↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行で働け


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/126

20ー2 お正月は社長と過ごそう!

「あけましておめでとう、アオイくん」

「あけおめです、社長」


 1月2日。西新宿の雑貨屋の3階。ウチの会社の事務所に来ている。


「で、今年も福箱を買ってきたのかね?」

「もちろんです!」


 1月2日といえばヨドバシカメラの初売りだ。

 臨時収入があったので10万円のノートパソコン福箱も考えたけど、去年買おうと思っていたAV福箱にした。


「それでは開封の儀、始めます。なんか欲しいのあったら、社長にあげますよ」

「それはうれしいな。去年もらったシェーバーは具合がよかったからな……」

「あっ、使ってるんですね、社長」

「当たり前だろ。アオイくんにもらったものだからな」


 律儀な人だな、社長も……。

 箱を開けて、中身をデスクに並べていく。携帯音楽プレーヤーに電子辞書、謎のケーブル、電池、やっぱり入っているマッサージ器。


「ハンディマッサージャーか」

「電マですね、これ」

「いいじゃないか、肩こりに効くぞ」


 欲しいけど……持って帰ったら美由ちゃんに悪用されるよね? 


「事務所に置いといて使いましょう」

「いいのか? 俺も肩こりするから助かるなぁ」


 それよりも本命の音楽プレーヤーだ。

  

「なんだこれ? パソコンに挿すUSBみたいだが……」

「これは携帯音楽プレーヤーです」

「ああ、iP〇dとか、そういうやつだな。こんなに小っちゃいのか! どうやって使うんだ?」

「パソコンのUSBに挿して曲を入れるんです」

「曲はどうするんだよ?」

「やってみましょうか? なんかCDあります?」

「このCDでいいか?」


 昔の洋楽詰め合わせみたいなCDを渡された。深夜の通販番組で売ってた気がする、80'sベストヒット。世代なんだね、社長。

 パソコンのCDドライブに読ませて取り込んでいく。令和じゃ配信が当たり前だけど、わが家に膨大なCDがあったからね。このあたりの取り扱いは手慣れているのよ。

 曲の移動が終わった音楽プレーヤーを社長に渡す。


「はい、社長、できました。聴いてみてください」

「お、おおう……。そうそう。年賀状が届いていたんだ。アオイくん宛は分けておいたから、渡しておこう」


 音楽プレーヤーと引き換えに、年賀状の束を受け取った。けっこうな枚数がある。


「再生ボタンってこれか?」


 ヘッドホンを耳に入れた社長が、ピッとボタンを押した。


「うん、音質は悪くないな。ボリュームは……」


 社長は趣味のミュージックの世界に入ってしまった。

 仕方ない、年賀状でも読もう。


 当たり前だけど、あて先は『〒160ー00xx 東京都新宿区西新宿7ーxーx 株式会社郷田商会 社長室付き企画経営補佐 佐藤葵』。昼間の仕事の名前だ。

 去年1年というか、4月から名刺を配りまくってたからね。もう「アオイ」よりも、こっちの名前のほうが顔が広くなったかもしれない。


 おっ、パパからは会社の年賀状で来ている。『株式会社BAKIA 第三開発部主任 大工原真治』……って、主任になってるじゃん! 出世早いな、パパ。

 

 小野寺唯史/依子。仙台からは今年も届いている。「葵ちゃんが、ちゃんと会社に就職したというのに娘の唯依は……」。なんか、いろいろと申し訳ない。

 そのママの所属事務所・ケンスケプロダクションからの年賀状だ。所属一覧に「小野寺唯依」って名前があるね。仙台のおじいちゃん、おばあちゃん、心配しなくてもがんばっているよ。

 で、ママからは来てない。声優「小野寺唯依」としては、ウチも大事な取引先だぞ。年賀状くらい出しておいたほうがいいと思う。そういうとこだから、ママ!

