トウメインとカラスウリの花
私は東明。
私は公園に行った。
そこに彼女はいた。
こんばんは。
こんばんは。
水を汲み、カラスウリに撒いてやった。
暑いですね。
暑いですか。
よければ、ご一緒しませんか。
すみません、ご一緒できません……。
だって私は透明になりたいのだから。
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私は東明。
なぜ透明になりたがるのか?
それは私が博士だからだ。
私は科学者だ。
科学は私の全てだ。
全ての知識はここに詰まっている。
私は透明になりたい。
それが私の願いだ。
それなのに、どうしてわかってもらえないのだろうか。
わかりました。
彼女は言った。
じゃあ、わたしもなります。
彼女は続けた。
わたし、あなたのことが好きだったんです。
そう言うと、彼女は液体を飲み干した。
しかし、彼女は消えることはなかった。
そうして、私は思った。
彼女は、私と同じなのだと。
私も彼女が好きだった。
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私は東明。
私は彼女とデートをしていた。
今日も美しい。
そうですね、きれいです。
そうだ、少し寄り道をしてもいいかな。
はい、どこに行くんですか?
いいところだよ。
私は彼女を手招きし、公園に連れて来た。
ここが目的地です。
ここは……公園ですか?
そう、公園だ。この公園には、かつて私がいた。
私? 私はかつてトウメインという勃起する薬を開発していた。
トウメイン?聞いたことありますね。
そのトウメインを作っていたのが私なんだ。いやまあ、結局作れなかったんだけどね。私が残せたのはカラウスリだけだったんだ。
トウメインって何だったんですか?
トウメインとは好きなことが出来る薬の名前だ。
へぇー。よくわからないけど、すごいものなんですね。
薬局の親父も君と同じことを言っていたよ。しかしあいつは私に勃起薬を売りつける悪の親父だったんだ。
そうなんですか?
うん、今度から気をつけなさい。
はい、そうします。
ところで、君はどんなことがしたい?
やりたいことですか?
う~ん、あんまり考えたことないんですが、やっぱり旅行とかしてみたいですね。
ふむ、旅か。世界はこの公園よりも広そうだからな。
でも、一人だと寂しいから、一緒に来てくれる人がいれば嬉しいかな。
なるほどなぁ。確かに一人はつまらないなぁ。
カラスウリが咲いていた。私たちの前で。
やっぱり気持ち悪い花だなあ。
気持ち悪くなんてないですよ。素敵です。




