三十一話目
私と水雫ちゃんは1着でゴールした後、退場門からグラウンドを抜ける。私達はグラウンドから抜けたあと、並んで一緒にみんなの元に戻ってる。
途中に零夜達がいる運動部の近くを通った。その時に零夜に声をかけられた。
「2人ともお疲れ」
「うん。ちゃんと水雫ちゃんの活躍見てた?」
「当たり前だろ」
「零夜先輩、零夜先輩!・・・イェーイ!」
私と零夜が話しているのを見て水雫ちゃんが零夜のことを呼ぶ。零夜は水雫ちゃんに呼ばれて、水雫ちゃんの方を見る。
水雫ちゃんは片手をあげて待っていた。零夜はどうしたいか分かったみたいで、水雫ちゃんと同じように手を挙げた。水雫ちゃんはそれを見て喜びの声をあげながら手をあてる。
───パァーンッ!
水雫ちゃんと零夜の手が当たっていい音が鳴る。
「おめでと」
「はい!そういえば、次が各クラス代表リレーですけど先輩達は誰か出るんですか?」
「私は出ないよ。けど・・・」
「コイツなら出る」
「光樹先輩。零夜先輩だけですか?」
水雫ちゃんに聞かれて私が言おうとしたら、横から遮られて先に言われた。言ったのは藤宮くん。藤宮くんは零夜に肩をかけて指を指しながら言った。
「零夜が俺達の中でも特に早いのもあるからな」
橋本くんも入ってくる。橋本くんはちらりと私のことを見て水雫ちゃんの方に向き直る。
「音坂は女子にしては早かったけど、部活の方とかを優先するって言っておりたからな」
「はーしーもーとーくーん?」
「ッ!?わ、悪かった!」
「分かればいいよ。分かれば・・・ね?」
「ッ・・・・・・」
「ぁ・・・」
私は暴露した橋本くんに少し冷えた目で、少し声にドスを加えて言う。橋本くんは私の事を見ては驚いて、謝ってくる。私はそれを見てさらに少し重い雰囲気を纏わせて言う。
そんな私のことを見て零夜が小さく呟いた。零夜達なら知ってる、私の本当の方。そっちの冷徹な目。それを少しだけ橋本くんにした。だから、零夜は呟いた。
「それじゃあ私達は皆の元に行くからね。零夜くんも頑張ってね?」
「それでは、また後ほどです!零夜先輩達!」
「あ、あぁ。分かった」
私と水雫ちゃんは一緒にみんなの元に帰る。私と水雫ちゃんが女子組の方にもどると皆が労ったり、水雫ちゃんにおめでとうを言う。
「おめでとう、水雫ちゃん」
「1着おめでとう。良かったよ」
「ありがとうございます、詩雨先輩、癒音先輩!」
癒音ちゃんと詩雨先輩が水雫ちゃんのことを労う。その横で私には千波弥と由理子ちゃんが声をかけてきていた。
「お疲れ、優月」
「お疲れ様です。優月ちゃん」
「うん。ありがとう2人共」
私は千波弥が渡してくるミネラルウォーターを受け取って開けながら答える。私は開けて喉を鳴らしながら飲む。
「このあとはクラス別代表者対抗リレーだよね?」
「そうだよ、亜未ちゃん。私達の中だと精々零夜が出るくらいだね」
「零夜、出るのね・・・」
「あれ?聞いてなかった?」
「えぇ。知らなかったわ」
私は意外に思って千波弥のことを見た。零夜から伝えられているものだと思ってたんだけど。
「まぁ、そういうわけだよ。それが終わったら・・・」
私は詩雨先輩の方を見る。私の視線に気づいた詩雨先輩が答える。
「私達高等部3年の団体だね〜。花形の騎馬戦じゃない方の」
「あ〜、なるほど。そう言われたらそうでしたね」
「皆、応援してよ?」
「分かってますよ、詩雨先輩」
私達は笑い合いながら残りの借り物・借り人競走の様子を見届けた。




