二十六話目
「さてさてさーて。この後は私達だね」
「あー、確かにそうですね。1番最初の団体種目で棒倒しでしたっけ?」
「そうだよ。負ける気はないからね、3人とも」
「こっちもだよ、癒音」
「はいはい。そんなことしているなら置いてくよー」
私は立ち上がって、手を叩きながら言う。私が言ったからか、由理子ちゃん達も立ち上がる。
「それじゃあお互い頑張ろうね」
「そうね、優月。貴方はどっちなの?」
「内緒だよ。教えるわけないでしょ?そもそも」
「それもそうね」
立ち上がって私の隣に来た千波弥にそう答える。千波弥は私の答えに頷きながら言う。
「みんな頑張ってね〜」
「怪我には気をつけてくださいよー!」
私達がそれぞれ集合場所に向かっていると後ろから詩雨先輩と水雫ちゃんが応援と注意を促してくる。私達はその言葉を背中に受けながら歩いていく。
私達は途中で千波弥と癒音ちゃんと別れて、集合場所に着く。集合場所に着いたら私は亜美ちゃん達とも離れて男子の攻め側で固まってる方に行く。
「結局何か作戦って決まったの?」
「優月か。全く決まってない」
「今のところぶっつけ本番の適当に動け状態だ」
「あ、アハハ。さすが男子だね・・・?」
「それが男子だからなぁ。同じチームになった1組とも決まってないからな」
私は藤宮くんに言われて苦笑いしか出なかった。しかも、それからさらに言われたことではもう言うことが無かった。
「勝てるかな、これで」
「最大3回あるし問題は無いだろう。やるからには完勝したいがな」
「それもそうだね」
私は少し不安に思いながら周りを見ていたけれど、橋本くんに言われた言葉には理解を示す。私もやるからには勝ちたいからね。
「続きましてプログラム4番、高等部2年生による棒倒しです」
私達はそれを聞いて門を通ってグラウンドの中に入っていく。入っていきながら私は毎年不思議に思っていることを言う。
「なんで保護者とか居ないのに毎回プログラムとかの放送かけるんだろうね」
「言われてみれば・・・」
「分かってないやつの為だろ」
「あーなるほどね。理解理解」
私達は走りながらそんな会話をする。走って指定された場所まで行って立ち止まる。2組と4組のチームと向かい合って並ばされて攻める人達が前に並ぶ。そして、後ろの棒の周りに守る人が集まる。両者が並び終え、準備を終えたことを確認した教員が中間の地点で話す。
「ただいまより、高等部2年による棒倒しを行います!両者、位置についてよーい・・・・」
教員がピストルの銃口を上にあげながら告げる。空に向かって銃口を向けてトリガーに手を当てる。
───パァンッ!
その音を皮切りに私達攻める側の人は相手の棒倒しに向かって行く。私も零夜達と一緒に攻めていく。私と零夜、橋本くんと藤宮くんは真っ直ぐに棒へと攻めては行かず大きく回り込むようにして走っていく。
「どうする!?」
「前の方は他の奴らに任せる!俺達は横から攻めるぞ!」
「了解っと!」
私達は零夜に言われた通り横から攻める。チラッと自軍の方と相手の正面の方を確認した。すると、相手に向かって真正面にせめて行った人達は攻めあぐねていた。しかし、自軍の方は前と左右はしっかりと防げているようでやってくる敵を返り討ちにしていた。
また、私達と同じような考えをしていた人達もいた。私達とは違う、反対側でも少数だが複数人居た。そしてそっちのリーダーらしき子が一緒に着いてきた子に指示を出しているのが見えた。
「3人とも、ここからどうする?」
「とりあえず真と光樹が先に飛びかかって、俺達もあとから飛びかかる」
「なるほどな。それじゃあ、真。行こうか」
「あぁ」
橋本くんと藤宮くんが私達を置いて先に走っていく。私と零夜はそれを見ながら彼らが飛び上がるまで待つ。私達は2人が飛び上がったのを見て、私達も走り出す。
走りながら周りを見てみると正面の方でも何人かは棒へと飛びかかることができている。棒の方はこっちの棒とあまり変わりがない。
私も近くまで来て飛ぶ。そして、自身の身軽さを駆使して守っている人達の肩に足を乗せて蹴る。そうしてより上へ上へと棒の方へ寄っていく。私はあともう一歩ってところで乗った人の肩を強く蹴る。蹴った人には申し訳ないけど。
私は棒の先に手をかける。そして、両腕で掴んで体重をかける。後は他のみんなが来るのを待つだけ。下からは、下ろそうと手を伸ばしてくるけど私はそれを蹴ってより上へ行く。
そうして少ししたら徐々に人がやってきて、徐々に棒が横に落ちていく。私は落ちていく棒を掴んだ状態で味方の棒を見る。
そっちの方は何人かしがみつかれてはいるけどまだ倒れるまでには至ってない。すると、私達がしがみついている棒がどんどん横に横に動いていく。
そしてとうとう倒れる。それと同時に笛がなる。
───ピッ!
私達はそれによってその場から離れて自軍の方へと戻っていく。
「このまま次も勝って完勝したいね」
「そうだな。ともかく、初戦に勝てたから全体の1、3組の活気が上がったっぽいぞ」
「みたいだな。周りを軽く見渡したらそんな感じだった」
「この後は作戦会議だけど、正直無駄だな。こっちは」
私達はそんな会話を4人でしながら戻っていく。戻ったところで地面に腰を下ろす。すると、放送が入る。
「1回戦目は1、3組の勝利です。ただいまより3分後に2回戦目を行います。両チーム作戦会議等を行ってください」
私達はその放送を聞いて棒を守っていた人達の方へと集まる。




