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2-2 来襲! 借金取りの田中さん

 オンボロのエアコンは轟音で唸り続けている。グオン、グオンとうるさい。

 私は求人雑誌とにらめっこ。いい仕事がない……じゃなくて、応募できる仕事が少ない。


 ふと、視線を感じた。

 顔を上げると、部屋の入り口に、男がいる。カバンを手にした背広のオッちゃんだ。


(誰……、このオッちゃん?)


 いきなり部屋に居るってことは、ママの知り合い? ママのパパ(仙台のおじいちゃん)の顔は知っているから、違う。となると……別の意味のパパ? とりあえず、聞こう。


「えーと……、どなたですか?」


 おもわず私は立ち上がった。あ、服を着てない。すっぽんぽんだ、私。ま...いいか。サービスシーンだと思ってもらおう。サービス、サービスぅ~。


 仁王立ち全裸の私にオッちゃんは深いため息。「はぁ〜」と、あきれ果てたような声を出した。えっ、なに、ギャルの裸よ? 興味ナッシング? まさか熟女派? 


「借金取りです。探しましたよ、佐藤葵さん。チャイムを鳴らしてもドアをノックしても出てこないから、すまんが入らせてもらったよ」

「気づかなかった、ごめんなさい」

「いや、お楽しみの最中に邪魔するつもりはなかった。失礼は詫びる」


「……カギは?」

「開いてた。不用心だな」


「ひぃ」と私の後ろで短い悲鳴。ママが転がるようにベッドの陰に避難した。防犯意識は低いけど、逃げ足は早い。小物感強いぞ、ママ。


「話をしよう」


 わー。とうとう来たよ、借金取り。さすがにバレるか。仕方ない、友達の家だし。逆に今までバレなかったのラッキーだった? じゃあ今、運の尽きなの!? マズいじゃん! 


 私と借金取りさんは、ちゃぶ台を挟んで座った。大事な話し合いだ。地球の命運はともかく、私の命運がかかっている。幸い私は今、すっぽんぽん。全裸土下座の準備はできてる。


 名刺を渡された。借金取りは田中さんというらしい。田中さんはカバンから数枚の書類を取り出し、ちゃぶ台の上に並べる。

 「0」の数に目を疑った。


「総額、2000万円。あんたの母親、今日子が残していった分だ」


 今日子? クズ母って今日子なんだ。記憶なくすタイプ? 真っ赤なほう? この際、それはどっちでもいい。とにかく金額が多すぎる。想像の十倍くらいあるんだけど、マジすかコレ!?


「で、ここが大事なんだが、金利だけで月30万円だ。佐藤さん、今のあなたの生活で、これ、払えるかい?」

「無理ですね」


 即答した。利息だけで月30万円って、年利18%だよ。あ、意外と私、計算早いな……って、そこじゃない!

 というか、これ返さないとダメ? 私、今日子のこと知らないんだけど、知らない人の借金背負うのヤダー! 未来知識、チートの出番でしょ!?

 ひらめけ……ひらめけ……って、ウ~ンもピョコも出てこない! 


「おもしろいね、あんた。物事に動じない度胸があるよ」

 なんか必死に考えているのを、田中さんが独自解釈したみたい。ここは乗っておこう。

 

「あんた、さっきからずっと全裸だろ? 裸に抵抗がなくて、それだけ堂々としていられるなら、いくらでも稼げるだろ、そういう店に行けばいい……ま、考えておくんだな。また連絡する。逃げるなよ」


 そう言って、田中さんは立ち上がった。

 ママがベッドの陰から顔を出す。田中さんが去っていくのを見届けて、安堵の表情を浮かべた。


「葵……怖くなかったの?」

「そう? 強面だけどチャーミングなオッちゃんだったよ」


 裏の人だとは思うけど、悪人ではない気がするよ、田中さん。根拠はないけど。


「記憶をなくしてからの葵、強いというか性格が男っぽくなったね。なんか前は気の弱い感じだったから……」

「唯依は、こんな私で嫌いになった」

「ううん、アタシは今の葵も大好きよ」


 ママが抱きついてきた。


「……ま、ヤルしかないか」


 あ、この場合の「ヤル」は借金返済をやるってことで、性的な意味じゃないよ、念のため!

 まあ……このあと、めちゃくちゃセックスしたけどね!


筆者からの、お願い


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