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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行


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13ー4 声優雑誌編集長との三者面談。ママって歌ウマやん! 

ドラマに出てくる編集者って、あまりスーツを着てませんよね? あれ、なんなんでしょう? 

 日を待たずして、カメラマンの小山さんから連絡が来た。声優雑誌の編集部員を連れてきてくれるそうだ。指定された来店日にママを呼び出すとしよう。メール送信〜!


 平日、火曜の夜。小さいほうのVIPルームを抑えておいた。バリバリの私用なんで、もちろん料金は私持ちだ。払ったよ2万円……。


「アオイさんの友達ですか、ウチで働きます?」


 予定より少し早めに着いたママが、店長にスカウトされていた。

 今日のママの服は気合が入っている。白のホルターネックのタンクトップ。巨乳が際立つ。ママは私なんかより、ずっとエロい身体をしているから、この店で働くのも悪くない気がする。もちろん未来の私の人生がかかっていなければ、だけどね。


「すみません、店長。今日は大事な打ち合わせなんです」


 とりあえず、ママをVIPに連行する。

 あ、今日の私はセーラー服だよ。20歳を過ぎて少し似合わなくなってきた気もするけど、まだまだイケる! イケるよね?

 

 コンコン……。


「失礼します。アオイさん、カメラマンの小山様とお連れの方がご到着です」


 ボーイの中野くんに案内されて、小山さんとスーツの人が入ってきた。昭和の映画俳優みたいなニヒルな男前だ。


 なんか……想像していたのと違う。

 業界ドラマに出てくるような人じゃない。ジャケットとかセーターとか、もっとカジュアルなイメージってあるよね? 目の前の人、すごくかっちりとした背広だよ。一応、声優って芸能人系? アニメとかゲームはオタク系じゃん? この人、どっちでもないのよ。本当に声優雑誌の人なの? 


「アオイちゃん、この人が編集部の明智さん」

「初めまして明智です」


 名刺を渡された……って、ぇっ!?


「「へ……編集長?」」


 ママと私、同時に声が出た。驚くに決まっているでしょう!

 ちょっと、小山さん! 事前に言ってよ。いきなり編集長を連れて来られても困る。心の準備も身体の準備も……いや、この私、ママもためなら身を差し出す覚悟はできている。さあ、存分にモミモミでもペロペロでもしてちょーだい。バッチコーイだよ!


「とりあえずアオイちゃん、座ろうよ」

「あっ……そうですね。座りましょう」


 座ったはいいものの、ママはガチガチに緊張している。


「声優になりたいというのは、そちらの制服のお嬢さんですか?」

「えっ、あ、私じゃなくて、あっちのほうです」

「唯依……小野寺唯依といいます。〇〇アニメーション学院声優タレント科を卒業予定です」


 ママは立ち上がって一礼した。


「いや、失礼。美しくてセクシーな方でしたので、ここの店の売れっ子ホステスさんだと思っていました。そうですか……」


 編集長はママの足先から頭まで視線を走らせる。眼光が鋭い。声が渋い。ちょっと怖い。


「どうぞ、お座りください」

「あ……はい」


 ママが座ったところで、厨房担当の神林くんが飲み物を持ってきてくれた。今日は私のおごりだ、みんな飲んでくれ! というか、完全に私の持ち出しなのねん……。


「小野寺さん、先生はどなたですか?」

「〇〇先生です」

「いい先生に教えてもらっていますね」


 編集長はダイエットペ〇シを飲みながら、ママに話を聞いている。お酒を飲まない人なのだろうか? 飲みそうな顔なんだけどなぁ〜。


「よかったら歌ってみていただけますか?」

「はい、えーと……」

「あっ、カラオケとマイクがあるので、用意しましょうか?」

「いや、マイクなしで生声で聞かせてください」


 編集長に言われてママが歌いだした。


 ♪ひろせがわ……


 うん? この曲は聞いたことがある。令和のママも口ずさんでいた。地元・仙台のご当地ソングだ。抒情感たっぷりに、しっかり歌い上げている。


 ♪ もう……いない


 パチパチパチパチ……!

 自然と拍手しちゃった。というか、感動した。ママ、こんなに歌ウマだったの!? ただのエロい人じゃなかったよ。才能あるじゃん。歌姫じゃん!


「…………」


 なんか編集長が考えこんでいる。


「どうでしたか?」

「いい声だと思います。声に色気を感じます。ただ……」

「ただ?」 

「これは失礼かもしれませんが、顔が声優ファン受けしないんです。あ、もちろん、たいへんキレイな方だと思っています。ただ、なんというか、キリっとしているというか、キリっとし過ぎというか……」

 

 かなり言いにくそうだけど、言いたいことはわかる。美人系なんだけど顔がキツイのよ、ママ。目つきが鋭いし、実年齢よりも年上に見えるんだよね。


「しっかりと卒業公演で演技や歌を見せられれば、チャンスはあるかもしれません」

「そうですか……」


 ママは少し口を尖らせた。がっかりしている。仕草でわかるのよ、私。娘だからね。


「小野寺さんにハマる仕事はあるんですよ。ちょっと今、いい子がいたら紹介してくれと頼まれている事務所がありまして……」

「本当ですか!?」

「ただ、まあ、なんというか……成人指定のゲーム、いわゆるエロゲーの声優です。声に色気があってビジュアルもいい若い子をほしがっています。小野寺さんに、その気があるなら紹介させていただきます」

「エロゲ声優ですか……それはちょっと」


 えっ、ママ、そこは考えちゃうの? いいじゃん、エロゲ声優。たしかに令和の時代だとエロゲが下火だからアレだけど、今(2002年)から10年くらいは黄金期だよ。


「そうですよね……。ただ、まあ、そういう可能性があるというのは、どこかで覚えておいてください」

「ありがとうございます」


 ママが頭を下げる。う~ん、今日のところはこんな感じかな?


「そうだ、そちらのアオイさんは声優にならないんですか?」

「えっ、私ですか?」

「ちゃんと発声できているし、やってましたよね?」

「いえ、とくに……」

「あ、それなら、東京に来る前に、いっしょに練習してました。雑誌の練習法を参考に」

 

 なんか、また知らない設定が出てくるなぁ。そういえば去年、仙台に帰省したときにママの部屋でイロイロしていたって聞いたけど、それって声優の練習だったのね。ママに言われたらエロいことだと思うじゃん……。


「アオイさんなら、ほしい事務所もあると思いますよ。ねえ、小山さん」

「たしかに、そうですね。アオイちゃんタイプは人気出ますね」

「いわゆるアイドル声優のポイントは3つ。『声がかわいい』『顔がかわいい』、そして……」


 えっ、なになに? 「声がかわいい」、うんうん。「顔がかわいい」、うんうん。私の評価、高いじゃん〜。


「そして、『ちょっと田舎っぽい』。全部そろっています」


 あによーっ! 「田舎っぽい」って、なんでやねん。上京して2年。葵ちゃんは、すっかりシティーガールになったんだから! えっ、中の私が埼玉県民だから? おおっ、さいたま、さいたまー! 鳩ケ谷育ちだぜっ、ナメんなよっ!

葵については、碧唯が知らないことが、まだまだあります。


筆者からの、お願い

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