四十七話目
私は入場門の近くに固まっている同学年の皆から少し離れたところで目を瞑ってプログラムを呼ばれるのを待っている。背中は壁に預けているため倒れることはない。
そうしていると、急に肩を叩かれた。私は目を開く。目を開いたら視界いっぱいに広がる亜未ちゃんの顔。私は驚いて目を見開く。
「あ、亜未ちゃん・・・?」
「・・・良かった!中々目を開けないから立ったまま寝ちゃってるんだと思ったよ」
「流石に寝ないよ??」
私が目を開けたことを確認した亜未ちゃんは私から体を引いた。目いっぱいに映っていた亜未ちゃんが離れてくれたことにより周りの様子を見る。
亜未ちゃんの後ろに由理子ちゃんが少し苦笑いしながら私達のことを見ていた。他にも天文部2年の皆が私の方を見ていた。
幼馴染の零夜と千波弥はあからさまに呆れていて、癒音ちゃんは苦笑。橋本くんと藤宮くんは少し不安のような、心配するような目を向けてきている。
「そろそろ?」
「あぁ。中等部1年がさっき退場門の方から出ていったからな」
「りょーかいっ」
亜未ちゃんの斜め後ろから零夜が教えてくれた。私はそれに答えて、預けていた背中を壁から離してトンッと立つ。
「おととっ・・・」
「全く・・・気をつけてください、優月ちゃん」
「あ、ありがとう由理子ちゃん」
私は立ち上がったけど少しフラついた。そこへいつの間にか近づいていた由理子ちゃんが私の腕をとって支えてくれた。私は彼女に礼を伝える。私は改めてしっかりと立つ。
さっき言われたことは・・・零夜と千波弥には特に知られてはダメだから顔に出したらいけない。多分、今のところ2人は気づいてないからこのまま隠し通す。
そうしていると、次の私達のプログラムが呼ばれた。私達は前の、入場門の近くにいた集団の後を追ってグラウンドに出て行く。
私達はグラウンドに向かい合って整列する。私達のクラスの相手は癒音ちゃん達のクラス。男女で別れて4部構成で行うことになっている。
まず先に男女1回ずつ、前半の分を行う。だから私達は待機しながら応援と作戦を立てる。その次に後半の2回分をやるんだけど、その間に一回目の反省を含めて次の作戦を練る。
笛と旗を持った学生と、それぞれの玉入れの篭を抑える役目の学生がグラウンド内に入ってきた。その人達が配置についたところで、笛を口にくわえてる人が旗を上にあげる。そして、笛を鳴らしながら旗を勢いよく振り下ろした。
それと同時に男子が一斉に篭の方に寄っていった。その中から各クラス2人が妨害用の棒を持って相手の篭の方に向かう。妨害用の道具は先が大きい手のようなもので、下が持ちやすいように棒状になっている。
「基本的にこの間にどれだけ入れれるかが勝負ですね」
「そうだね。向こうの妨害者がやってくる前にたくさん入れれたら余裕はできるよね」
「だから3人も投げ入れてるわけだけど。ちょうど入ったね」
私達は同じ天文部の零夜達3人に注目して見ている。隣のクラスはあまり気にしていない。そこまで親しい友達がいるわけじゃないから。
そうしているうちにお互いの妨害者が、相手の陣営にたどり着き妨害を始めた。やっぱりと言うべきか妨害が入り始めると中々入らなくなっている。
「入らないね〜」
「まぁ、妨害するもの自体が大きいですからね。仕方ないとは思いますよ」
「でも全く入らないってわけでもなさそうだよね」
私達は篭に向かっていくボールを目で追いながら言い合う。でも、入っているとはいえ5、6回に1個ほど。すると、グラウンドに笛の音が鳴り響いた。
その笛の音で男子は投げるのをやめて、最初に整列した場所に戻ってくる。私達は零夜達に声をかける。
「お疲れ様です」
「3人ともお疲れ〜」
「お疲れ様。手応えは?」
「まぁ比較的入ったなって感じだ」
私の疑問に橋本くんが答えた。私達は他のクラスの篭も見る。各クラスの篭を見たら橋本くんの言うことも分かる。確かに他のクラスよりかは多く入ってるようには見える。
「それでも負けてるかもしれないけどね」
「その時はその時じゃないですか?」
「それはそうだ」
零夜達は腰を下ろしながら私達と話す。各クラスの男子、妨害者も含めて全員が座ったところで役員の学生が篭の中から外に投げながら数える。
数え終えた役員から放送委員の方に向かって行ってる。各クラスから伝えられたあと、今の結果が放送された。
私達のクラスは1位。数が多く見えたけど、その通りだったみたい。




