百八話目
部屋に戻ってきて私達はこれからどうするか話す。まだ誰も寝巻きから私服に変えてない。
「二人はどうする?零夜はこれから朝風呂に行きそうだけど・・・」
「俺はお前の言う通りそのつもりだ。千波弥は?」
「私も朝風呂に行こうかしら?優月には申し訳ないけど」
千波弥はそう言いながらもそこまで申し訳なさそうな顔をしていない。なにかと言えば久しぶりに朝風呂できるから嬉しそうな顔をしている。その顔がありありと出てるから私はついツッコんでしまう。
「ならせめて申し訳なさそうにしてくれない?その感じだと全く思ってないように見えるから」
「それはごめんなさい。ともかく私もそのつもりだけど優月は待ってる間どうするつもり?」
「先に着替えて諸々終わらせておくよ。余った時間は本でも読んで待っておくから」
「本?家から何か持ってきたのか?」
「うん。だからそれを見ながら時間つぶしておくよ」
「分かった。それじゃあ俺は先に出るぞ」
「うん。行ってっしゃーい」
零夜はバスタオルと温泉タオルを持って部屋から出て行った。私と千波弥をそれを見送って、少ししたら千波弥も用意が終わったから出ていった。
私は二人が出ていったのを見送ってから立ち上がる。自分のバッグから夏用の私服・・・半袖と短パン、靴下、そしてシアージャケットを取り出す。
取り出してから寝巻きを解いて畳の上に落として、半袖と短パンを着る。それから日焼け止めを顔と首、腕と足に塗る。
シアージャケットはまだ羽織らない。だから、私の隣にシアージャケットとその上に帽子を置いて、畳の上に落とした寝巻きを手に取る。手に取ってから寝巻きを折りたたんで端の方に置いておく。
することは終えたと思ったからバッグの中から持ってきた本を取り出す。本を取り出して、栞を挟んでいたページから読み始める。
どれくらい時間が経ったのか、本をジーッと読んでいると後ろから急に抱きしめられた。私は慌てて今のページに栞を挟んで周りを見る。
「千波弥?」
「・・・やっと気づいたわね」
「相変わらず何かに集中したら周りが見えなくなるのは健在か・・・」
「えっと、ごめん?」
「今更よ。気にしてないから別にいいわよ」
顔を上げて二人のことを見ると、いつの間に着替えたのやら何時でも行ける服装になっていた。二人とも半袖。ズボンは零夜が半ズボンで千波弥がロングスカート。
「もう出るの?」
「さっきたまたま癒音達とあったのだけど私達の部屋に来るらしいわよ」
「二人がきてから行く感じ?」
「そのつもりだ。だからバッグに必要なものをまとめておけ」
「分かった・・・といっても昨日、あまり使わなかったからそのまま持っていくだけでいいんだけど・・・」
「あー、あの肩掛けのバッグね」
「そう。だからもうある程度の準備を終えてるの」
私はシアージャケットを羽織りながら零夜と千波弥に答える。立ち上がってから少し服をはたいて服とか入れてるバッグの横に置いてある肩掛け型のバッグを引っ張る。それからもう肩にかけておく。
「はい、準備オッケー。私はこれでいつでも行けるからね」
零夜と千波弥はなんとも言えない顔で私のことを見ている。零夜はなんとなく言いたいことは分かる。多分それでいいのかってことを言いたいんだと思う。ただ、千波弥がよく分からない。
私は首を傾げる。
「ホント優月って夏になったらそうやって羽織りでズボンを隠すの好きよね」
「だって可愛くない?あとは憧れ。だからこうやってしてるんだし。上に関しては日焼けしたくないってのも少なからずあるけどね〜」
「だとしても・・・だろ」
零夜が私に向かって帽子を投げてくる。私は両手で向かってきた帽子をキャッチする。帽子のつばのところを持って被る。つばを持って少し下げて零夜達のことを見ながら言う。
「でもこれが私でしょ?」
「今度は何に影響された・・・」
「某馬の擬人化ゲーム」
「あぁ、あれね・・・。私はしたことないけどアニメは見たことあるわ」
「あれの一人がこんな感じのことしてたからね。影響受けちゃいました」
私達が話していると扉がノックされた。一番近くにいた零夜が扉を開けに行った。その後、こっちに戻ってきて後ろから癒音ちゃん達がついてきていた。
「来たってことは行けるのね?」
「うん。私も璃空もいつでも行けるよ。それと・・・優月くんその服装・・・」
「私夏場だとこういう格好多いよ?それともどうかした?」
「ううん、なんでもないよ」
「そう?それじゃあ私達は先に出る?」
「そうね・・・。零夜、そっちは?」
「まだ日焼け止めが塗れてない。それが終われば行ける。だから先に出ていいぞ。そもそも別行動なんだからな」
「そうだね。それじゃあ、璃空。碧乃くんに迷惑かけたらダメだよ?」
「わかってるよ!」
「それじゃあ、碧乃くん。璃空のことお願いします」
「あぁ。任された」
「それじゃあお先に〜」
私達は零夜と璃空ちゃんを部屋に置いてホテルの外に出てきた。すぐ近くにアウトレットがあるから歩いていこうって話になってる。
「そういえば二人の趣味ってなんなの?今更だけど知らないなぁって思って。優月くんも流石に壊れたといえあるでしょ?」
「まぁ、あるよ」
「私はあまり優月の趣味は好きになれないわね。ちなみに私はダンスね」
「なんか意外・・・。優月くんは?」
「私は読書と服を見ること。それと競馬かなぁ」
「競馬!?競馬ってあの競馬?」
「なんの競馬が他にあるか知らないけど有馬記念とか凱旋門とかダービーとかそういうのだよ」
「未成年だから賭けれないけど・・・やるならば程々にしなよ?」
「分かってるって。千波弥も零夜もこの趣味だけはあまり理解を示してくれないんだよね・・・」
「そりゃそうだよ。私はおじいちゃんの影響もあってそこまで嫌悪してないけど普通の高校生が競馬なんて中々ないからね?もしかして千波弥ちゃんが好きになれないのってこれ?」
「そうよ。流石に競馬はちょっとね・・・」
「ちなみに上半期が終わりましたが優月くんオススメの今年の競馬は?」
「日本ダービーと天春かなぁ」
「天皇賞・春?」
「そう。あれは最後がハラハラして楽しかったね」
千波弥は競馬の話には入ってこれないから黙っている。流石にこれ以上競馬の話しはやめとくべきだと思うからやめて、千波弥も入ってこれるような話しに変えた。そして三人で話しながらアウトレットに向かって行く。
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では次回の話しでお会いしましょう!




