五十二話目
私達が戻ってくると、地面にレジャーシートを敷いてその上に座っている駿人さんと麻波さん、零翔さんが居た。紫水ちゃんは麻波さんの膝の上に頭を置いてスマホを触っていた。これも時代なのかな・・・。家はまだ母さん達が生きていた小学生時代はスマホ買ってもらえなかったからね~。多分両親が生きていたらきっと中学生までは買ってもらえなかっただろうからね。
両親が亡くなってから、虐められるようになってからは零翔さん達の力を借りて早めにスマホを買ったんだよね。虐めの証拠を押さえるために。教師は、学校は行っても動かなかったから校則違反だったけど持ってきて証拠を押さえた。そしてしかるべきところに提出した。だから少し感慨深い。悪い意味でだけど。
「あら?話は終わったの?その雰囲気からして何かあったのは分かるけど」
「・・・・・・少し優月から聞きまして・・・。サプリの頻度が多い理由を」
「・・・言ったんだね、優月」
「えぇ、まぁ」
「・・・父さん、知ってたのか?」
「まぁね。相談されてたし提案したのは僕だからね」
零翔さんから提案されたことを、零翔さんから言われて驚いた。てっきり言わないものだと思ってたから。零夜達は零翔さんから提案したことに驚いている。特に零夜は家族だから知っているため零翔さんが提案したことにより一層驚いている。私も初めて相談したときは零翔さんからこんな提案されるとは思って無かった。
「これは優月ちゃんの心の傷だから過度に干渉しすぎてはダメよ。誰であってもね」
麻波さんが自分の娘二人と零夜に向けて言う。私からしたらありがたいけど・・・。トラウマに踏み込んで来ないだけで十分だし、皆心配だから言ってくれてただけだから正直そう言われるだけでもとてもありがたい。
「まぁ触れてこないだけでもありがたいんですけどね。それに三人は心配で言ってくれてますからもう・・・ね・・・・・・。心配してくれる相手がいるだけで十分恵まれていますから」
「そう?なら私が言うことはないわ」
「特に千波弥ちゃんと零夜くんは同じ学年で同じ部活、幼馴染だからあまり気まずい関係にはなりたくないからね」
「「・・・そう(か)」」
「デレた」
「「デレてない!!」」
私が千波弥と零夜に言うと二人はそれぞれ顔を逸らした。だから私はツッコむと、二人は全く同じ言葉で否定してきた。それを見ていた美玲さんが私のとなりで吹いた。そして耐えきれずといった風に笑い出した。
「ど、どうしたんですか?」
「ううん、ただ3人の関係性が何も変わってないって思ってね」
私は首を傾げる。そんな私の様子を見た美玲さんは笑いを止めて私達3人と向き合った。
「3人って小学生の時からそれぞれが絡んでは絡んでない1人が何かしら言葉を言う。そして絡んでる2人が全く同じ言葉か似たような言葉を口にしてるの。気づいてない?」
「言われてみれば確かに・・・」
「だから3人は何も変わらないよきっと。誰かが付き合っても多分そんな関係性なんだろうね」
「そうだったらいいですね」
私は美玲さんの言葉にそう答えた。だけど少し不安なこともある。私自身こんな関係性を、2人に依存していると思っているからコソの不安。このままの関係性で不変を求めるのか、私が2人から離れて自立できるように変化を求めるべきなのか。私はこの関係性がずっと続くとは思えないから少しでも自立していかないといけない。
この甘いに甘えている関係性は私はやめるべきだと思っている。きっといつか必ず私が2人の負担になると思うから。だからどうにかして過去にすがるのを、引きずるのをやめないといけない。少なくとも高校生を卒業する頃には2人におんぶに抱っこ状態はやめる。じゃないといつかきっとわたしが2人の枷になると思うから。
そんなことを私が頭の中で考えていると私達の後ろから声が聞こえた。後ろを振り返ると、この学校の理事長で零夜のお母さんである夜宵さんがいた。どうやら夜宵さんも私達と食べるみたい。レジャーシートの上にはいつの間に置いたのやら、いろいろと置かれていた。オードブルのようなものが真ん中に置かれており、麻波さんが私達に座るように促してくる。
零夜と千波弥、美玲さんはレジャーシートに座った。いつの間にか夜宵さんも座っている。私にも座るように促してくるけど私は断って横にある石垣の上に座る。あんまし地ベタに座ることをしたくないし、そもそも私はオードブルを食べる気がないから余計に座ろうとは思えない。
私はポケットからさっき自販機で買ったカロリーメイトを取り出す。正直、今日はあまりいらない。だから、そのオードブルを食べる気がわかない。カロリーメイトならまだ食べれるから買っただけであって私はご飯自体はもうどうでもいい。
グラウンドからは吹奏楽部が吹いているであろう曲が流れてきている。私はそれをBGMにしてカロリーメイトを食べ進める。
「優月はまたカロリーメイトだけ?」
「・・・昼はそこまで入らないから」
「お前に関しては朝昼晩関係ないだろうが。それはただただ飯の量を減らしたからそうなただけだろ」
「うっさい」
「図星ね」
私はカロリーメイトの食べ進める速度を速める。せめてもの抵抗として。私はカロリーメイトを食べ終えると持ってきた飲み物を手に取る。飲もうと思って中を見たけど、中は空。私は肩をすくめて石垣から飛び降りる。体操服のお尻のところをパンパンとはたいて空になったペットボトルをもって動こうとする。すると、零夜に呼び止められた。
「どこに行くつもりだ?」
「飲み物を買いに行くだけだけど?いつの間にか空になってたみたいだし」
「そうか・・・」
私は零夜に空になったペットボトルを見せながら言う。零夜はそれを見て理解したようでそれ以上は何も言ってこなくなった。私はそんな零夜を不思議に思いながら校舎の自販機があるところに向かって歩き始めた。




