12ー2 初詣、初パチンコ、福袋、意外と楽しい東京のお正月
「西暦2000年に転生したら」というタイトルでしたが、物語の舞台は2002年に突入してしまいました。
「美由ちゃん、おはよう。あけましておめでとうございます」
「明けましておめでとう、葵ちゃん」
年が明けて2002年。
早起きしたので、初詣に行こうと思う。このまま寮にいて、またギロチンチョークをされたらイヤだもん。
10分ほど歩いて花園神社へ。朝早いのに、けっこう混んでいた。屋台も10店くらい出ている。お正月気分があっていいね!
花園神社には倉稲魂神、日本武尊、受持神と三柱の神さまが祀られている。倉稲魂神、いわゆる「お稲荷さん」。日本武尊は説明不要だね。受持神……は、なんの神さまなんだろう? こういう時にスマホがほしい。
パンパン……。二礼二拍手一礼。
(借金返済して未来に戻れますように。戻れないなら美由ちゃんと結婚して幸せになりたいです。オネシャス!)
頼んだからね、本当に。奮発して1000円札を入れたんだから、御賽銭!
「葵ちゃんは、何をお願いしたのかしら?」
「借金返済。美由ちゃんは?」
「結婚よ。健斗お兄ちゃんとの結婚」
「じゃあ、借金返済だねー」
「そうなるよねー」
2002年も元日から借金の話になった。新しい年も、金、金、金……。金が敵の世の中なのよ。さあ、歌おう、新春の空に高らかに! ♪きけばんごくのろうどうしゃ~
労働者の悲哀を口ずさみながら歩いていたら、元日から営業中のパチンコ店を発見。なになに……お年玉プレゼント? ヒマだし寄ってみよう〜。
「あけまして、あけまして、おめでとうございます。本日ご来店のお客様に当ホールからのお年玉……3000円分のパッキーカードをプレゼントします」
パッキーカードってわかる? パチンコで使うプリペイドカード。この時代のパチンコは台の横のカードリーダーに、プリペイドカードを入れて打つんだって。
「だってさ、美由ちゃん。ちょっと打っていこう?」
「仕方ないわね、その3000円分だけよ」
入口で店員さんにカードをもらって店内を物色。かわいいキャラクターの台に並んで座った。あ、ちなみに私はスロットを打ってたけど、パチンコを打ったことないの。初体験なのよ〜、初体験。初体験(意味深)ってステキ☆
♪フィーバー
「当たったよ、オールフルーツ!」
2000円分くらい打ち込んで初当たり。確変に突入した。驚き・桃の木・爆裂機、ハッピー・ラッキー・サルモンキー! なんか意味不明だけど当たればOKよ〜!
「いいなぁ、葵ちゃん」
「ほい、このカードも使って」
1000円分残ったカードを美由ちゃんに渡した。
♪フィーバー
美由ちゃんは3000円のカードを使い切ったけど、私のカード残り1000円で大当たり。確変に突入した。
「当たったよ、葵ちゃん! 当たった、当たったよ~」
「すごいじゃん、美由ちゃん!」
しかも美由ちゃんは大連チャン。8000発くらい出たのよ。ビギナーズラック?
二人合わせて4万円くらい勝ったよ。元手がタダだから、丸儲けだね。
◆◇◆
翌日。行くでしょ、初売り。臨時収入もあったしね!
というわけで、朝からヨド〇〇カメラの初売りに並んだよ。
えっ、元日じゃないのかって?
今年(2002年)のヨドバシ初売りは1月2日なのよ!
それにしても、まだ開店前なのに、けっこうな行列だよ……。
「ねえ美由ちゃん、大丈夫? けっこう並んでいるよ……」
「熱心に並んでいるのはゲームとかパソコンの福箱じゃないかしら? ほかの福箱は大丈夫だと思うわ」
さすが美由ちゃん、東京ジモティー。事情通で助かったよ。
「どの福箱を買うの、美由ちゃん?」
「AVかオーディオの箱。どっちにしようかしらね……」
「なんか、意外。どうして?」
「DVDプレーヤーやポータブルMDがほしいの」
「じゃあ、美由ちゃんがAVで私がオーディオを買おうか」
「いいの?」
「うん。予算2万円じゃパソコンやデジカメ福箱は買えなさそうだしね」
というわけで美由ちゃんはAV、私はオーディオの福箱を購入した。
あっ、AVってアダルトなほうじゃないからね!
