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2-5 慣れていくのね……セクシーパブのある暮らし

歌舞伎町セントラル通りには、かつて24時間営業のカフェ「AY〇」がありました。

2009年に閉店してしまったので、若い方はご存じないかもしれません。

A〇Aの安いカレーに生卵をかけて食べるのは、当時の深夜族の定番でした。


 『ハッスルガール』に正式入店した。


「おはようございまーす!」


 お店のバックヤード。更衣室のドアを開ける。先輩のお姉さまが着替えの最中だった。

 あいさつ大事! この店で私は一番の後輩。下っ端だからね〜。

 あ、「おはようございます」っていっても今、夜7時。何時だろうが「おはようございます」なのよ。う〜ん、業界っぽい!


「あ~らアオイちゃん、おはよう」

 体験入店で指導してくれたチェリーさん。やさしいお姉さんだ。この店がキャバクラだった頃からいる最古参だけど、プロフィールは永遠の20歳。なんか……17歳教の匂いを感じる。


「お仕事、慣れたかしら?」

「うーんと、まだまだ慣れないことも多いですが、がんばって覚えていきます」

「あらあら……真面目ね、アオイちゃん。でも、肩ひじ張って頑張る仕事じゃないから、もっと気楽にいきましょう」

「は~い」


 やさしい先輩でよかった。口うるさい「お局様」ばかりだったら逃げ出してるよ。

 さあ、今日もハッスルだ!


 もうすぐ開店時間。私も着替えて準備をしよう。

 夜の8時から翌2時まで。私は毎日6時間フル稼働している。


 私の時給は3000円。細かい話をすると名目は3333円なのよ。源泉1割引かれて手取り3000円……って、何か足りなくない?

 私の数少ないバイト経験だと月8万8000万円を超えると10.21%引きになるって聞いたんだよね……。この時代のほうが安いの、税金?


 で、その時給とは別に指名や延長のバックがある。私の場合は指名2000円、延長1セット1500円が追加でもらえる。ほかの人よりちょっとだけ高い。ママが交渉して押し込んでくれたおかげだ。サンキュー、マッマ!


「本日もご来店ありがとうございます。まもなくハッスルタイムが……」

 今日も店長のマイクが響く。おっぱい、いっぱい、ハッスル!ハッスル!


 仕事帰りの課長さん。大きな背中が、ビクンと跳ねる。太ももフルフル。真ん中ガチガチ。夏物パンツは生地が薄い。熱さと硬さが伝わってくる。

 予習しといたリーマンBL。シャツの上から強引に。合わせて腰をグラインド。ぐりぐりヒップにカチカチが当たる。


「し……指名します」

 課長陥落。店長ー、場内指名入りましたー、ヴイっ!


 いやー、今日もハッスル、ハッスルしたったー。場内指名2本、延長も3本獲れたよ。最後のほう、指名がかぶっちゃって、あたふたしちゃった。まだまだ勉強だね!


「おつかれさまでした~」

「アオイちゃん、おつかれ~。お姉さんたちとホスト行かない?」

「このビルの3階に新しいホストの店できたのよ~!」

「ミキ、ラン、二人ともダメよ、アオイちゃんを誘っちゃ。アオイちゃんは母親が残した借金で大変なんだから」


 サンクスです、チェリーさん。ミキさんとランさん。悪い先輩ではないけど、二人ともホストに貢いじゃう予感。幸薄そう。私はホスト堕ちルート回避よ、セーフ。


 さーて、カフェA〇Aで、やっすいカレー食べて、始発で帰ろう。


 なんかすっかりパターンができた。慣れない仕事。不安はあったけど、案外なんとかなっちゃうもんだね。ああ……、慣れていくのね、自分でもわかる。なんてね!

筆者からの、お願い


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