2-3 YOU、体験入店しちゃいなよ!
「女性のための高収入求人雑誌」。今は『バ〇ラ』が有名ですが、2000年当時も何誌か出ていました。
代表的なのは『てぃ〇くる』です。都内だとコンビニで普通に買えた記憶があります。
作中の彼女たちが読む雑誌も『てぃ〇くる』のつもりで書きました。
「テレレレッテレー……『女性のための高収入求人ガイド』~。学校で友達からもらってきたよ」
田中さん襲来の翌日、学校帰りのママが持ってきた。令和でいうとろこの『バ〇ラ』? この時代にも同じような求人雑誌があったのね。
学校の友達に……って、そういえばママ、行ってたね、専門学校。忘れてた、ごめん。
「その子ねーホストにハマってて、たまにバイトするんだって……。あ、これこれ! こういう系が稼げるらしいよ」
ママが求人誌のページをパシパシ叩く。
「なになに……セクシーパブぅ?」
「おさわりできるキャバクラ? セクシーキャバクラとか、おっぱいパブ。略してセクパブ、セクキャバ、おっパブ。最近この手の店が増えてきて女の子の取り合いなんだって。人手不足で給料いいらしいよ」
就職氷河期で人余り。バイトさえも狭き門という厳しさは、超短期間だけど味わっている。そんな時代に「人手不足」なんて景気がいいじゃん!
ただ……、名前から察するに、おっぱいペロ〜ンな店だと思う。今の私は葵ちゃんボディ。エロ性能は高いけど、レズ特化タイプ。いろいろ貫通済みっていっても、男は知らない処女なんだよね……。だから男性相手の戦闘力は未知数。不安要素は減らしたい。
「どこまでヤルの?」
「本番とかはないんじゃない? そういう露骨な風俗とキャバクラの中間くらいじゃないかしら?」
基準がわからん。BLマンガで、おちん棒を描くかどうか的な違い? とりあえず要モザイク修正な場面はない……って理解でOK?
そんなことを計算しちゃう自分に凹む。私はピュアなハートの恋に恋する乙女だったんだけどなぁ……(トオイメ)。
「ねえ、葵、ここいいかも? 【体験入店あり】【未経験大歓迎】【週1日・3時間〜OK】」
「ふむふむ……『ハッスルガール』か」
「で、ほら、ここ……【即日即金・全額日払い!!】」
「なんですとーっ!?」
「即日即金」。甘美な響き。しかも「全額日払い」。その場で現金、もらえる現金。いつもニコニコ現金払い! お金がほしーぞー!
「行こう、その店!」
「そだね、体験入店OKらしいから、二人で行きましょう!」
善は急げで、レッツゴー! 新宿歌舞伎町へダッシュだーっ!
中野から中央線で5分。JR新宿駅を降りて、ちょこっと歩くと神室町……じゃなくて、歌舞伎町。有名な一番街の赤いアーチをくぐったら、そこから先は歌舞伎町だ。
店の場所はママが電話で聞いておいてくれた。
「あ、あのコマ劇の奥、あっちのビルの地下だって」
「コマ劇??」
ママの指した先。ああ、わかったゴジラのビルの場所だ。
うわぁ……2000年の歌舞伎町。令和と違うねー! タイムスリップした感じがするわ……。
「行くわよ、葵!」
「マ……ゆい、待ってよ~」
しみじみシンキングする暇はナッシング。気持ちを切り替えて、初めての戦場へ。行くぞー、おーっ!
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