その3 王子編
私は王子。
爽やかな王子。
なに不自由なく生まれ育ち、最高の教育と教養を授かり青春期を迎えた。
学友にも恵まれていた。
侯爵子息、伯爵家長男。
いわば私が国を継いだ暁に、右腕や懐刀となってくれるであろう頼もしい仲間だ。
さらには建国以来の商家の跡取りまでくわえて、私と仲間たちは輝かしい未来を約束されていた。
そして誰よりも私にとってまぶしいひと。
心からの愛を誓い合った女性、侯爵令嬢レナどのもいる。
まだ少しばかり手をとっただけの触れ合いでしかないのだが、その可憐な容姿や深い教養なども相まって、私の胸の内で大輪の花となって咲き誇る女性。
友があり、恋があり、青春という季節が訪れている。
これ以上に望むべきことが、他にあろうや?
いや、無い。
無いはずなのだが、しかし。
私の中でなにか満たされぬものが存在する。
私は本当にレナさん愛しているのだろうか?
私は王子。
身分がある。
国を担わなければならない。
つまり私の婚姻というのは世継ぎを残す行為でしかない。
その相手がレナさん。
子作りの相手。
つまり、恋はしていない。
そんな迷いの中にあったとき、私の周りでさえずる小鳥が現れた。
少しばかり小柄でありながら、愛くるしい容姿。
意識の中に入り始めたときから心に残る娘。
授業のときも彼女を思い、家に帰っても彼女を思う。
嗚呼、これが恋なのだろうか?
しかしレナさんの姿を思い起こすと、自然に右手は悪習へと旅立ってしまう。
そう、小鳥は愛でるものであり汚すものではないのだ。
だからこれが恋という感情なのだろう。
私の日常はレナさんと小鳥の間を、行ったり来たりするようになった。
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