第二話
陽が明ける頃、コタンとエトロンはライゼンの近くの山に到着した。
「あれじゃな。」
「そうだな。」
コタンにとっては初めて見る大きな都市である。その大きさに圧倒されながらも静かにエトロンの背から降り、その全貌を眺める。
都市は非常に高い城壁で囲まれており、万が一の戦争でも十分要塞として機能することがわかる。
また、内部は赤い屋根の建物がたくさん密集していて、かなりの数の人間が住んでいるようだ。
いくつかの建物は城壁ほどの高さがあり、非常に高い文明に発展している。
朝陽を浴びて輝くその街並みは非常に美しく、とてもここで父らが死んだとはコタンには信じられなかった。
「それじゃあ、行こうか。」
「そうじゃのう。」
エトロンは人型の美しい白髪の美人に変身し、コタンの手をとって山を下ろうと歩き出す。
山には所々木が生えているのみで、地面には草原が広がっている。
黄色、青、赤の花々が咲く姿を楽しそうに眺めるエトロンにコタンは雑談をふる。
「ところで、エトロンは好きなものとかあるのか?」
「難しいことを言うのう。わらわが好きなものか…」
「答えにくいことを聞いてしまったか。」
「神として万物を平等に愛そうとしてきたからのう。うむ。」
その言葉を聞き、エトロンがこれまでしっかりと神としての役目を果たしてきたことを感じ取り、コタンは息をのむ。
「どうした、そんな不思議な顔をして。」
今のコタンの表情は驚きと感心が混ざったような、そんな顔だった。
「いや、ちゃんと神様として働いているのだなと。」
「そりゃあそうじゃろう。」
ない胸を懸命に張りながら、自信満々に言う。
「わらわとその他季節を司る女神は、数多くいる神々を統治する存在じゃからの。」
「数多く?」
「知らんかや?
ここから遥か離れた空の中には神々の国があっての。そこにはこの世界を回すために働いておる神がたくさんおるんじゃよ。
例えば、わらわの下におる、とある神は天気を司っておっての。世界のどこら辺に雨を降らせるだとか、晴れにするだとか、そういうことを決めているのじゃ。」
「そうなんだな。」
知らなかった神々の世界の一端を知り、素直に驚く。
これまでは神が季節を司る四人しかいないと思っていただけに、この仕組みにはびっくりである。
「最初は全部四人の女神でやっておったが、あまりに大変だということでこの星を創った後に手下となる神を作ったらこれがまた便利でのう。まあ、ここ二千年ほど会っていないが。」
最後に聞かない方が良いことを言っていた気がしたので、コタンは聞こえないふりをした。
*
山を降り、街道に出て城壁の前まで来た。
どうやら検問を行なっているようで、中に入ろうとしている人たちが並んでいる。
「なんじゃ、忍び込んではいかんのか?」
「通行証なるものを作るから、出る時に大変になるらしいぞ。」
昔聞いた話をエトロンに聞かせる。
また、エトロンは普通の人には見えないため、しばらく静かにしているように伝えて、コタンは長い列の最後尾に並んだ。




