百三話目
「皆揃ってる〜?」
「夜鷹先生がいませーん!」
怜奈先生が私達に向かって問いかけると中等部の子からそんな声が飛んできた。そんな返しをするものだから皆笑ってしまう。
「確かにね。夜鷹先生は後で来るから問題ないとして・・・」
「夜鷹先生、切り捨てられた!?」
また後ろの中等部の子達から野次にも似た声が飛んできた。そしたら、またみんな笑う。こうやって場が和むのいいよね。
「はいはい。それはいいから説明するからね〜。ということで部長、頼んだよ」
「そこで私に投げますか!?今の流れ的に怜奈先生が説明する流れだったじゃないですか!?」
「後任育成だよ。後任育成」
「それ言っておけばなんでも済まされると思ってません!?去年もそんなこと言って詩雨先輩に任せてましたよね!?」
「なんの事だか記憶にないな〜」
「こんの・・・はぁ・・・。こうやっても時間取られるだけなんで説明しますね」
私は皆の方へと振り返る。こんなことされても怜奈先生のことは嫌いになれないんだよね・・・。
「本日はたまたま貸切だったようで、多少の声は許してくれるとのことです。とはいえ本来の説明のナレーションもありますからそこまで話す必要はないと個人的に思ってますが。席は自由となっています。飲食とかもやめてください。そのため喉がかわいてる人は今、水分を取っておいてください。あとはちゃんと中高生らしく節度を持って行動してください。以上です」
私は怜奈先生のことをジト目で見る。これでいいのかという念を込めて。怜奈先生は私に戻るように促してきた。私は従うけどジト目で見ることはやめない。
「部長が説明してくれた通りだよ。いい?他の人の迷惑にならないこと。ここのことも考えて行動してね。それじゃあ移動するよ。夜鷹先生は後ろから着いてきてくれるから。夜鷹先生、後ろはお願いします」
私達は咄嗟に後ろを振り返る。いつの間に戻ってきたのか、夜鷹先生が1番後ろで立っていた。夜鷹先生は怜奈先生に頷いて返していた。
「それじゃあ移動するよ」
怜奈先生が移動し始めたので、前にいた私達が立ち上がり後を追う。私達の後ろから皆も着いてくる。怜奈先生の後に続いてプラネタリウムのドームの中に入る。
「自由とはいえ早くと座ってね。ちなみに、赤のマークがあるところが感じやすい場所になってるよ」
私は怜奈先生の言葉を聞きながら後ろの方の赤マークが付いている席に座る。席に座っていると、両サイドに誰かが座った。
「お目付け役という名の監視で来たわ」
「色々教えてね、優月くん」
千波弥と癒音ちゃんが小声で伝えてくる。癒音ちゃんの言葉に私は驚く。こんなところでそれを言うなんて思ってなかったから。それと同時に千波弥に言い返す。
「そんなに信用ない?」
「過去の経験から。胸に手を当てて振り返ってみなさい。否定できるのならして欲しいくらいだわ」
「・・・・・・ごめんなさい」
私は千波弥の言うことに何一つ否定できないからただただ謝る。千波弥は肩を竦めただけで特に何も言ってこなかった。
電気が落ちた。ドームの中が真っ暗になる。すると真ん中付近にあった球体から光が放たれて、上の方に映像が映し出される。
「癒音ちゃん達はプラネタリウムに来たことは?」
「ないよ。だから少し楽しみ。それと星のこと教えてね」
「ナレーションで説明されるのに?」
「それでもだよ」
「よく分からないけど分かったよ」
「この前は夏のやつも教えてもらったけど実際はどれだか分かってないからね〜」
「ならちょうどいいや。覚えてる?この前言ったことは」
「もちろん。夏と春の大三角。ちゃんと覚えてるよ。春の三角は家でも見つけれたけど、夏はどれがどれか分からないから見つけれてないけどね」
私達が小声で話している間にナレーションは流れていく。上には次々と星が光っている。ちょうど夏の大三角の一等星が結ばれたところだ。
「まずはベガがあるでしょ?あれがこと座の一等星。そこから近くの星が4つ正方形くらいの分かる?」
「うん」
「それらを繋げたらこと座だよ。ちなみにベガは別名織姫星とも呼ばれてるよ。次はアルタイルね。アルタイルはわし座の一等星」
「わし座・・・その上下にあわせて3つくらい星があるよ・・・?」
「それがわし座と繋がるの。上側はその2つと横に広がっている星が2つ。そこを繋げて上側が完成。下側は、下の星から少し斜めの方にある星を繋げて一部完成。アルタイルの横にある星を繋げてそこから下に沿ってある星を繋げてわし座だよ。ちょうど繋がったね。アルタイルにも別名があって、彦星って言うんだ」
「・・・七夕?」
「うん。その近くに天の川もあるからね」
「へぇ〜」
「それで最後の1つは・・・もう既に線とかは引かれてる・・・。だったら星の名前がデネブ。そしてそれははくちょう座になるよ」
「これには別名はないの?」
「多分無かったはずだよ」
癒音ちゃんは頷きながらプラネタリウムに映された星を眺めていた。すると、今度は反対側に座っていた千波弥が声をかけてきた。
「上手く説明できたわね」
「うん。ていうか私が説明得意なのは知ってるでしょ?」
「そうね。それでも私は少し不安なのよ。まぁ杞憂に終わってよかったのだけど」
「ん。それじゃあ私も見るから」
「はいはい」
私達は話すのをやめて、私は映されたプラネタリウムを目に焼き付けた。




