第24話『根性論の否定』
ここまで敵勢力について調べていた乙姫が、ようやく顔を上げた。
「麻実也艦長、検索終わりました。敵の空母は最新鋭のものです。そこに精鋭水雷戦隊と最新の戦艦が護衛についています」
「なるほど、そりゃ逃げ出す訳にもいかないか」
そして、帝国軍がどれだけ惑星Gを重視しているかもうかがい知れる。
電探はまっすぐ突っ込んでくる輸送船団をとらえていた。
「それじゃあ全体に通信。僕たちは空母や戦艦を主に狙って、輸送船団は水雷戦隊に沈めてもらおう」
あれもこれもと欲張っていたら、魚雷の数が足りなくなりそうだ。
僕たちは護衛に的を絞った方がいい。
そうなると桜姫が動く。
敵の飛行機を落としながら、空母をしとめやすそうな魚雷発射位置を模索しているようだ。
そんな動きをしながらも、桜姫は砲撃のペースを緩めない。
「ライゾウって器用だなぁ」
「本当に、よく当てますねぇ……」
乙姫もさすがにあきれ顔だった。
「桜姫の真似しろったって、無理だからな! 艦長!」
砲雷長が口を尖らす。
だけど僕はべつにそんなことを要求はしていない。
「ライゾウの真似しろって言われても、僕にはできないからね、砲雷長。お互いに無理や無茶を言うのはよそうじゃないか」
飛行機相手に6インチ砲で撃墜を繰り返すだけでも、たいがいな技術なんだ。
そして潜水艦乙姫の防空能力だって、たいがいなものだということを、僕も知っている。
そうでなければ、ジョー司令官のあの地獄みたいな特訓は切り抜けられなかっただろう。
とにかく第二十一潜水艦隊は、敵の第二次攻撃隊も血祭りにあげているところ。
こうなると僕の中には「戦争は根性でやるものではなく、兵器でやるものだ」という考えが生じてくる。
潜水艦乙姫の目であるレーダー。そして主砲の連射能力。
さらにはそれを潜水艦で成功させたという実績。
どれが欠けても、この圧倒的有利は得られないはずだ。
このクレイジーなまでの戦力を整えたのは、他ならぬ天才技師カナザワ技官である。
戦果においては乙姫や桜姫が讃えられるだろう。
しかし真の功労者はカナザワ技官その人なのだ。
「それじゃあ麻実也兄ちゃん! オイラは飛行機の生き残りをヤルから、乙姫は空母をシメに行ってくれる?」
ライゾウからの通信だ。
「乙姫、潜水艦の進路を魚雷発射位置へ!」
「了解しました。潜水艦乙姫、仰角三○度へ艦首上げ」
乙姫は敵の空母を、甲板方向からしとめるつもりのようだ。
射撃位置を飛行機くらいの高さにとる。
眼下には堂々の進軍をする空母四隻がいた。




