五十三話目
―――ピッ!・・・ガコンッ!
私は自販機でカフェオレのボタンを押す。落ちてきた音を聞いてから私はしゃがみ込んで自販機から買ったカフェオレを取り出す。私は喉が渇いていたため、少し離れた場所で背中を壁に預けてキャップを開ける。私はキャップを開けた後、口につけてペットボトルを傾ける。口に入れて喉を潤す。私が飲んでいると急に声をかけられた。
「優月先輩?」
「んっ・・・んっ・・・ゴクッ・・・。水雫ちゃん?」
「わざわざ校舎まで来てどうしたんですか?」
「それはこっちのセリフ。私は見ての通り飲み物を買いにきただけ。改めて聞くけどそっちは?」
私はカフェオレを下ろしてキャップを閉めながらやってきた彼女に声をかける。キャップを閉めた後、私はカフェオレを水雫ちゃんに見せるようにペットボトルを揺らす。私はこっちに来る必要が無い水雫ちゃんがやってきた理由を彼女に聞く。
「私もそうですね。優月先輩のそれは・・・カフェオレですか?」
「そうだよ。私はスポドリの何かを買おうと思ってます」
水雫ちゃんは自販機の前に立って売られている飲み物を見始める。とはいえ、水雫ちゃんが重点的に見ているのは三段あるうちの一番上の上段。スポドリとかが並んでいるのは上段に多いから。中段にはコーヒー関連が多く、一番下の下段にはジュース関連が多い。まれに下段のところに量は少ないけど果汁入りのスポドリがあったりする。
水雫ちゃんは何を買うか決めたようで財布から小銭を取り出した。水雫ちゃんは小銭を自販機に入れて上段のボタンを押した。ピッと音が鳴り、落ちてきた音がする。水雫ちゃんはしゃがんで取り出す。彼女が買ったのは運動時によく飲まれると思うアクエリアス。
「アクエリにしたんだ」
「残りの種目も少なかったのでジュースとかでもいいとも考えましたけどこれの方がいいと思ったので。優月先輩達はもう出るプログラムがなかったですよね?」
「あ~・・・と、それねぇ~・・・」
「歯切れが悪いですね。何かあったんですか?」
歯切れが悪い私のことを見て水雫ちゃんが不思議そうに見てくる。私は別に隠すことじゃないからいいかと思って水雫ちゃんに教える。
「体育大会最後の種目って覚えてる?」
「確か中等部3年のダンスの次でしたから・・・高等部3年のダンスですよね?詩雨先輩が出る・・・」
「そう、それなんだけど・・・」
私が苦笑いしながら言い淀んでいると勘のいい水雫ちゃんは察したようで驚いた顔をしてから私のことを指差した。
「多分水雫ちゃんの思っているとおりだよ」
「ってことは優月先輩、誰かのダンスのパートナーとして・・・!?」
「うん。詩雨先輩のパートナーとしてね」
「いや、確かに後輩でも良いですし、同性でも良かったですけど・・・・・・。まさか両方を一気にとるようなことをするとは思いませんよ・・・」
「うん、私も思った」
私も詩雨先輩に最初言われたときは水雫ちゃんと同じ思いを抱いていた。後輩でも良かったし同性でも良いとはなっていたけど、私も誘われるとは思って無かったからね。正直、詩雨先輩から言われたときはとても驚いた。
「優月先輩だけですか?そうなると」
「多分?せいぜいその前にある運動部の代表リレーに零夜が出るか出ないか暗いじゃ内意かな?」
「あ~・・・そういえば零夜先輩達、兼部してましたね・・・。そう言われたら零夜先輩ならあり得そうですね。普通に早かったですし」
「そうそう。でもホントそれくらいだよ。それが終わったら、そのまま結果発表と閉会式だからね」
私と水雫ちゃんは自販機の近くに置いてあるベンチに座って話している。互いに時々買った飲み物を飲みながら話し合っている。
「ちなみに勝ってると思いますか?自分のクラスが」
「勝ってると思うよ。団体戦は基本一位だったからね。個人戦がダメだったとしても大丈夫だと思ってるから」
「そうなんですね。そういえば話が変わるんですけど先輩はこの学校を卒業した後、進学と就職のどっちを考えて居るんですか?」
「私は進学しようかなって考えてるよ。まだ方向性は決めてないけど。早いと思うけど水雫ちゃんは?」
「私も進学ですね。聞いておいてなんですけど就職する人ってあまりいないと思ってるんですけどどう思いますか?」
「私もそうだね。あまり就職は聞かないね。それこそ親の会社とかを継ぐとかじゃないとないんじゃ・・・」
「でも最近は高卒で就職とかも聞きません?だから意外といると思うんですが」
「確かに聞くけどなんとも言えないっていうのが私の思いかな」
私は水雫ちゃんの言うことにも一理あると思いながらも自分の考えを伝える。
「さてと、そろそろ私達も戻ろっか」
「そうですね。結構話してましたからね」
私達は立ち上がってそれぞれの家族の元に戻る。私の場合家族じゃなくて幼馴染の場所になるけど。