「重い……」
2万円の箱は大きくて、重かった。美由ちゃんは軽々と箱を抱えている。やっぱり葵ちゃんボディはパワー不足だ。修行しなきゃ……。
「アオイくんに、ミユくんじゃないか。あけましておめでとう」
「あっ……」
箱を抱えて寮に戻る途中、社長に遭遇してしまった。通り道にはあるんだけど、ウチの会社の雑貨店。なんで、正月から会ってしまうの……。
「あけましておめでとうございます」
美由ちゃんがおじぎをした。
私は……箱を抱えていて気づかないことにしておこう。
「いいところであったね、アオイくん。ちょっと事務所に来てほしい」
「いや、私、荷物が……ほら!」
「運んであげるから、さあ」
ホイっと、福箱を取り上げられた。
なんかもう私、正月休みなのに仕事させられるよね?
「お昼、ごちそうするよ。ミユくん何がいい?」
「マッ○でいいです」
いや、マッ〇安いからっ! ハンバーガー80円。消費税5%で84円だから。それ自分で食べれるし! もう少し高い物にしよう。美由ちゃん、お願い。
◆◇◆
「やった〜っ、DVD入っていたわぁ!!」
ヨ〇バシで買ってきた福箱を社長室で開封している。説明不要だろうけど、社長室とは名ばかりの倉庫ね。
美由ちゃんが買ったAV箱にはDVDプレーヤーが入っていた。あとポータブルCDプレーヤーとマッサージ器? マッサージ器はなんで入ってるの? やっぱりAVだから? 謎は深まるばかりだ。あとは……細々とした商品が何点か入っていた。
「よかったね、美由ちゃん。大当たりだね」
「うん! この勢いで葵ちゃんも開封しよう」
私も開封だ。重かったから期待しちゃうよ。
「MD……だけど、デカい?」
「わあ、葵ちゃん、これMDとCDのラジカセだね。当たりだと思うよ。これで、CDからMDにダビングできる」
「よかった〜」
ホントだよ、こんな重いものを運んできてハズレだったら泣いちゃうってばさ。
で、箱の中身。ほかにも大物が入っているみたいだ。
「これナニ?」
「足の、ふくらはぎのマッサージ器じゃないかしら?」
「またマッサージ? マッサージ箱じゃん、これ。あとは……男性用の電気シェーバーだ。広石さんにあげる?」
「う~ん、こういうのは好みもあるから、どうかしら?」
ほかにも細々とした商品が何点か入っている。意味不明なアイテムもいくつかあった。ゴミ箱かな?
「お~い、お待たせ」
マ〇クにパシらせていた社長が戻ってきた。開封作業はここまで。ランチタイムにしよう。安いとか文句言ったけど、ハンバーガーはハンバーガー。ありがたく食べよう。
「あ、社長、シェーバー要ります? プレゼントしますよ」
「いいのか、アオイくん?」
「いいよね、美由ちゃん」
ビッグ〇ックにかぶりつきながら、美由ちゃんがうなずく。
「どうぞ、どうぞ……」
「すまんな、ありがとう。大事に使わせてもらう」
なんか感謝されてしまった。美由ちゃんが生温かい目で見ている。少し気まずい。
「そうだ社長。ネット通販の商品なんですけど、ウチも福袋をやりません?」
「ああ、でも、これからだろ? 正月が終わっちまうぞ?」
「福袋なんて、一年中やっていいんですよ」
「そんなもんなのか? ミユくんは、どう思う?」
チキンタツタを頬ばっていた美由ちゃんが、指でOKサインを作った。
「わかった、吉祥寺と中野の店の在庫を漁ってみるか。まったく、また仕事を増やしやがって……」
「儲かるんだから、いいじゃないですか~」
「はい、はい、はい……。アオイ様のおっしゃる通りでございます。わかったからさ、手伝っていってくれよな」
「だってさ、美由ちゃん」
ダブルチーズバーガーを食べていた美由ちゃんが視線をはずした。そこは、頷こう。食い逃げは許さん、食い逃げは。というか、何個食べるの、ハンバーガー? 食欲モンスターでしょ、やっぱり!?
このあと……めちゃくちゃ発送作業した。
早く、人を雇ってよ〜。
ヨドバ〇初売りが元日になったのは2004年からです。2002年の初売りは1月2日でした。
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