コント『異世界から転生』その11
「kれで自己紹介とお兄さまの鬼畜っぷり暴露会は済みましたけど、ここからが本題ですわね」
姫乃木さんがやんわりと言うが、目は笑っていない。
明らかに獲物を狙う眼差し、そしてこの獲物は絶対に譲らないという意思を感じる。
「本題というのは、過去の記憶がよみがえってしまったわたくし共。そして比較的近隣に前世の中心人物たるお兄さま……佐藤麻実也さんが存在してしまったこと」
「つまりはこれから麻実也とどのように現世を過ごしていきたいか? それが大きな大問題、という訳ですね?」
「さすがアカデミー教授。理解が早くて助かるわ」
「つまりは将来の展望を語れと、そういうことですね?」
確認するセバスチャン田中は、緊張の面持ちだった。
つまり彼は理解しているということだ。
ここで頭の悪い展望を語れば、周囲から袋叩きに逢うが如く、その展望が否定されて存在意義を却下されてしまうということを。
「それなら俺から語らせてもらうか! 当然のように今生でも兄者とは義兄弟の契りを交わし、悪い役人どもは成敗成敗、また成敗!
そしたら山でも買って子分どもと畑をこしらえて、悠々自適の暮らしをするわい!」
ということで、流れをまったく理解していない男がひとり。
当たり前のように、周囲の猛反発を浴びることになる。
「悪い役人って、もう越後屋と悪代官の時代じゃないんだから!」
「そうですわ、役所務めのみなさんも悪事を働いているわけではないのですから!」
「大体にして成敗ってなんですか! 腕力にものを言わせれば、現代社会では確実に重罪なんですよ!」
「それに山を買ってって、どこからそんなお金が出てくるのよ! ってゆーか社会生活を放棄してどうするってゆーのよ!」
男子としては夢見たい一国一城の主らしい話だけれど、浪漫が過ぎたようだ。
というか、僕の目から見ても現実味が乏しい。
思わぬ集中砲火を浴びてショゲてしまっている槇原くんには悪いけど、君の案は却下だ。
「やはり現実的に考えますと、お館さまには企業を立ち上げていただいて、そのトップに立っていただくのが一番かと……」
セバスチャン田中、ふんぞり返っての発案である。
「やはり現実的に支配的地位を確立するには、誰にでもチャンスのある資本主義社会。口ひとつで資金をかき集めていただき、起業していただくのが正解かと」
合言葉は、『I HABE A DOREAME!』と宣言した。
しかし女性陣は辛辣だ。
「綴りが間違ってますわね」
「麻実也が起業家? 人畜無害にそんなことできる訳ないじゃない」
「つーか、俺の話と大して変わらんじゃろ」
ここぞとばかりに復活した槇原くんまで容赦が無い。
先程の意趣返しというヤツか。
詰まるところセバスチャン田中の発案も、夢物語に近いということで却下となった。
「だがこうなると」
アウトロー槇原はアゴを撫でる。
「御婦人方はどれだけ現実的な未来像を語ってくれるんかのう?」
番長弁、すっかり板についております。




