異世界のタバコ商人と出会って、無職の身でも一攫千金を果たそう!20
肉が旨く酒も旨かった。
しかし、パスタは薄味で調味料の不足を示し、煙草に関してはちょっと救い難いありさまである。
俺はそのことを口にした。
「そうなんですよ、ケースケさん! せっかく煙草は贅沢品というポジションにあり、娯楽の王様と呼ばれているのに、この状況はあんまりだと思いませんか?」
「とはいえシャルローネ、だからこそ君の仕入れる異世界煙草は高級品として商いできるんだから、そこは良し悪しだよ」
「む〜〜それはそうなんですけど……」
「それよりもお酒の話なんだけど、ワインはニッポンで手に入るワインと差が無いみたいだね」
「あ〜〜それじゃあ大儲けはできなさそうですねぇ……」
「だからワイン以外での商いを考えた方がいいと思うんだ」
なるほどと言うと、シャルローネは他の酒を注文した。
「こちらは食中酒食後酒に使われているお酒ですので、ひとつお試しください」
琥珀色の液体が、グラスに注がれている。
見た目はウイスキー、香りは? ……やはりウイスキーだ。
で、お味の方は? ……やはりウイスキー。
それも庶民派、俺がよく飲んでいた安物に近い。
「これは、高級品?」
「はい、割とお高いものです」
「これならニッポンで飲まれているウイスキーでも代用できるかな?」
「お安いお酒でですか?」
「あぁ、ニッカブラックに似た味わいだね」
値段を聞かれたので、ニッポンではゴールデンバットシガー三個分と答えた。
う〜ん……とシャルローネは考え込んだ。
「ちょっとお高いですねぇ……」
「どのくらいの値段で考えてたの?」
「ケースケさんにお支払いしている、煙草二十本分くらい、一万円での販売を考えていました」
「十分だよ、シャルローネ。そのウイスキーは一本千円しないんだから!」
「あ、そうでしたね。それでは今度、そのお酒も試してみたいですね」
「そうだね、ニッカブラックだけでなく似たようなウイスキーを何本か用意しておくよ」
「お願いいたします」
ニッカブラック、トリスクラッシック、サントリーのレッド。
安い酒も種類が豊富だ。
ぜひとも貴族のみなさまに気に入っていただきたいものである。
シャルローネが葉巻をすすめてくれた。
いまひとつ乗り気ではなかったが、一本いただくことにする。
肺には入れない口腔吸引でニコチンを吸収する。
やはり腐った畳のような香りである。
火をつけるのに、シャルローネは魔法を使ってくれた。
「ところでシャルローネ、俺もこの世界で魔法なんか使えるようになったりするんだろうか?」
「魔法ですか? もちろんつかえますよ」
あまりにも当たり前に、シャルローネは答えてくれた。
「いま私が使ったような生活魔法ばかりでなく、スポーツ魔法なんていうものもあります。御案内いたしましょうか?」
「ぜひとも」
思いもかけず、魔法を体験できることとなった。




