コント『異世界から転生』その16
「そんなに固くならんでもえぇ、俺もあれから考えたんじゃ。俺や兄者のような人間の時代じゃないとな」
あぁ、さすがに無法者の時代じゃないってことだけは理解してくれたようだね。
「兄者との将来の話じゃ。俺とて頭くらいは使うわい」
好漢はカラカラと笑う。
「しかし無法者というのはいつの時代、どこの世界にもいるもんじゃい。そいつらがどうやって現代を合法的に生きているのかも調べたんじゃ」
なんだか話の雲行きが怪しくなってきたぞ?
「兄者、自衛隊に入るべぇ! あそこなら身体ひとつ、腕っぷし一本でのし上がれるぞい!」
「謝れ槇原くん、日本を守るすべての自衛隊のみなさんに、土下座して謝れ!」
「やはり男が出世するなら軍隊よのぉ! 兄者が隊長、俺は右腕じゃい!」
いや、槇原くん。自衛隊というのは公務員であって、無法者の集団じゃないからね。
規律は絶対、規則はいっぱい。
それが自衛隊というものだぞ!
君は根本的な部分で勘違いしている!
「なに、ドンパチ始まっても、負けるような君と俺ではなかろうて」
言うんだ。
戦いというものを理解していないのに限って、威勢のいいことを言うんだ。
「どうにも勝てんとなったところで心配するな! 俺が兄者を背負って、天王山を駆け上がってやるわい!」
そしてこういういらない知識だけは持っているものだ。
「しかしだね、槇原くん。僕が隊長で君が右腕、うん、それはいいだろう。だけどそれを決めるのは人事であって、僕たちが決めることじゃないからね?」
「なに簡単なことよ。気に入らん隊長がいたら、まず俺がブッ飛ばして、そこに兄者が座ればいい」
「その発想が間違いだ! ならず者の集団を作ろうってのと、なにひとつ変わってないよ!」
隊長というのは腕っぷしでなるものじゃない。
兵士一人ひとりの命を背負っているものなんだ。
生半可な気持ちでできるものではないんだよ。
そのことを理解してもらうだけで、帰り道が終わってしまった。




