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2-4 セクシーパブでハッスル!ハッスル!

作中に登場する曲『タ〇チ』ですが、当時のセクシーパブで本当に使われていたんです。

 新宿コマ劇の裏手。花道通り沿いの雑居ビル。

 なんか見た記憶がある……ホスト! ホストに密着したテレビの番組で見たよ。たしか、ここ「ホストビル」って呼ばれていた……って、ホストの店ないじゃん!? キャバクラ、キャバクラ、スナック……、あ、一軒だけホストがあった。


「葵、こっち、地下よ」

「ほーい」


 栄枯盛衰、諸行無常を感じつつ階段を降りていく。ケバめの看板を発見。『ハッスルガール』だ。

 従業員用の入り口を探していると、黒服さんが掃除用具を持って出てきた。連絡した体験入店希望者だと言ったら、そのまま正面ドアから案内された。裏口なかったのね。


 店内にはローテーブルが10卓くらいで、ソファーみたいな椅子が並んでいる。ドラマで見たキャバクラっぽい。普通のキャバクラなのかな? キャバクラ識者の意見プリーズ。


「体験入店希望の二人だね。うちのシステムを説明するから座って」


 店長さんが出てきた。ワイシャツの上にハッピを着ている。こういうスタイルか。なんかわかった気がする。

 システムはシンプル。 基本は普通のキャバクラ接客で、おさわりNG。おさわりOKなのは30分に1回のダウンタイムだけ。5分弱の時間らしい。


「……で、そのダウンタイムの名前がウチの店名をもじって『ハッスルタイム』なんだよ」

「はあ……」


 ママがリアクションに困っている。こういうとき、笑えばいいと思うよ。


 店長さんの説明を聞いてたら、奥のほうからキャストのお姉さんが出てきた。更衣室はあっちなのか。お姉さんの衣装はキャバドレス……なんだけど、よく見ると胸元が妙にゆる〜く開いている。これ、脱がせやすいヤツじゃん。


 で、さっそく私とママも着替えて、お姉さんたちに加わることになった。

 

 開店してほどなく、最初のお客さんたちが入ってきた。お客さんは3人組のサラリーマン。指導役の先輩お姉さんに、私とママもセットに付けられた感じ。


「この子が『アオイ』ちゃん。この子が『ゆう』ちゃん。初めての子たちなんで、お手柔らかに」

「アオイでーす」

「ゆうでーす」


 源氏名っていうの? お店での偽名というか芸名みたいな名前。面倒くさいから「アオイ」にしたんだけど、ママは微妙に変えていた。ズルくね?


 体験入店なんで仕方ないけど、ドレスのサイズが合ってない。ママはボインボインがハミ出しちゃいそう。エロいよ、ママ。えっ、私? どうせスカスカだろ……って? うっせぇわ!


 さてさて、エロい店とはいっても基本はキャバクラ。接客で覚えることは少なくない。ドリンクの作り方、タバコの火のつけ方、お客さんのトイレへの誘導までするのね! なんか社会体験会みたい。


 30分ほどして、突然、照明が暗くなった。真っ暗ではない。目が慣れてくれば見えてくる程度の暗さ。来ましたよ「ハッスルタイム」!


「アオイさん、ゆうさん、お客様の膝またがって、向き合うように乗って」


 先輩お姉さんの声。よくわからないけど、薄暗がりの中で、まわりの席でガサゴソやっている。見よう見まねで私も、お客さんの膝の上にのった。変形対面座位? おうちに帰ったらママと練習しておくよ。


「えーと……お邪魔します」

「あ、はい」


 このあいさつ、不正解? お客さんが戸惑っていた。なんて言えばいいのかな? あとで先輩お姉さんたちに聞いておこう。


 続いて店長さんのマイク。


「本日もご来店ありがとうございます。まもなくハッスルタイムがスタートします。お客様のお膝の上に当店キャストが失礼いたします。どうぞ元気にハッスルください。なお、キャストへのおさわりは上半身のみでございます。下半身へのおさわり、キッスはご遠慮くださいませ。それでは……ミュージックスタート!」

 

 スピーカーから大音量で流れ出したのは1980年代にヒットした野球ラブコメの主題歌……って、この曲知ってる! 古い曲だけど夏の甲子園の時期になると、よく流れている。

 この曲が流れている数分間だけ、お客さんは「おさわり」OK。私のドレスはゆるゆるドレス。肩ひもズラせばスルリと落ちる。ノーブラなんで、おっぱいポロリよ、即もみもみ〜。


「……」

 なんか、お客さんが可愛そうな人を見る目で私を見てる。いや、小さいけど、大丈夫だから、おっぱい! 同情するならチチを揉め~!


「あ、ん……っ、は、あ……っ 」


 隣の席ではサラリーマンがママ……じゃなくて「ゆう」ちゃんのデカメロンをぐちゃぐちゃにしている。でも、あーた、ママの声は完全演技よ。私じゃなかったら見逃しちゃうね。


 さらに隣、先輩お姉さんの席では、お客さんが執拗にボディをタッチしていた。タッチしていた……うん? この曲のセレクト、おやじギャグだったのね。


 最初のハッスルタイムが終了。ドレスを直して私は別のテーブルに移動した。ママも別のテーブルに移動していく。ここでママとは別行動になった。


 初回は空振りである。推定Bカップ弱の葵ちゃんボディ。ボインボイン路線は夢のまた夢。何か作戦を考えないと借金を返すほど稼げない。考えろ、私。薄い本の知識を総動員するんだ!


 次に着いた席は30過ぎのサラリーマン。よく話す人だった。適当に相槌打ってたら本日2回目のハッスルタイムに突入。


「お、おいでお嬢ちゃん。緊張しなくていいよぉ」

さあ、いくよ……颯爽と男の膝の上にまたがる私。薄い本から導いた作戦を見せてやるってば!


「は、ぁ……っ、うそ、だろ……、布越しなのに、何で……っ」


 フフフフフッ……。さわっていいのは、さわられる覚悟のある奴だけなのよ! 誰が決めたの、女がさわられる側だって……。


 【祝】体験入店で指名&延長入りました〜。はい、拍手、拍手!


「はい、これ今日の分。アオイちゃんは延長2本獲ったんで割増しで入ってるよ」

 体験入店が終了し、バックヤード。ハッピ姿の店長がエビス顔だ。お金を受け取って私たちもエビス顔。お金はみんなを笑顔にするね。


「アオイちゃん、レギュラーで働いてくれるならシフト優先で融通するよ」

「えっ……」

「いいんじゃない、葵。雇ってもらったら。でも、店長さん、この子お財布事情が厳しいんの、少しイロつけてあげてください」


 なんか、そのまま私の『ハッスルガール』入店が決まった。ママの一押しで指名バックの割合もイロをつけてもらえた。


 これが「就職」と言っていいのかわからないけど、とりあえず仕事にはありつけた。

 あとは、がんばるのみ。

 働いて、働いて、働き……ヌイてヤッちゃいます!


筆者からの、お願い


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