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二十九話目







あの後、私達は話を終えて皆がいる場所に戻ってきた。


「ごめんね、少し時間かかっちゃった」

「大丈夫だよ〜」

「その分しっかりと話を詰めたのですよね?でしたら問題無いですわ」


私は戻ると残っていた皆に謝罪を告げる。すると、座っていた亜未ちゃんが顔を上げて返事を返してくれる。その後に、由理子ちゃんも聞いてくる。


「えぇ。優月にはしっかり言ったわ」

「アハハ・・・まぁ、アレは流石にね・・・」

「でもカッコよかったよ?優月ちゃん」

「私女の子ですよ・・・?カッコイイって言われても・・・」


私が詩雨先輩にそう答えると、千波弥と癒音ちゃんがジト目で私のことを見つめてくる。私がそれによって冷や汗を書いていると水雫ちゃんが声をかけてくる。


「だとしてもこっちは盛り上がりましたよ。ただ、優月先輩が零夜先輩に頼んであんな事するとは思いませんでしたけど」

「う、うぅ・・・あとで後悔したんだからあまり言わないでよ・・・。あ、あれは気の迷いだから・・・」


私が水雫ちゃんから視線を逸らしながら逃げるように言っていると更に追い打ちをかけられる。


「と、被告人は仰っていますがどう思いますか。・・・・・・零夜先輩」

「えっ!?零夜くん!?」


水雫ちゃんが私の更に後ろを見つめて言ってくる。私は咄嗟に後ろを振り返る。


「ま、アレはそうじゃないだろうな。考えた末に選んだ選択だろ」


後ろには確かに零夜がいて、私のさっきの棒倒しでの行動に関して言ってくる。私が驚いている間に話は進む。


「ふむふむ。零夜先輩はそう言ってますが実際どうなんですか?優月先輩」

「うっ・・・・・・はい。考えて大丈夫だと判断して行いました・・・」


私は水雫ちゃんに理詰めされて、諦めて項垂れながら答える。私が答えると、千波弥と零夜がため息を着いて肩を竦めた。


「「やっぱりか(ね)・・・」」

「え?2人は分かってたの?」

「まぁ、はい」

「なんとなくですけどそうですね」


千波弥と零夜は詩雨先輩に聞かれて肯定する。そして、私のことをジト目で見つめてくる。


「腐っても幼馴染ですし・・・」

「コイツの性格も考えもある程度は分かります」

「はー・・・・・・すごいね。流石というべきなのかな?」

「まぁ、それはご自由に」


零夜と千波弥、詩雨先輩が私のことについて話す。話題の中心である私は2人に読まれていることに驚いている最中だ。








それから少しして零夜が去って、女子だけになった。今の種目はプログラム6番の中等部の玉入れ。とは言っても終わりかけだけど。


「次は中等部最後の短距離走だね」

「そうですわね。その後は水雫ちゃんの借り物・借り人競走ですわ」

「やるからには勿論1着を狙ってます!」

「頑張ってね!水雫ちゃん!」

「はい!」


私達が話している横で癒音ちゃんが自身のバックをガサガサと漁っている。すると、何か見つけたのか漁るのをやめて手をバックから引き抜く。


中から取り出したのは高そうな黒色のビデオカメラ。私は不思議に思って癒音ちゃんに聞く。


「癒音ちゃん、それどうしたの?」

「これ?これはね〜、お父さん達から妹の出る種目の動画を撮っておいてって頼まれたんだ」

「来たらいいじゃん・・・って思ったけど難しいね。癒音の親は会社のこともあるだろうしそもそも土曜日だしで」

「そう。だから私に撮ってきてって言われたんだ。ちなみに妹も持ってるよ〜」

「お互いにお互いのことを撮るためにですか?」

「うん。そうだよ、水雫ちゃん」


私の他に皆も気になったみたいで癒音ちゃんに聞いていく。そうしている間に玉入れは終わって次の種目。中等部3年の短距離走に変わった。癒音ちゃんはプログラムを聞いてからビデオカメラを開いて構える。


「どのタイミングで走るかも聞いてるから全然撮れるんだ〜」


癒音ちゃんはニコニコしながらビデオカメラを構えて私達に妹のことを教えてくれる。


「妹はアソコだよ。5列目の右から2番目の水色髪の子だよ」

「あの子・・・・・・。雰囲気全く違うね?」

「否定はしないよ。それに妹は中等部でも色々と言われてるみたいだしね。聞いたことない?『中等部の天才少女』って」


私達はそれを聞いて目を見開く。それは私達高等部にも伝わっている呼ばれ方。


(そうなると姉妹揃って通り名みたいなの付けられているの・・・・・・?中々珍しい状況じゃない?)


私はそんなことを思いながら癒音ちゃんの妹を見る。癒音ちゃんの妹は水色の髪に、私と同じくらいの髪の長さ。あとは、聞いた通り天真爛漫な雰囲気が見て取れた。


「多分勝つだろうけどね」


私はそれを聞いて、彼女の妹に当たった中等部の子達が可哀想に思えた。










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