよ!?」


私が千波弥のこともジト目で見て言うと千波弥は開き直った。私はそのことについて驚きつつも返す。


「とは言ってもお前、千波弥以外にも時雨や天音とかにも触られてるだろ」

「・・・・・・黙秘権を行使します!」


私は零夜から顔を逸らしながら零夜達に言う。黙秘権またはノーコメント。私はこれによりほとんど肯定したようなもの。だから、いつの間にか零夜達の隣に来ていた美玲さんがニヤニヤして私のことを見ている。


「愛されてるみたいだね〜」

「・・・否定はしません。が、愛玩動物のような扱いは不当に思ってます。」

「こう言ってるけど千波弥。実際どう思ってるの?」

「優月には悪いけど由理子や水雫はそう思う時があるみたいよ」

「えっ・・・・・・」


私は千波弥の言葉に驚愕する。確かに由理子ちゃんや後輩の水雫ちゃんにもされることはあるけどそんなこと思われてたの・・・!?


そんなことを話しているうちにいつの間にかグラウンドの準備も終えて台座の上に結果を告げる学生が立っていた。それと同時に発表され始める結果。


『まずは各学年の最優秀賞、優秀賞です。先に各学年優秀賞の発表を行います。1-1、2-3、3-4、4-1、5-4、6-1です。続きまして最優秀賞の発表です。1-3、2-4、3-2、4-2、5-3、6-3でした』


「やっぱり私達の学年は2、4の順だったね」

「順当でしょう。団体戦ではここの2組がワンツーを決めてたのだから」

「だな。次は・・・色別の結果か」


零夜が言った通り次は縦の色別の結果になる。この結果だと3組4組になるかな?最優秀賞と優秀賞の数的に。


『色別対抗の優秀賞は4組、最優秀賞は3組です』


グラウンド全体にやっぱりかといったような雰囲気が流れる。唯一2組から驚いたような雰囲気が流れていた。まぁ、2組は最優秀賞を2クラスも取ってたから仕方ないね。


『残りはまとめていきます。中等部VS高等部は高等部の勝利。紅VS白は1組3組の紅組の勝利です』


これを聞いた中等部の方からは納得の雰囲気が流れていた。近くにいた中等部の子達の話を盗み聞きしたら私と癒音ちゃんの勝負を見てたかららしい。私は内心不思議に思った。


紅白の方ではただでさえ3組が3つも最優秀賞をとったから仕方ないとはなった。ここまでどっかのクラスに偏ったことはなかったから私達も聞いた時は驚いた。


『今呼ばれたクラスの代表生徒は前に出てきてください。また、部活動対抗リレーで勝った天文部と陸上部の部長も前に出てきてください』


私はそれを聞いて立ち上がる。タオルは千波弥に手渡してグラウンドに出ていった。私達は台座の前に整列する。順々に理事長兼校長の夜宵さんからトロフィーを渡されていく。最後は私達部活動のみだ。私は夜宵さんの前に立つ。


『学校開校以来、史上初の文化部2連覇です。おめでとうございます』

「ありがとうございます」


私は夜宵さんからトロフィーを受け取る。その後陸上部も受け取って、夜宵さんは後ろを振り向くように言う。私達は言われた通り振り向く。


『これにて体育大会を終わります。皆様お疲れ様でした!保護者の方々も含め皆様安全にお帰りください』


私は千波弥達がいるテントに戻っていく。私は戻ったところでトロフィーを零夜にパスする。


「零夜くん、重いからあとお願い」

「はいはい」


私は千波弥からタオルを受け取って首にまく。それから私達はこのトロフィーを部室に置くために校舎の方に向かって行った。







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