三十話目
私達は癒音ちゃんの妹さんが走ったのを見届けた後、また談笑に戻った。6学年もいるからどうしても暇な時間が多く出てしまう。それに、高等部のリレーだって基本的に最後だしね。ここからは団体戦をドンドン行うことになっている。
私達が話していると、水雫ちゃんが唐突に立ち上がった。私はプログラムを確認して納得する。
「私もそろそろ出番なので行ってきますね、先輩方」
「確か借り物・借り人競走だよね?」
「はい!お題にもよりますけどこっちに来ることもありますからその時はよろしくお願いします」
「分かったよ。頑張ってね?水雫ちゃん」
「もちろんですよ、詩雨先輩」
水雫ちゃんは詩雨先輩に返したあと、私達に笑顔を向けて入場門の方へと走っていった。私達はそれを見てからまた話す。
「この中だったらお題でありそうなのはなんだろうね〜」
「人だったら部長とか先輩とか好きな人とかじゃないですか?」
「物だと、メガネや帽子。後は腕時計とかもあるわね」
「そうだね。案外零夜くん達のほうに行ったりするかもね」
私と癒音ちゃん以外の皆がどんなお題があるかを話している。私も癒音ちゃんも会話には入ってないけど聞いてはいる。すると、隣に座った癒音ちゃんが私に聞いてくる。
「優月ちゃんはどう?何か思いつく?」
「特にないね。それこそさっき皆が言ったものしか思いつかないよ」
「まぁそうだよね。こっちじゃなかったら色々と思いつきはするんだけど・・・」
「まぁ、来たらいいね程度に」
「それもそうだね」
私と癒音ちゃんが話し終えたところで、ちょうど1つ前の種目をしていた中等部の子達が退場門から抜けていった。それを確認した放送部員がすぐに次のプログラムをかける。
『次はプログラム8番高等部1年生による、借り物・借り人競走です』
放送した子が、放送を終えるとグラウンドに高等部1年生の教師が入ってきて笛を吹く。
───ピッ!
笛を吹いて旗をあげる。そうしたら、水雫ちゃん達の学年が入場門を一斉に通り抜けていく。それと同時にゴールテープを持った委員の子や、借り物・借り人競走で必要なカード等を同じ委員の子達が設置していく。
その間に水雫ちゃん達の学年が外周のスタート地点に列になって並んでいく。教師はグラウンド内にて全員が揃ったことを確認してから再度笛を鳴らして、旗を下ろす。それによって、水雫ちゃん達の学年は最初に走るメンバー以外が一斉に座った。
「始まるね。水雫ちゃんは・・・・3列目だね。思った以上に早いね?」
「そうですわね。まぁ、水雫ちゃん以外にもこちらにくる可能性はありますが」
「それを言ったらダメじゃないかな?それに・・・それが体育祭ってものだろうしね」
「だね〜。私は最後だから総合優勝とまでは行かなくても一冠はとりたいね」
詩雨先輩は水雫ちゃんの方を見て、笑いながら言った。詩雨先輩は私達のクラスと一緒で3組。そして、紅白の色も紅で一緒。だから、そっちの方で取れるように私達も頑張らないと。
ちなみに、水雫ちゃんは2組で千波弥達が4組だから・・・。そっちの方面では対戦相手になるんだよね。
───パンッ!
そうこうしているうちに1番最初の組がスタートした。1番早い子が最初の障害を乗り越えて一番にお題の元にたどり着いた。その子はお題のカードを捲って確認してから教師がいるテントに向かっていった。その後どんどんとお題の元に着いてはそれぞれに散っていく。
見ていたら零夜達のもとに行ってる子もいた。よくよく見てみると零夜達が兼部している運動部の方の子だね。どうやら相手は零夜だったみたいで零夜と一緒にゴールに向かって行った。
「早速零夜が連れていかれたわね」
「そうだね〜。あの子は零夜くんが入ってる運動部の子だね。マネージャーか選手かは知らないけど」
「アイツはマネの方だよ」
私達の後ろから急に声をかけられる。後ろを振り返ると、零夜と同じ運動部に所属している同級生。
「永真くん。そうなの?」
「あぁ。ま、アイツと零夜はいい先輩後輩関係だよ。恋愛には発展しないし、アイツ自身彼氏がいるしな」
「余計な情報ありがとう。どうでもいいんだけどそれは」
「おっと。それは失礼したね」
なんで蛇足したのかな?
私と千波弥はどうでもいい情報に文句を言う。声をかけてきたのは邑樹永真くん。零夜達と仲がいい運動部の友達。
「ま、ともかくアイツとの関係はそんなんだよ」
「わざわざそれだけを言いに来たわけ?」
「いや、たまたま通りかかったから挨拶程度にね。それじゃ、僕は戻るよ。じゃね〜」
永真くんは言うだけ言って運動部で固まっているところに向かっていった。私と千波弥は少しジト目で彼の背中を見た。けど、少しして顔を前に戻した。すると、ちょうど2番目の子達が終わりそうなタイミングだった。
「次は水雫ちゃんの番だね」
「勝てればいいですわね」
「そうだね〜。後輩だし是非とも勝って欲しいよ」
そう言っている間に笛が鳴り、ピストルが放たれた。水雫ちゃん達は一斉に飛び出て、走り出す。水雫ちゃんは他よりも2歩程前に出ていて今現在は先頭だ。
「今は先頭ですけど、お題がどうなるか・・・だね!」
「簡単だといいわね」
「それはそう。って水雫ちゃんこっちに来てない?」
水雫ちゃんはお題を捲ったあとすぐにそれを持って私達の元に走ってくる。誰かの名前を呼びながら。
「・・・・ぱーい!」
「誰を呼んでるんだろうね?」
「さぁ?けど、こっちに来てるってことはこの中の誰かだろうね」
水雫ちゃんはここにズザザッと音を立てて止まる。そして、顔を上げて私達のことを見て言う。
「優月先輩!来てください!」
「言われてますよ、優月ちゃん」
「・・・分かった。行くよ」
「!・・・ありがとうございます!」
私は立ち上がって水雫ちゃんの近くによった。そうして水雫ちゃんと一緒に走り出す。走りながら私達は話す。
「このまま1位とれそうだね」
「そうですね。助かりました、優月先輩」
「ううん。大丈夫だよ」
私達はそんなことを言い合いながらゴールテープを切った。水雫ちゃんはお題を見せに教師の元へ行った。私は息を整えている。
水雫ちゃんが教師に渡して、それを教師が確認する。少ししたらその教師が全体に見えるように大きな丸を作った。
「優月先輩!1着です!」
水雫ちゃんは満面の笑みで私のことを見てピースサインを向けてきた。
私はそれに笑顔で返した。
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では次回の話しでお会いしましょう!




