異世界のタバコ商人と出会って、無職の身でも一攫千金を果たそう!16
それでは、行ってみようか異世界アルフォーヌ魔法王国。
そのようにシャルローネに伝えると、花が開くような笑顔を見せてくれた。
彼女は俺の腕にからみついてきた。
「この方が安定しますから」
そう言うシャルローネは顔を赤くしている。
しかしギュッと抱きしめてくれる俺の腕に、シャルローネの胸の感触が。
それ以外の肉体の感触がががっ!
っつーかこんな感触、DO Tieを風俗で卒業したあの日以来である。
つまり俺は、すっかり「やったね、ヨロシク!」な気分になっていた。
すると俺の耳元で、シャルローネは甘い声と吐息で呪文を唱える。
というか、シャルローネの方が背が高いから、俺の指先はかなり高度なCAに導かれていた。
あぁっ、この娘を汚してしまいたい! という欲望とわずかに残る理性がせめぎ合う。
判定:引き分け防衛。
つまりどうにか地元有利の身贔屓判定……ホームタウン・デシジョンにより、辛くも理性が勝利した。
俺はどうにかシャルローネにきらわれることなく、異世界へ旅立てそうだった。
しかし異世界の美少女は、ロングスカートのひざをモジモジとさせて、俺の手を奥へといざなう。
「あ、あの……ケースケさん。そこは……恥ずかしいです……」
「そ、そうだねシャルローネ。ゴメン」
そう言って手を抜くと、上腕上部に柔らかな感触がっ!
それでいてシャルローネは嫌がらないものだから、その感触を大切に!
フヨフヨプニプニ。
うん、俺の少ない経験では、これはEカップ。
いやいや待て待て、男子のカップ判定はよほどのビッグサイズでなければDと判定しないと言う。
ならばシャルローネのサイズはひとつ繰り下げて、Dカップと判断しよう。
しかも少し硬い。
まるで何人たりとも足を踏み入れていない処女地のようであった。
そして俺はシャルローネとともに、ボワンという煙に包まれた。
さあ、異次元旅行だ!
ダリの描くとろけたような時計が亜空間に飛び交う世界を……と思いきや、あっという間に二回目のボワンという音。
そして謎の衝撃。
思わず俺は「ゲフッ」と声をもらす。
なんだこれは、目の前が真っ暗だぞ。
しかも全身に痛みというか、呼吸もままならない。
学生時代柔道の授業で、黒帯に背中から叩きつけられたような、そうだ! あの感触だ!
うぼぁ……とさえ言えずに痛みをこらえていると、「キャッ」というシャルローネの声。
そして急に視界が開けた。
木造建築の天井だろうか? それを背景にのぞき込んでくるシャルローネの顔が近い。
「大丈夫ですか、ケースケさん! すみません私ったら、着地が下手で……」
申し訳なさそうなシャルローネに、本当はタフぶって「大丈夫だよ」なんて言ってやりたかったが、いま現在の俺は全然だいじょばない状態。
指先ひとつ動かせないのだ。
するとシャルローネ、俺の鼻をまさぐり首筋に指を当てて「呼吸……ヨシ、脈……あり」とチェックをしていた。
おかげですこし回復の時間を稼げた。
ぬあぁと声をもらしてようやく腕を動かす。
「よかった……生きてる……」
シャルローネはホッとした表情だが、俺としては「死ぬ可能性あったんかい」とツッコミを入れたくなる。
なんとか上半身を起こし、いててとうめいた。
無理しないでください、とシャルローネはあくまでも優しい。
「オッホン……何かね君は、ウチの大事な娘の尻の下に顔をうずめて……」
オッサンのしわがれた声。
目を向けると、トランプのキングみたいな口ひげとローブの親父が、面白くなさそうな顔で俺を見ていた。
「なんてこと言うんですか、お父さま! ケースケさんは私の商いを手伝ってくださる、大切な現地人なんですよ!」
シャルローネはムキになったような声をあげる。
というかその勢いで、推定Dカップの胸に抱きしめられる。わ〜お♪
っていうか、お父さま?
なるほど、あれがシャルローネの親父さんかい。
確か貴族相手に商いしているとか言っていたけど、なるほどそれっぽい貫禄だ。
かつての薄っぺらな上司とは、モノが違う。
「ほう? それがお前の言う現地人か。……あまりパッとせんなぁ」
ほっといてくれ。
あんたと違って俺は無職の浪人。
シャルローネのぬくもりが無ければ収入すら無い、ダメな男なんだ。
「しかしまあ、お前のパートナーというなら、責任持って管理するんだぞ? 周りの人に迷惑にならないようにな」
お? 案外話がわかるというか、娘を溺愛するバカ親父かと思っていたんだけど。
そうでもないようだ。
親父さん、俺に背中を向けると、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「大丈夫ですか、ケースケさん?」
「あ、あぁ……なんとかね。でもシャルローネの親父さん、わりとタンパクだったなぁ……」
「へへへ、私が初めて男の人を連れて来たから、どう接していいかわからなかったんですよ」
「だけどあの親父さんを見ると、シャルローネが富豪のお嬢さまだってことが、よくわかるよ」
「普段はもっと人当たりの良い父なんですけど……」
まあ、商人なんだからそのはずだよな。
と、辺りを改めて見回す。
窓さえ無い、ランプの灯りだけの木造建築。
まるで納屋か倉庫のような場所だ。
床に描かれているのは、これは魔法陣かな? 謎の文様が描かれている。
ここは? と訊くとシャルローネは旅立ちの間ですと答えてくれた。
「私はいつもここからニッポンへ出かけているんですよ」
もっと厳しい、秘密の地下室のような場所を想像していたけど、案外普通の場所だった。
作者寿、現在十二時間勤務の夜勤を命じられて時間が無いと嘆いておりましたが、ありがたいことに会社さまから夜勤明けの日勤まで命じられてしまいました。少し更新が滞りますが、私に時間をいただきたく存じます。




