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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行


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16-3 内装工事は終わったけれど、オープンに間に合うの?

 新店舗『マジカルシャドウ』のオープンは8月2日の金曜日に決まった。


「ようやく工事が終わったよ、アオイくん」

「ギリギリ過ぎですよ。オープンまで1週間しかありません……」


 内装工事が終わった店内を社長と二人で見て回る。

 

 イスやテーブルを持ち去られ、床をボロボロにされた。余計な工事で時間がかかったけれど、よかったこともある。壁だけじゃなくて、床もレンガ模様で統一できた。かなりダンジョンっぽい。

 座席の配置も自由に組みなおすことができた。2人掛けのカップルシートが8卓と、4人掛けボックスが2卓、団体席がひとつだ。『ピンクシャドウ』にあったようなVIPルームはないけれど、かなりユニークな店にできたと思う。


 えーと、転んでも、ただただ痛い。じゃなくて、災い転じて福となすだね!

 

「見てくれよ、このソファーを! ワールドカップの中古で掘り出し物だよ」

「いいモノを見つけましたね。さすが社長です」

「そうか……そうだろ!」


 嬉しそうな社長。時々、ホメてあげるのも私の仕事だ。社長は甘えん坊で困ってしまう。顔は怖いクセにね……。まあ、今回は実際にタダみたいな値段で家具を調達してきたので、あとで頭ナデナデしてあげよう。   

 さて、そんな店長お気に入りのソファだけど、カップルシートは通路に対して全座席が背中向けという、かなり特殊な配置になっている。これ、美由ちゃんと行ったネットカフェのカップルシートをパク……参考にしたのね。パソコンを置いてゲームができるのよ!


『ねえ、いいだろ?』

『仕事中ですよ、野本さん。あっ、そんな……』


 先客がいた。聖羅と、野本くんがイチャコラしている声が聞こえてくる。でも、ふたりの姿は見えない。


「見事ですね、社長。座面30センチ、背もたれ60センチ。床面からは92センチ。座ってしまうと通路からは見えません」

「風営法の規制で、床から1メートル以上の高さの遮蔽物は置けないからな」


 そう、そう、そう! 風営法って厳しいの。広さの規定があって、VIPルームも設置できなかった。まあ、そこは上有政策、下有対策。何とかするしかないね。


「こっちは泳がせておくとして、厨房をチェックしましょう」

「おう」


 厨房の入り口。食品衛生責任者の名札と資格者証が掲示されている。


『食品衛生責任者資格者証 氏名 江里口由美子 昭和39年10月28日 生』


 なんというか……ツッコミどころがありすぎだよ、いろいろと。


「やあ、絵里奈くん、厨房はどうだね?」

「社長……、私が責任者でいいんですか?」


 ウチのような夜の店でも、食品衛生責任者を持っている人がいないと営業できないんだって。で、絵里奈さんが資格を取ったのよ。


「いいんだ、絵里奈くん。キミは特別だ。ここに名前があれば若い子たちよりも格上だというのがわかりやすいだろう?」

「そうですよ〜。絵里奈さんも社員契約したんです。え〜と、肩書はサブマネージャー。副店長ですよ! エラい人になったんだから、胸を張ってください」

「それは、そうなんだけど、年齢と本名は……」


 うん。気持ちはわかる。でも、がんばれ絵里奈さん。


「そうだ、アオイ。若い子たちの教育はどうなっている? 私がこっちのほうで見てあげられないから心配でなぁ……」

「そっちは杏奈っちに見てもらっています。『ピンクシャドウ』で舞さんが手伝ってくれているから、なんとかなりそうです」

「二人とも申し訳ない。こっちの店でシミュレーションしなきゃならんのだが、工事が遅れていたからな」


 キャストの人数は確保はできている。私と絵里奈さん。聖羅と杏奈っち。先日スカウトした元・声優専門学校の4人。それと、ここ数週間で採用した新人が数名。一応、その新人の中に沙希っぽも入っている。時間はないけど、オープンまでには仕上げたい。


「さて、そろそろ頃合いでしょうか?」

「いい頃合いだな」 


 カップルシートのほうに戻ってきた。


「ずいぶんと、お楽しみですな」


 シートの両側から、私と社長で回り込む。

 聖羅のキャミがめくられてCカップがポロリンしている。聖羅のポッチはパステルピンクでかわいいね。野本くんはベルトを外してズボンを下ろしかけていた。もう少し待っていたら、おちん棒を出していたかもね。


「えっと、あの……」

「野本さん……」


 あたふたしている野本くん。おびえた素振りで聖羅は野本くんにピトっと寄りそった。腕をつかんで、逃げられなくしている。私のほうを見てニヤっと笑った。悪い顔だね、聖羅。

 

「アオイくん、どうしようかね?」

「そうですねぇ〜、明日、10台くらいパソコンが届くんですけどー、LANの設定をやってくれたりしませんかねー?」

「……はい」


 今回ね、工事のついでに各テーブルにLANケーブルを配線したのよ。しかも光回線を引いたので、上り下りともに最大100Mbps。遅っそーなんて笑っちゃだめよ。この時代の主流はADSLで8Mbpsとか12Mbpsなんだから。


「あ〜あと、チンホーオンラインさんから、ネットカフェ用の公認ライセンスをもらってあるんですよー。ゲームのインストールと設定、動作確認もしといてくださーい」

「えっ……あの、ホームページの仕事もやらないと」

「バキさんに言っちゃおうかなぁ~」

「はい……やります」


 よし、パソコンとゲームの設定は丸投げできた。実はパソコンもワールドカップ関連の払い下げを格安で仕入れたのよ。いろいろ面倒くさそうだから、やってくれて助ったね。

 さて、もう一押ししておこう。野本くんの耳元でささやく。


「ちゃ〜んと仕事をしているってバキさんには言っておくね。聖羅とのことも、悪いようにはしないから、がんばってね、野本くん」

「は、はい……」


「聖羅、行くよ〜。野本くんの仕事を邪魔しちゃいけないからね」

「は~い」


 半脱ぎだった服を直して聖羅が席をたった。(したた)かだよね、聖羅も。

 社長が生温かい目で見ている。


「アオイくんもヤリ方がキツくなってきたなぁ」

「社長を見習っておりますから……」


 水は方円の器に従う。朱に交わればシュラシュシュシュ。そのうち私も強面になっちゃいそう。あれ……葵ちゃんって、ヤンキーだったから元々こっち系? 先祖帰りというか、原状復帰ってこと? やだ〜ん! 私、清純派でいたーい!

一応、葵も資格を取りました。

『食品衛生責任者資格者証 氏名 佐藤 葵 昭和56年12月12日 生』

これ講習を受ければ1日で取れるんです。



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