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SMALL TALK STORY  作者: 梨初
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4日目:新生活スタート

昨日不動産屋の鈴木さんが紹介してくれた古民家に住む事になったエナ。


荷物は妖精界から持ってきたトランクケースがひとつと


さっき買ったUNHEMの衣服だけなので8畳の1Rでも広い!


しかもキッチン・風呂・トイレも共同なのでとんでもなく広く感じる。


キャンペーン物件につき敷金と礼金も抑えられ、荷物が少ないので引越し費用も要らなかった。


初期費用はかなり安く済んだ。


洗濯も手洗いするから別に洗濯機なども必要ないとの事。


そんな事よりも水道の蛇口から水が出る事に驚いている模様。


また水を出したり止めたりして遊んでいる(笑)


浮いたお金で引越し祝いも込め


エナの念願だった花を選びにお花屋さんへ行く。


妖精界でも花を育てたり交換したりする習慣はあったようで



花を選ぶのには慣れているようなので、ついでにお金の使い方についても教えといた。


イマイチピンとこない感じだったが


あとは回数を重ねて慣れの問題だろう。


初回なのでたくさんは買わず


ミニバラやミニヒマワリなどの小さな苗を数種類選んでいた。


ホームセンターで花専用の培養土やジョウロ・鉢なども購入し


小さく丁寧に花を育てる事からはじめると決めたようだ。


家に持ち帰ると早速鉢への植え替えとセッティングにかかるエナ。


手慣れたもので、妖精界でも花を育てていた事がよくわかった。


自然光が入る出窓に鉢を置くと


買ってきたジョウロで長い時間かけ


花や葉が傷つかないよう株元へ丁寧に水をあげている。


半分冗談くらいに聞いていたのだが


どうやら本当に植物と会話ができるようだ。


エナが一方的に話しかけてるようにこちらには見えるのだが


不思議とエナの問いかけに


花が頷いているようにも見えた。


何を話してるの?と聞いたら


「その男の人は優しい人だから安心して良いよ」とオレの話をしていたらしい。


なぜ花にそんな事がわかる(笑)


男なんて優しいのは最初だけだぞ~と注意しようと思ったが


エナがあまりに安心したような顔をしていたので


無用に不安を煽るような事はせず


言葉を引っ込めた。


食材は歩いて30分ほどのところにあるスーパー・ミラノで購入。


どこにでもありそうな雰囲気のスーパー。




どこがミラノやねん




という気持ちは抑えつつ食材を購入。


セルフレジの支払い方も何回かオレがやってるところを見て習得。


予想に反してデキる女を見せるエナ(笑)


今夜の食事の準備もできたし


困った時はいつでも連絡できるよう


事前に契約しておいたスマホを渡し


ざっくりとだけど使い方も教えといた。


覚える事が多くて


さすがに頭がパンクしそうな感じだったので


その日は鍋を作ってあげ二人で小さな引越し祝いをしたのだった。




その日はもう21時を過ぎていたのと


次に使う人もいたので


オレらは共同キッチンを片付け


エナと別れてオレは自分の家に帰り


山積みになっている仕事を片付けていた。


さすがに遊んでばかりいられないので本気出す。


気合い入れるために珈琲でもと思っていたら


気づくと18件の着信があった......エナからだ。


18件って(笑)


なんか急用かと思い掛け直すと


眠れないから助けて欲しいとの事だった。


どうやら部屋の電気も煌々とついたままらしい。


水道やスマホ、洋服に待望のお花さん達


初めて見るものだらけのこんな環境で、眠れるわけもない。


興奮するのもエナの立場に立てばわからなくもない。


お花さん達はもう眠っている模様。


普段は明るい女の子だが


どこか、今だけはひとりが寂しいとも受け取れるような


何かある雰囲気があった。


ただ、聞かれたくない事もあるだろうし


自分から話してくれるまで待とうと思い


あえて深掘りはしなかった。


たぶんエナも同じなんだと思う。


エナは詮索する事をしない。


他人に興味がないのではなく


他人のパーソナルスペースに土足で入るような真似をしない。


オレにも本質を突くような質問は一切しない。


明るいだけじゃなく性格もとても良い子だと思う。


だから一緒にいて居心地が良いし、オレも助けてあげたいって思ったのかもしれない。


話は飛ぶが妖精は自然の時間の流れに従う。


これは日誌に書いてあったので間違いないと思う。


陽が落ち暗くなってきたら静かに過ごすか明日に備えて眠る。


「灯籠花」と呼ばれる蛍の光で周囲をやんわり明るくする間接照明のようなものもあるが


あくまでうっすら明るく周囲を照らしてくれるだけで


入眠を阻むほどのものではない。


昼夜が逆転したようなもので、真っ暗な夜の世界がいきなり明るくなったわけだから当然といえば当然なのだが


スイッチを押せば照明は消える事を教えたら無事眠れそうになったとの事だった。


エナは豆電球スキルを獲得。また一歩人間界に近づいたのだった。


オレは仕事に戻りいよいよ徹夜コース。


経営の仕事以外もカメラマンとしての仕事もある。


国家資格や試験がない代わりに、誰でもプロを名乗れ実力だけでのしあがる世界。


オレがこの仕事を始めた理由は、あの日(初めて山で見たあの日)見た絶世の美女を撮りたいと思ったからだ。


世間の基準などどうでも良いのだが、エナの魅力を最大限引き出せるスキルは欲しい。


生活が落ち着いたら本格的にモデル業務の方手伝ってもらおう。


夜は長いぞ。よし!頑張ろう。




睡眠時間2時間といったところで今日のスタートを切るオレ。若いうちはオールしても何ともなかったが、もうさすがにキツイ。さらに仕事となるとミスは許されないが頭も回らない。こんな時はあのアホを思い出す(笑) 


フローリングでくるくる回ったり冷蔵庫を開けたり閉めたりして暮らしを楽しんでいるあの子を見てると自然とどんな大変な事もどうでもよくなり笑ってしまうのだった。本当に不思議な子だ。


オレが仕事と格闘していたその頃、エナさんはお花さん達に水をやっていたらしい(笑)「早く大きくなって綺麗なお花たくさん咲かすんだよ~」とエナが話しかけると、お花さん達は踊るように上下左右に体を動かしエナのお話に応えているかのようだった。


エナにとってオレは人間界で最初にできた友達で、大切な人になっていたらしい。その次はお花さん達。少しずつ増えていく仲間の存在と一緒に、自分の居場所を作り始めていた。「仕事も一生懸命頑張って、レンに恩返ししなきゃ。レンがいなきゃ何もできなかった。」日誌には、そんな事が書かれていた。


エナはスーパーでファッション雑誌を買ってきてモデルの仕事がどんなものなのか自分なりに勉強していたようだ。いよいよ、次回よりエナのUNHEM専属モデル編スタート。

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