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寿さんの雑記帳  作者: 寿
88/133

異世界のタバコ商人と出会って、無職の身でも一攫千金を果たそう!17

お待たせしました。更新再開です。

それでは改めまして。

そう言ってシャルローネは俺の目の前にアクセサリーをかざす。

それからなにやら呪文のようなものを唱えると、アクセサリーの中の宝石がボンヤリと輝き始めた。


そのアクセサリーは電子音のような、それでいて言語のような音を発する。

そのボンヤリとした輝きがおさまると、シャルローネはまぶたを開いた。


「メディカルチェック終了です、ケースケさん。どこにも異常は見当たりませんでした」


ホッとしたような、穏やかな微笑み。

そして思い出してしまう、まぶたを閉じたシャルローネの無防備な表情。

それが美術品のように美しすぎたこと。


「あの、ケースケさん?」


「あ、いやなんでもないんだ、シャルローネ!」


俺の目を覗き込むようにして、シャルローネの顔がアップで迫る。

艷やかな唇が迫ってくるようで、思わずたじろいでしまった。

いや、本当のことを言えば、邪な考えを見透かされたかと思ってなんだけど。


「お身体の具合が悪くなければ、少し外を歩いてみませんか? 私の住む世界を御案内します」


「あ、そそそうだね。魔法王国っていうのは俺も初めてだから」


いかん、まだ動揺している。

それくらい、シャルローネは警戒心無く急接近してきたのだ。

まったく、これじゃ中学生男子じゃないか。


風俗とはいえ、俺には経験があるんだぞ?

皮の剥けてないボウヤじゃないってのに。

年齢不相応な動揺に気恥ずかしさを感じていると、シャルローネは木造りのドアを押し開けた。

外から涼しい夜気が流れ込んできた。


いま気づいたのだけれど、俺たちがいた倉庫は煙草葉の倉庫だったようだ。

外からの夜気に、独特の香りは無い。

外は裏庭のようになっていて、塀の向こうには吊られたランプが街灯の役割を果たしている。


そしてシャルローネが歩いてゆくのは、母屋だろうか?

立派な建物というか向こう側に看板らしきものが見えるので、店舗ショップではないかと察せられた。

裏口の扉を開くシャルローネ。


どうぞと招かれた先はやはり店舗のバックヤード。

紙ケースがあちこちに積み上げられた、煙草ショップそのものであった。

店の中には喫煙場所シガー・スペースがもうけられていて、上等そうなローブを羽織った偉そうな男が二人、葉巻を楽しんでいた。


「おや、看板娘のお帰りかい?」


「そちらはどなたかな? 見かけない服装のようだが」


「こんばんは、フォウおじさま、レイおじさま。こちらは私に異世界煙草を商いしてくださっている、現地商人のケースケさんです」


おお、現地商人ときたぞ。

これは少し背筋を伸ばして歩かないと、シャルローネに恥をかかせてしまうな。

すると二人の男たちは顔を見合わせた。

また冴えないとか見すぼらしいとか言われるんだろうか?


「ふむ、背筋を伸ばしたね、彼……」


「決して高いみぶんではないようだが、しかし……」


「うむ、シャルローネお嬢さん、君に恥ずかしくないようにとの気遣いのようだな」


「あぁ、顔つきもグッと引き締まった」


いや、確かに俺はシャルローネのためにそうしたけど、それに対する評価は過分と言えた。


「いい相棒を持ったね、シャルローネお嬢さん」


「あぁ、良い若者だ」


「なにがいい若者なモンかね」


背後から聞き覚えのある、厳しい声。


「この男、シャルローネの着地が下手なのをいいことに、娘の尻の下に顔を埋めておったんだぞ」


「お父さん!」


シャルローネは声を荒げた。

そう、背後の声は親父さんだった。

っていうか、俺、シャルローネのお尻に顔を埋めたの?


マジ?

しまった! 感触を覚えてないぞ!

いや待て待て、俺にはまだ帰路がある。


シャルローネは着地が下手だから、チャンスはまだある!

今度はあ〜んなことになったり、こ〜んなことになったり。

夢はふくらんでしまうじゃないか。


「シャルローネお嬢さん、前言撤回だ」


「あぁ、急にスケベくさい顔になったわい」


俺の評価は急降下したようだ。


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