表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/52

三十五話 口づけはマロングラッセの薫り

 ゾーイからのリクエストで、マロングラッセを作っているところだった。


「いやぁ、久しぶりすぎて、ちょっと失敗したかも」


 栗の渋皮が上手にむけなくて、ゾーイに手伝ってもらったけれど、それでも形が崩れていびつになった。


「いいじゃん。こっちの崩れたやつの方がうまいし。なんか、ノゾミっぽい」

「ちょっと、あたしらしいってなんなのよぅ!?」


 ははっ、なんて笑いながら、ゾーイが目の前に立っている。


 正面から肩を抱かれて胸が高鳴る。


 ばあやさん、今日は用事があるからってことで、調理室は二人きりだけど。


 ドアに鍵をかけてないんだぞ?


 それでもかまわず、ゾーイはあたしの顎を上向かせる。


 ふれるだけの、やさしい口づけ。


 多分これが、あたしにとってのファーストキス。


 ほんのりとあまい、マロングラッセの薫りがした。


 ふふっ。


 これからマロングラッセを作るたびに、このことを思い出すのかな?


 恥ずかしいな。


 だけど、ゾーイは本当に不器用だなぁ。


 いっつもあたしに好き好きビームを出していたんだぜ、なんて言われたけど、全然わからなかったんだからねっ。


 もう。


 ところで、ヒトミ様が目をお覚ましになったら、あたしはもうお城に居なくても良くなるのかしら?


 そうしたらゾーイと離れ離れになるのかな?


 それは、嫌だな。


「っんぐつ!!!」


 ふいに胸を押さえたゾーイに、反対側の手で突き飛ばされた。


 え?


 なに?


 すごく苦しそうなんだけど??


「はぁ。わるいな、ノゾミ。オレ、自分に凍結魔法かけられないから、ギュルディーノ様たちをお呼びするからな」


 え?


 待って、どういうこと?


 凍結魔法って。


 どうして?


 考えている暇もなく、周囲の空間が歪んだ。


 カレンさんと前王の魔法は解いたはずなのに、どうしてまだ疫病があるの?


 これが、この苦しそうな症状が、疫病なの?


「すまない。カレンを優先して遅れた。ゾーイは横になれ。倒れるといけない」


 ばあやさんは若返った状態だ。


「ノゾミ、ごめんな。元に戻ったら結婚式を挙げような?」


 ……ずるいよ。


 今、そんなことを言わないでよ。


 だって、そんなのって栗の渋皮みたいな約束じゃない。


 だけど、あたしの不安をよそに、目の前でギュルディーノ様とばあやさんによって、ゾーイが凍結されてゆく。


「待って!! あたしまだゾーイに好きだってちゃんと言ってないんだからっ!!」

「ばっか、だな。そんなの言わなくてもわかってら――」


 ゾーイ!!


 ゾーイは凍結された。


 ギュルディーノ様の魔法で、凍結部屋に案内されたあたしは、そこでヒトミ様が目覚めていることに気がついた。


 けどもう、ゾーイもカレンさんも凍結されている。


 これって、どういうことなのっ!?


 つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