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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行で働け


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21-5 男と女と、見えてきた影

 2月最終週。今夜はバキさんたちが来てくれた……んだけど、野本くんと聖羅はカップルシートに行ってしまった。まあ、バキさんとサシで飲むのも悪くないか。私は飲めないけどねぇ〜。


「ほお~、アオイ殿は部屋探しでござるか」

「そうなんです。でも、仕事が忙しくて部屋探しが進まなくて……」

「忙しいのでござるか?」

「しばらく副店長が不在なんで、私が副店長代理として店長の補佐になりました」


 絵里奈さんは『ピンクシャドウ』のヘルプに入っている。おかげで私は忙しい。接客をしながらも店長の補佐だ。あらためて絵里奈さんの偉大さを感じているよ。


「店長の補佐とは、何をするでござるか?」

「会計と経理です。週末が給料日だから、その手配。あとは在庫管理とか発注関係をやってる感じかなぁ……」

「本当にアオイ殿は何でもできるでござるな」

「いや~、仕方なくやっているだけだよ……」


 会計や給与計算のプログラムを作ったのは私だし、たぶん店長よりも私が処理したほうが早いと思う。


「ところで来月でござるが、拙者の誕生日がござって……」

「じゃあ、お祝いしなきゃ」

「しかし、忙しそうでござるから……」

「何日ですか?」

「9日でござる」


 9日かぁ……。携帯を取り出してカレンダーを見る。日曜日だ。もう絵里奈さんは復帰しているだろうし、なんかあるとしたら美由ちゃんの引っ越しくらいかな? うわ、私の引っ越し先を早く見つけなきゃダメじゃん! でも、とりあえず、バキさんの誕生日パーティーくらいはできるハズ。


「大丈夫ですよ。仕事のバタバタは落ち着いていると思うから」

「そうでござるか! では、あの……拙者とデートをしてくださらぬか?」

「え……あっ、はい」


 意外な申し出で、ビックリしちゃった。でも、バキさんとデートならOKよ。


「よいのでござるか?」

「よいのでござるよ」


 あっ、言葉がうつっちゃった。なんか、私がOKしたことにバキさんが驚いているんだけど、逆に聞きたい。私がバキさんの誘いを断る要素ってある? 


「かたじけのうござる……」

「え……と、時間とか詳しいことは、近づいたらメールくださいね」


 バキさんが平身低頭しているところに、聖羅と野本くんが戻ってきた。なんか私がバキさんに謝罪させているように見えるな。これは気まずい……。


「アオイさんとバキさん、お取込み中でしたか~?」


 聖羅がアホのフリして聞いてきた。こういう時の聖羅は、悪い顔してるね。


「私が部屋探しをしているけど、仕事が忙しくて探す時間がないって話だよ」

「そうでござった。こういうことは拙者も力になれぬでござるからな」

「ふ~ん……」


 怪訝な顔の聖羅。だいたい二人こそナニしてきたのよ、バカップルども。給料減らしたろうか、ほんとに。


 ◆◇◆


 夜の仕事が増えたからといって、昼の仕事が減るワケでもない。今日も今日とて私は、会社で雑用に追われている。


「アオイくん、これFAXしといて」

「は~い」


 私の肩書きは「社長室付き企画経営補佐」 だけど、やっていることは小間使いだ。


「振り込み依頼じゃないですか、こんなの自分でFAXしてくださいよ……あれ?」


 72万、61万、54万、46万。これって『ピンクシャドウ』のキャストの給料だよね。振込先が……カトウアツシ? あれれ? 先月は、こんな支払い先はなかったハズ


「社長……この振り込み先って誰ですか?」

「ああ、それか。弟の話だとスカウトらしいぞ」

「なんでスカウトに振り込むんですか?」

「スカウト経由の派遣扱いだからだ。ウチからスカウトに支払って、スカウトから彼女たちに支払われる」


 派遣社員みたいなものか……うん? たしか令和の時代にスカウトが逮捕された事件があったような気がするのよ。大学のオリエンテーションでスカウトは違法だからって注意もされたんだった……。


「社長、スカウトは違法です」

「そうだな」

「そうだな……じゃありませんよ。この間も話したじゃないですか、これからは取り締まりが厳しくなるって。もう、今後はスカウト組織との関係は絶ってください」

「わかった」


 社長がしょんぼりしている。私に怒られたと思っているみたい。怒っているわけじゃないんだけどね。仕方がない人だ、話題を変えよう。

 

「そいうえば社長、絵里奈さんとマジカル店長は結婚するんですか?」

「おっ、おお……。籍だけでも早く入れろって言ってるんだがな。絵里奈くん、だいぶ年上だろ? 気にしてるみたいでな」

「店長っていくつなんですか?」

「あいつ、33か34だったぞ」


 わぁ……意外と若かったよ店長。


「アオイくんからも言ってくれ。たかだか4歳か5歳だ。歳の差なんて関係ないって」

「ですよね〜」


 5歳下の男をゲットするなんて三十路女子が夢みる展開じゃん。令和の時代ならSNSが嫉妬で大荒れしちゃうよ。

 

「だからアオイくんも歳の差を気にすることなく、自由な恋愛をしてくれ」

「はあぁ……」


 自由な恋愛かぁ……。

 美由ちゃんみたいな、ハートを射抜かれるような相手がいるのかね? 未来永劫現れない気がするんだよね。


 美由ちゃん……あっ、そうだった。


「社長、寮を出ないとダメですか?」

「なんだね、いきなりアオイくん……」

「私が住んでいる寮ですよ。今、私と美由ちゃんは二人部屋を使っています。美由ちゃんが結婚して寮を出たら、私はどうなるんでしょう?」

「ああ……それか。そのまま住み続けるなら、そのぶんを給料から引くけど」

「えっ?」


 寮って無料じゃなかったの? どういうこと??


「二人を社員にした時に寮費を給料から天引きにしてあるんだよ。明細に福利厚生費控除ってあるだろ?」

「あっ……10万くらい引かれているアレですか?」

「そうそう、それ。誰かと相部屋にするなら今の金額。一人で住むなら、あと……6万でいいか」

「うえぇぇ、高い~」


 聖羅じゃないけど、本当にルームメイトを探そうかなぁ? 夜の仕事を辞めたら払えないよね、そんなに。なんか解決しないと、いろいろ。


 それにしても……スカウトの件、きな臭いなぁ。

 少し探ってみたほうがいいかも?


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