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寿さんの雑記帳  作者: 寿
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お客さん、いかがですか? その3

乙姫オリジナルが言う内火艇は空を駆けて、上空に停泊している潜水艦乙姫に接舷した。甲板と同じ高さである。

乙姫に手を引かれて僕も甲板に乗り移る。不覚にも乙姫の手を取ることになったけど、小さな手だなと感じてしまった。

甲板には乗組員である乙姫たちが整列していた。



まずは赤いセーラー服の乙姫。

「砲雷長乙姫です! よろしくお願いします!」

次は黄色いセーラー服の乙姫。

「航海長乙姫です! よろしくお願いします!」

そして青いセーラー服の乙姫。

「機関長乙姫です! よろしくお願いします!」

最後は緑色のセーラー服の乙姫。

「主計長乙姫です! よろしくお願いします!」

で、オリジナルはニットのベストにネクタイとプリーツスカートに黒いハイソックス。

根本的に制服が違う。

「そして私が乙姫の副長を務めます。オリジナルアンドロイドの乙姫です。よろしくお願いします、艦長」




「えっと、新米艦長の伊藤麻実也です。不慣れなところもあるだろうけど、みんなのためにがんばるよ」

同じ顔ばかり百人ほど並んでいるけれど、美少女に囲まれているのだから気分はいい。

「それではこれより惑星アルファへ出発します。総員持ち場につけ、出航用意!」

ぱっぱらっぱぱ〜♪ とラッパが響く。

スピーカーからは「出航用意!」の号令が流れた。




「それでは艦長、艦内を案内いたします」

無骨にそびえる艦橋をタラップで登るのかと思ったら、甲板から出入りしやすいように、ちゃんとハッチがついていた。だけどそこからが狭い。垂直に降りるタラップを、乙姫が降りてゆく。

降りてすぐにコックピットのような場所。

「ここが発令所です。艦長には主にこちらで指揮をとっていただきます」

「すごく狭いねぇ」

「潜水艦ですから」

すでにエンジンは轟々と鳴り、船が進んでいるのが感じられた。航海長や機関長がすでに狭い空間に立って、指示を発していた。砲雷長も立っていたが、こちらはまだ出番が無いようだ。




「さらに下へまいります」

乙姫はさらにタラップを降りてゆく。

すると同じハッチの並んだ廊下に降りた。

そのひとつ。「こちらが艦長寝室です」とのこと。

「同じハッチばかりで迷子になりそうだ」

「その点は御安心を」

副長室と書かれたハッチを、乙姫が開いた。カプセルというか充電器というか、そんな設備しか無い部屋だった。

「内装がまったく違います」

僕の部屋にはベッドと机があったので、なるほどとおもった。

「この船で人間は艦長だけですので、食堂はありません。トイレも艦長専用です」

「じゃあ食事はどうするの?」

「オリジナルである私が腕を振るわせていただきます」

「それは楽しみだね」




ということで機関室や乗組員の寝室を見せてもらったけれど、噂どおりに、魚雷の上に充電器のようなものが据えられていた。さすが潜水艦だ。改めてそういう気になってきた。

狭いながらもそれなりに大きな潜水艦だった。艦内一周グルリと巡って、また狭い発令所に戻る。

「艦長、これより潜行します」

「え? あ、はい。お願いします」

お願いだから航海長、いきなり話しかけないでくれよ。舵を握ってる船員がクスクス笑ってるじゃないか。




「彼女なりのジョークです。許してあげて下さいね」

乙姫もクスクス笑わない。

だけど……。

「もう潜るのかい? ちょっと早くないかな? 惑星アルファまではかなりあるんでしょ?」

「おっしゃるとおりです、艦長。ですが先程もさり気なく申したとおり、地球人である伊藤麻実也さまを艦長にお迎えするのは極秘事項ですので。急ぎ潜行させていただきました」

「なるほどなるほど。でもこの潜水艦、いつになったら潜るの?」

「は?」

「ほら、ちっとも艦首が下がらないから」




「あぁ♪」

と言って、乙姫は手を打つ。

「乙姫は次元潜水艦。艦長の世界の潜水艦とは、少し違います」

魚雷の上に人が寝るのは同じだけどね。

「艦長の世界では潜水艦は物理的に海に潜る船ですが、宇宙には海水がありません。異次元空間に潜ることで、敵のレーダーから身を隠すんです。ですから艦首を下げなくても異次元空間には潜れるんです」




そのままワープでもするんだろうか?

「それだけの機能は備えていますけど、今回はその必要がありませんので」

う〜〜ん、ワープといえば透ける衣服。そこには男のロマンがあるんだけどなぁ。

「とはいえ航海中は退屈でしょうから、これを被ってみるのはいかがでしょう?」

ものすごく軽いヘルメットを渡された。バイクのオープンフェイスのようなヘルメットで、シールドがついている。そのシールドをおろすと。

「おぉっ!」





CGなんだろうけど、いま船がどのようになっているかが映し出された。

「本来は戦闘装備のヘルメットなので合戦時にはこれで状況を把握していただくのですが、業務になれるまではこちらをご利用ください」

異次元空間のウニョウニョしか写っていなかったけど、切り替えと念じると広大な宇宙空間が広がった。これが潜水艦の外の世界と、いま現在いる宇宙空間なのか。


かなり嗜好が偏ってますか? そうですか

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