 

「アオイくん、いい時間だ。お昼でも行かないか?」


 社長がベストヒットUSAの世界から帰ってきた。お腹すいたんだね。


「いいですね……でも、どこか開いてます? 2日ですよ、まだ」

「そこの喫茶店なら、やっていると思うぞ」

「はぁ……」


 そこの喫茶店というのは、借金取りの田中さんと待ち合わせる店なのよ。あまり気はのらないけど、仕方ない。やっている店が少ないもんね……。


 というわけで、すぐそこの喫茶店。空いていたので窓際の席に座った。

 窓からは穏やかな新春の光が差し込む。小滝橋通りも、今日は車が少ない。


「のどかな正月なんだがなぁ……」

「荒れそうですよね、今年は」

「ああ……」


 ミックスサンドをほお張りながら、社長の話を聞く。

 ああ、そうだ、デザートも頼もう。最近、やせちゃったからね。ちょっとくらい食べ過ぎたほうがいいんだ、私は。店員さんを呼んでケーキを頼んだ。


「問題を複雑にしないで、ひとつひとつ切り分けたらどうですか?」

「切り分ける……問題を整理するか」


 社長が腕組みをする。整理すると言ってみたものの、問題は山積みだからね。


「まず、美由ちゃんの件。これは引退シリーズ興行です」

「なんか言ってることがプロレスみたいだな」

「わかりやすい例えですよ……。二兎を追う者は一兎をも得ずと言います。最後は確実に儲けましょう」


 だって引退なんだもん。最後は東京ドームを超満員札止めで、あいしてまーすだよ!


「ミユくんが抜けたあと『ピンクシャドウ』はどうする?」

「ガラッと変えましょう。いい機会です」

「どう変えるんだ?」

「たぶん、もうひとつの社長の不安要素とも関係しています」


 店員さんがケーキを持ってきた。今日のケーキはベイクドチーズケーキだ。

 さっそく一口。ほど良い甘さ。美味しいね。


「キャバクラに戻してもいいんじゃないですか?」

「えっ……?」

「私が以前働いていた店は、過激な接客内容が問題になりました。その基準でいくと、VIPルームはアウトです。おチン棒扱きとか営業停止になりますよ」

「そんなことしてるのか?」

「私はしてませんよ、一部の人です」

「そうか……アオイくんは、やってないのか」


 VIPの内容を社長は知らなかったんだ。これはピンク店長の差配なのかな? 社長と情報共有してないのは組織として問題だと思う。


「今の『マジカルシャドウ』なんて、めちゃくちゃソフト路線ですよ。面倒くさいコスチュームだから脱ぎませんし……」

「たしかに、いちゃいちゃできるキャバクラだな、あそこは」


 あっ……「いちゃキャバ」って聞いたことある。セクシーパブが取り締まり強化でソフト路線になったのが、いちゃキャバなのかな? だとしたら、この方向で正解?? あ~、こんなことになるなら、令和の最新水商売を勉強しておけばよかった。


「そのへんは、店長2人や絵里奈さんを入れて、しっかり話し合いましょう」

「そうだな……絵里奈くんも身内になりそうだし、会議に呼ぶか」


 絵里奈さんは郷田一族入りか……。マジカル店長は、いい相手だと思う。顔が怖い以外は普通の人っぽいもんね。


 店員さんがセットの飲み物を運んできた。社長はコーヒーまでアメリカンだ。ほんとアメリカ好きなんだから。あ、私は紅茶だよ。健康と美容のために食後に一杯の紅茶。優雅に紅茶を飲みたい人は、早く引退したくても引退できないものなのよ……って引退だった、引退!


「あっ、そうだ……引退記念グッズを作ったら売れますよ」

「やれやれ……商魂たくましいね、アオイくんは」


 私はいつでも、燃える商魂! 現金ですかーっ!


筆者からの、お願い


みなさんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどが力になります。

続きを書くためにも、どうか評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。