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寿さんの雑記帳  作者: 寿
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コント『異世界から転生』その3

登下校をこれから毎日一緒にすると言ってきかない柔道マン、槇原くんをどうにか巻いて僕は教室を出た。


ヤツはこれから部活で、僕は帰宅部であるから即座に帰宅できるのだ。

このアドバンテージを利用しての逃亡である。


悪いけどさっさと帰らせていただくよ、ソウル・ブラザー。

しかし図書室から別の刺客が現れた。


予想外の刺客は僕を見詰めていた。


「帰るの、麻実也?」

「あ、あぁ……」


なんだかいつもと雰囲気の違う、幼馴染の深雪だった。


「一緒に帰らない?」

「あぁ、いいよ」


いつもならバカ話のひとつでも振ってくるのに、今日はそれが無い。

どころか、しおらしく両手で学生カバンを提げて、ちょっと女の子を演出してるみたいだ。


「ね、麻実也。朝の話おぼえてる?」

「朝の話?」


もちろん忘れていた。

「ほら、前世の記憶がよみがえるって話」

「あぁ、あれか。おかげで今日は散々な目に逢ったよ」



朝のOLさんの話、柔道マン槇原くんの話を打ち明ける。

「どっちの話も全然記憶に無いんだよね、二人には悪いんだけど」

「……そう、なんだ」


ちょっと深雪はションボリしている。

「やっぱり覚えてもいないのに迷惑だよね、前世の記憶なんて」

無理に作っているような笑顔が痛々しい。



もしかして、深雪のやつも……まさか……。

「深雪もそうなのか?」

「え?」

「いや、その、前世の記憶ってやつ。突然思い出しちゃったとか」

「そ、そうなんだよね……アタシ、麻実也と前世で関係があったんだ……」



うかがいましょう。

僕がそういうと、深雪はポツポツと語り出した。



異世界シュメリング王国で深雪はアカデミーの教授まで務める、大魔法使いだったそうだ。

そして僕はその弟子の少年。

研究に明け暮れる教授があまりにも女性としてダメ過ぎて、身の回りの世話を焼いていたそうだ。


「麻実也は……あのときの名前はルカね。ルカはよく尽してくれたわ。掃除洗濯ご飯の支度。果ては魔法の実験と称した冒険にも出て、ダメな私をフォローしてくれたの」


深雪の一人称が『アタシ』から『私』に変わった。


「そんなルカが愛しくて愛しくて、ある冒険の森の中で……ごちそうさまでした!」


食ったのかよ⁉ オネショタかよ⁉ ダメじゃんそれ!


「あのときのルカ、可愛らしかったなぁ……緊張してるクセに一生懸命になって」


なにに一生懸命だったかは、敢えて訊くまい。


「愛する私のためにあの手この手でライバルたちの足を引っ張ってくれたりして」


やっぱりロクでなしなんだね、前世の僕。


「ルカのおかげで私は王国一番の大魔導師に登りつめることができたの」


それくらいなってもらわないと僕が困るよ。

汚れ仕事は全部僕が引き受けてるんだから。



「それで、深雪はどうしたいの? 槇原くんはまた二人で暴れようって言ってくるし、OLさんはなんとしてでも結ばれたそうな感じだったし」

「え? アタシはその……麻実也と前世で結ばれてたっていう記憶で一杯で……麻実也こそどうするつもりよ?」

「僕としては悪さはしたくないし、OLさんも美人だけどピンと来ないでいる。とりあえず一度は話し合いはしたいかなって……」


話し合ってどうなるってものでもないだろうけど、何もしなければ何にもならない。


「それじゃあその話し合い、アタシも参加だね?」

「もちろんそうなるね」

「よ〜〜っし、当面の目標は麻実也に望まない結婚をさせないことと、悪の道に入らないよう阻止することだね!」

そう言ってもらえるとありがたい。


「で、麻実也。アタシも他の二人みたいにしよっか?」

「なにを?」

「あぁっ、ルカ! ルカ! 私の愛しいひと! とか」

「是非ともやめてください」

心からの願いであった。


だがふざけていた深雪も元気を取り戻したようで、ケラケラと笑いながら先を歩いた。


あまりコントらしくない展開をお詫びいたします。

次の更新は25日の予定です

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