四十二話 金色スライム団子
そんなわけで。
白羽の矢が当たったのは、最初になついてくれた大きめの金色スライムのスラたん。
「あのね、スラたん。すっごく嫌かもしれないけど、きみの体の一部を食べさせてもらってもいいかな?」
「すらぁ?」
かわいい。お目々ぱっちりすぎて、かわいすぎてたまらないっ。
さらに、あたしの水筒アイデアはばあやさんによってすぐに実体化できたので、まるでポシェットを斜めがけしているような、かわいらしい金色スライムがすらすらずらずら。
うむ、これがいわゆるかわいいの極意かっ。そしてなにげにスライム団子に癒される。
「すらぁ~。すっ!」
スラたんはあたしにはい、とばかりに体の一部をむきゅっとつまんで渡してくれた。
生金色スライム団子。
かわいい。
そんなわけで、ゾーイは一時的に解凍魔法をかけられた。
スラたんの効果がどのくらい持続しているのかわからないため、事情を説明する暇はなさそうなので、起きてすぐに食べてもらう。
「うん、あまいな? これ、このスライムか?」
そうなんてすよ、ゾーイ。
「それで、体の方はどうだ? どこか痛いとか、苦しいとかはあるか?」
「あれ? ……おさまってます。すぐ検査してください。これが本当なら、ほかのみんなも解凍できるんじゃないですか?」
やったぁ!!
今すぐゾーイに抱きつきたい衝動をぐっとこらえていたら、涙があふれて止まらなくなっちゃった。
「泣くなよ、ノゾミ。あんたに泣かれると弱いんだ」
う~。ゾーイが生きてる。喋ってるぅ~。
おかしな嫉妬をしてごめんなさい。
ゾーイにだって、色々あるものね。
採血の結果、ゾーイは本当に疫病が治っていた。
だけど、ここでまた問題発生。
体の一部を食べられてしまったスラたんは、死んだように眠りつづけた。
その体も、少しだけしぼんでしまっている。
なぜ?
それは、体の栄養分を奪ってしまったから、ということなんだろうけど、う~ん、これでは、ほかの小さいスライムから体の一部を分けてもらうのははばかれるな。うっかり死んだりしたらかわいそうだよ。
たかがスライムだけど、この子たちのおかげでゾーイが生き返ったようなものだから、無理強いはさせたくない。
そんなわけで、挙式はしばらく延長。
だけど、ギュルディーノ様の計らいにより、魔王城の中で結婚式を挙げるといいとのこと。
装飾もドレスもヒトミ様が提供してくださるので、ほぼただ。
双方の両親ともなんとなくそんな気がしていた、とばかりに大はしゃぎ。
縁って、すごいな。
もし、あたしがヒトミ様のお菓子がかりをお断りしていたら、こんな風に魔王城で働くこともなかっただろうし、なによりゾーイと結婚するなんて、想像もしていなかった。
そんなわけで、話はカレンさんとディール様に戻る。
ゾーイに金色スライム団子を渡す前に、ほんのひとにぎりだけ拝借して成分を調べた結果、普通のケーキ一個分の糖分で治ることが判明したのよ。
そうしたらもう、いよいよケーキを作るしかないでしょ!?
つまりあたしは、自分たちとディール様とカレンさんのためのウェディングケーキを作ることになったわけなのです!!
これは大変だぁ~。
つづく




