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SMALL TALK STORY  作者: 梨初
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3/6

2日目:不思議だらけの普通の世界

コンコンッ......




何度かノックするが応答がない。




中から何か大きな音が聞こえるが出てはこない。




エナさん、レンです。約束通り迎えに来ましたよ?開けてくれますか?




ドアノブを回すと鍵は開いていた。




返事がないので少し心配になり中に入る事にした。




入りますよ~と部屋に入るもエナの姿はない。




テレビは隣から騒音苦情がくる程の大音量でつけっぱなし。




テレビを消し部屋中を見渡すがエナはいない......








いや、いた!!!(笑)








小型冷蔵庫のドアを繰り返し開けたり閉めたりして遊んでいた。




遊んでいたというより




開ければ冷気がきて涼しいし、閉めれば涼しくなくなるのが楽しくて仕方がないらしい。




目をキラキラさせながら「あ、涼しい~」「んん?普通だぞ?」を繰り返して感動していたようだ。




大方テレビもつけてはみたが消し方がわからず触りまくってたら大音量になった......みたいなとこだろう。




よく見ると目の下にガッツリ「クマ」が出来、状況をよく説明してくれている(笑)




エナさん、シャワーは浴びましたか?




シャワー???




......と昨日教えたんだが聞くまでもなかったか。




シャワーって妖精界にはないんです?




うーん。ない。




あ、ないのか。着替えとスーツケース持ってきたんで良かったら使ってください。




ここひねるでしょ?




するとお湯が出てくるのでこのお湯で体をキレイにしてください。




髪はこのシャンプーで、体はこのボディソープを使って洗ってください。




ふむふむ......と何やら難しそうな表情で真剣に聞いている。




そうか。この子にはゼロから教えてあげないとわからないんだな。




異世界から来たんだから




テレビも冷蔵庫もシャワーも。




鍵すらなくても驚かない。




妖精なんだもんな。




本当に人間じゃないんだ。




この世界のものすべてが不思議なものに映るんだろうな。




何度か教えると、シャワーの使い方も覚えた様子。








ーー1時間後








昨日の川遊びで泥だらけだった手足も




すっかりきれいにして出てきた。




最初に着ていた異世界感溢れる白のワンピースとは違い




人間の服を着るとただの超絶美少女だな......というのがオレの第一印象だった。




とにかくエナはすべてが美しくキラキラと輝いて見えた。




やってる事がアホっぽいギャップもまた




完璧じゃないからなんかたまらなくかわいいのだ。




10時半か......ホテルの朝食の時間はとっくに過ぎているし








そろそろチェックアウトの時間。




エナが散らかした怪獣部屋を一通り片付けたあと(笑)




ホテルを後にしエナをファミレスへ連れて行く事にした。




時間が時間だから朝昼兼用で良いと思うけど




妖精って何食べるんだろう?




とりあえずお腹空いてるだろうから




お腹いっぱい食べさせてあげよう。




ファミレスに到着。




エナさん、このメニューの中から食べたいの選んで?食べれないものとかってある?




というか、どのくらい食べてないの?




3日ぶりの食事。川の水だけ。お腹空いてた~。お肉以外なら何でも大丈夫。


だけどわたし何も持ってないよ?どうやって食べるの?昨日は宿も泊めてもらった。




あとで日誌で読んだ話だが、一般の妖精の日常生活にはお金という概念がほとんどなく、その代わりに物々交換や労働力を提供する事で食材や物資を得ていたようだ。




宿も食事も




昨日、川でモデルしてくれたお礼。




もう十分すぎるくらいもらってるよ。




だからたくさん食べて。




3日ぶりならいきなりメインいくんじゃなく野菜スープとかからの方が胃に優しいかもな。




すごく嬉しそうに見つめてくるエナの眼圧(笑)




理由はよくわからないけど




人に優しくされたかった......のかな?




ポタージュスープがきた。




次に山菜だけの炊き込みご飯と魚のムニエル......




次々と運ばれてくる料理に驚きを隠せないエナ。




妖精界では宮殿の食事会やお祭りでもなければ、こんなに料理が並ぶ事はないらしい。




両手を胸の上で交差し深呼吸し呼吸を整えるエナ。




お腹はものすごい空いてるはずなのに




胸がいっぱいなのか




なかなか食事が喉を通らないように見えた。




スープを一口。




う~ん、とっても濃厚。コーンと玉ねぎの旨みがしっかり出ててすっごく美味しい!妖精界の食事って調味料とかもほとんど使わないし素材をそのまま味わう調理法で薄味だから全然違う。だから比べられないけど、これはこれで絶品!本当に美味しい!




......とゆっくり味わいながら本当に幸せそうに食べるエナを




ずっと見ていたかった。こっちまで幸せになるわ!(笑)




スープを飲み終わり、メインへいくエナ。




へ~テーブルマナーなんかはしっかりしてるんだ?




育ちのいい子なのかな?なんかすごく雰囲気も上品だし。




フォークやスプーンを見て




これと似たの妖精界にもあったよ?




とリラックスした様子で話すエナ。




なるほど。妖精達もフォークやスプーンは使うんだな。








......納得。








まだ時間あるから食べ終わったら洋服選びに行こうか?




オレが用意した服だとエナさんには少し大きいかな。




エナ! エナって呼んでほしい!




(おいおい、これ完全にデートじゃね?)とも思ったが




エナは気にしてない様子だったので仮デート続投。




手に取りやすい価格帯と、洗練されたユニークなデザインで注目を集めているアパレルブランドショップ・UNHEMでショッピング。




そうそう。UNHEMはオレの経営するお店なのだ。




わ!かわいいお洋服がたくさんある!行こう、レンと腕を引っ張るエナ。




(いやいや、これ完全にデートだろ?)




昨日より確実に距離が縮まっている。




超絶美少女の妖精という事もあり




10代半ばの頃の初めてデートした時のドキドキ感と




今20代後半というこの年になって出来る




大人デートの両方を楽しんでる感覚。




この年で、こんな日がくるのは想定外だった。




それにしてもスタイル良いなこの子。小さいけど。




モデル業について相談してみたところ




かわいい写真たくさん撮ってね?とのお許しも本人から出た。




予想に反して仕事に前向きだったので




モデルとして働いてもらう事になった。




人間界で自活できるだけの給料は払う




という事で話がまとまったのだった。

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