コント『異世界から転生』その5
そして深雪の幹事により、前世の記憶を取り戻した全員で集まることにした。
田中くんもそれで引き下がってくれた。
そうなると今夜、OLの姫乃樹さんから電話がくるので、そのことを伝えなくてはならない。
姫乃木さん以外にも前世の記憶がよみがえった人間が複数いることも。
そして柔道マン槇原くんは、明日そのことを伝えればいいだろう。
どうせ明日も僕のところへ押し掛けてくるに決まっている。
そして夜、八時丁度に姫乃木さんから電話が入った。
こんな時間まで大変ですねとねぎらうと、僕の夕食が済んでいるであろう時間帯をねらった、ということだ。
社会人としての気づかいのようだ。
そんな女性にすがられて、本来なら気分がいいところなはずなんだけど、やっぱり僕の未熟さばかりが際立ってしまう。
まず僕は、周囲に前世の記憶がよみがえった人間が複数現れたことを伝えた。
そしてそれぞれの立場や思いの丈を存分に語ってもらう場を設けようとしていることもだ。
次の日曜日、駅前のハンバーガーショップに十一時集合。
姫乃木さんは他のメンバーのことを訊いてきた。
柔道部員が前世で僕と義兄弟の盃を交わし、悪事の限りを尽してきたと教える。
中学の同級生は領主の僕に仕えて、悪政を敷いていたことも伝えた。
そして深雪。
僕の方が彼女に仕えていたことを教えた。
女子の名前が出てきたことに、姫乃木さんは反応する。
「どんな女なんですか?」
「能天気なヤツですよ」
「同じクラスなんですか?」
「いえいえ、となりのクラスです」
その他には、タメ口をきいてくる男友達のような存在、ということも予備知識として与えておく。
ただし、前世の僕と深雪が結ばれたことは、口にできなかった。
とてもではないけど、口にできないような姫乃木さんの食いつきようだった。
僕の記憶では、姫乃木さんの前世は僕に恋い焦がれながら結ばれなかった妹。
そんな彼女に「深雪とは前世で結ばれてました」などとは、やはり言うことができないだろう。
そして話に食いついてくる姫乃木さんの迫力が、僕に口を閉ざさせたのだ。
「深雪と前世を話したら、殺される!」
本能的にそう感じてしまったのだ。
とりあえず姫乃木さんの都合もつけてもらう。
日曜日にはハンバーガーショップで、熱い闘いとなるであろう。
……僕にとっては地獄行きの予感しかしないのだけど。
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なぜでしょう? 私のデータ使用量が超過しているからでしょうか?




