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異世界過酷ハウジング  作者: 半間浦太
第一章:17週目・Fを超えた先
13/16

総集編のような話


 話が大きく逸れてしまったような気がするので、今までの出来事を回想する。

 地球において、時羽咲子サキはアニメを58本も見ていた。サキがアニメを58本も見ていた理由は、承認欲求を満たすためである。

 アニメを58本も見ていれば、多少なりとも知識は付く。知識が付けば、何でも知っているという雰囲気が出てくる。


 すると、人が集まってくる。情報も集まってくる。


 情報を秘匿したり、独占したりしていく内に、他人よりも自分は優れているという思い込みを得たりする。

 優越感に浸れる、というメリットがあった。

 情報の支配者気分になれる、というメリットもあった。

 世界は自分を中心に回っている、という感覚にも浸れた。


 ただし、その分だけ寿命も減っていた。


 30分のアニメを58本も見れば、サキ自身の時間は無くなる。

 娯楽に費やす時間が増えれば増えるほど、相対的に、勉強するための時間は無くなる。ついでに生活もずぼらになってくる。こうなると干物である。


 サキは、己の人生を通じてアニメ業界に喧嘩を売っているわけではない。

 サキの趣味は、あまりにも度を過ぎていたのだ。孔子曰く中庸、というように、何事も偏っていては良くないのだ。


 今にして思うとサキの所業は全く以て愚かしいとしか言いようがないが、当時のサキが手っ取り早く満たされるには、そういった手段しかなかったのも事実ではある。

 昔のサキは、承認欲求のけだものだったのだ。

 今はどうだろう。一度死んで異世界に送られたサキは、多少冷静になれたようで、心の安息を得られる場所を求めていた。


 心の安息を得られる場所……それは、マイホームだ。

 理想のマイホームを目指して、サキは今日も異世界を探索するのだった。




★          ★          ★




 ――聖皇歴1250年。

 時空ゲートを通って年代に到着したサキは、山の麓に到着した。

 天候は生憎の曇天。周囲には霧が立ち込めている。しかし、霧の向こうでは集落と思しき家屋がぽつりぽつりと見える。


「ここで待ってて」

「グオン」


 機獣から降りたサキは、今後の手がかりを求めて集落に近づいていく。

 大地に蔓延る草木はたっぷりと湿気を吸っており、ぐにゃりとした感触が足の裏から伝わってくる。村に至る道から一歩踏み外せば、ぬかるみに足が囚われそうな気がしてくる。


(機獣を置いてきて正解だった……)


 この地形では機獣はまともに走れないだろう。それに機獣は大きすぎる。

 目立てば良いというものではない。これまでの件を踏まえて、サキはそれを実感していた。


(……そろそろ着くかな)


 一歩、また一歩と近づいていくにつれ、段々と村の全容が明らかになってきた。

 石造りの家と畑。それらが視界に広がっている。畑ではかぼちゃのような作物が成っており、かかしが突っ立っていた。


『気を付けて下さいね。この村はドラゴンを崇拝しているんです』


 エボニーが言うには、この村は名をラグー=ニアと言い、密かにドラゴンを崇拝しているそうだ。


(ドラゴンを崇拝……ドラゴンを崇拝……)


 ドラゴンを崇拝するという行為は、やや反社会的に思える。

 いざとなれば殺傷沙汰か。サキはこの世界における剣(セーフティデバイス)を手に取り、エボニーに確認を取った。


「そのドラゴンは、ファンタジー系ドラゴンなの? それとも、SF系ドラゴンなの?」


 一口にドラゴンと言っても、ファンタジーのドラゴンとSFのドラゴンとでは意味合いが大きく異なる。

 サキが思うに、ファンタジー系ドラゴンはでっかいトカゲだ。口から火を噴いていて、背中には翼が生えていて、空を飛べたりする。一方、SF系ドラゴンはドラゴンっぽい見た目の機械だとか、ただ単にドラゴンという名前を付けた兵器だと考えている。ミサイルや戦艦にドラゴンという名前を付ければ、少なくともそれはドラゴンだ。人がそれをドラゴンとして認めるかどうかは別として。

 エボニーが言うには、


『ファンタジー系ドラゴンってことでいいんじゃないでしょうか。この世界、一応ファンタジーですし』


 だそうだ。

 割と大雑把だな、とサキは思った。



●ステータス




名前:サキ

性別:女性

年齢:16歳

ガーディアンランク:E

アイテム:ヴァリアブルスーツ、セーフティデバイス01D

カード化済みのアイテム:機獣ハイレシア・ドラゴン(遺体)、チンピラ(人間)

マイホーム:機獣オーバード・ネメアTYPE2(アイテム【街灯(中世風)】を設置)


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