昔話:ハウジングに至る魔王の話
主人公交代かもしれません。
あるところに、年老いた竜がおりました。
竜は魔族の孫娘と暮らしていました。
孫は竜に尋ねました。
「おじいちゃん、おじいちゃん。どうしてステータスはステータスなの?」
「ふぉっふぉっふぉ。それはのう、世界を『あるてぃめっと・おんらいん』っぽくするためなのじゃ」
「おじいちゃん、おじいちゃん。どうして通信機からダイアルアップの音がするの?」
ダイアルアップ音とは、大昔のパソコンがネットに繋がる時の音です。
昔のパソコンは、ピー、ガー、ヒョロロロロという謎めいた音を立ててインターネットという大海原を航海していたのです。
竜は地球にいた頃の記憶を外部記憶端末から呼び出して答えました。
「ふぉっふぉっふぉ。それはのう、わしが地球という世界で『あるてぃめっと・おんらいん』をしていたころの名残なのじゃ。わしらのさいせいきは、ごご11じになると、ていがくでいくらでもねっとにせつぞくできたころでのう……それはそれは、楽しくくらしていたのじゃ」
「おじいちゃん、おじいちゃん。『アルティメット・オンライン』って、そんなに面白いの?」
「ふぉっふぉっふぉ。『あるてぃめっと・おんらいん』は、きゅうきょくのげーむなのじゃ。ぷれいやーはぜんいんが“えんたーていなー”。ぷれいやーは戦士にもなれたし、魔法使いにもなれたし、テイマーにもなれたし、調理師にもなれたし、商人にもなれたし、泥棒にもなれたし、強盗にもなれたし、不動産屋にもなれたのじゃ。そして、ひとはみな、家をもつことができた……。家の“ないそう”や“がいそう”をいじくる”はうじんぐ”は、たたかいにつかれたものたちにとって、安息のひとときとしてきのうしていたのじゃ」
「へぇぇ……すごいなぁ。今の世界は、『アルティメット・オンライン』をベースにして再構成されたんだね。そんなに面白いなら、あたしも『アルティメット・オンライン』をやってみようかな」
「おお、孫よ。おぬしはこのげーむになにをもとめるのじゃ?」
最強すぎて戦いに飽きていた孫は、エンドコンテンツを求めていました。
孫のあだ名は”魔王”です。
魔王(孫)は、朗らかにエンドコンテンツの名を掲げました。
「もちろん、”ハウジング”だよ!」




