異世界のタバコ商人と出会って、無職の身でも一攫千金を果たそう!13
シャルローネから新たにゴールデンバットシガー十パックの注文が入った。
「じゃあちょっと待ってて」
そう言っておれは部屋を出て階段を降り、表に出て自転車のロックを外した。
ひらりまたがる我が愛機。
ペダルを踏んで一気に加速する。
めざすはシガーショップ。
世界の煙草を置いてある店だ。
そこでいつもの煙草をワンカートン購入して、急いで部屋に帰ってきた。
たたみべやの四畳半、シャルローネは所在なげに座っていた。
俺が出かけているときは、いつもこんな不安そうな気持ちだったんだろうな。
そう考えると、胸が痛む。
「お待たせ、いつもの煙草十パックだよ」
「今日は早かったんですね、おかげで部屋を物色する隙が……いえ、なんでもありません」
故意にやっとったんかい、部屋の物色。
しかし不快な気分ではない。
相手がシャルローネだからだろうか?
「ときにケースケさん?」
シャルローネが上目遣い。
男子という者は、美少女の上目遣いに弱いと知ってか、上目遣い。
「先日のそふとくりーむ、大変に美味しかったのですが、この世界に甘い食べ物はまだまだあるのでしょうか?」
「ソフトクリームの他にかい? もちろんあるよ。ただ、おれが甘味に疎いから案内できないだけで」
「おぉっ! まだあるんですか、甘い食べ物が!」
シャルローネの瞳が輝いた。
これは暗に「甘い物を食べさせろ、つれていけ」という主張なのだろう。
ソフトクリームの他に、シャルローネの甘い物欲求を止められる手段があるのだろうか?
俺は記憶の中でフルスロットル。頭から湯気が出そうなくらい考えた。
華やかな表参道。
着飾った女の子たちが歩きながら口にするスイーツ。
発想が貧困だとお笑いください。
俺にはクレープしか思いつかなかったんだ。
それなら移動販売車や屋台がでているのを見たことがあるが、いつもそこにいるとは限らない。
「今日は店を出しているかどうかわからないけど、ちょっと出かけてみるかい?」
「よろしいのですか!?」
「もちろんだとも」
というか、そんなに瞳をキラキラ輝かされては、ダメだとは言えない。
ということで、ブーツをつまんだシャルローネとともに玄関へ。
外に出て「少し歩くよ」と教えておく。
シャルローネと並んで二人歩き。
彼女は俺のブルゾンの袖をつまんでついてくる。
そしてシャルローネの方が少し背が高い。
くすんだ街、ふきだまり町をでて、いきなり明るい雰囲気のとなり町へ。
ふきだまり町は歩いている人間がオッサンや飲み屋の関係者ばかりなのに対して、となり町は若者が多い。
つまり着ている服の色がカラフルで、それだけで目の保養になる。
シャルローネは白いブラウスにベージュのロングスカートで、色合いこそおとなしいのだが、顔立ちに華があり道ゆく人々の視線を集めていた。
それはもう、男女を問わずである。
女の子たちが「やだ、あの人メッチャ綺麗……」などと言うくらいなので、シャルローネの美貌というのは本物の領域なのだろう。




