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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行


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11ー5 アオイ、酒乱パーティーの裏で密談する。お酒は20歳を過ぎてから(コンプラ的に)

美由さんは、酔えば酔うほど強くなります。

「ミユちゃんのいいとこ見てみたい! はい、いっき、いっき、いっき、いっき!」


 11月30日。美由ちゃんの誕生日だ。そんなわけで『ピンクシャドウ』はミユちゃん生誕祭。とんでもない大盛況になった。満席のお客さん。ほぼ全部、美由ちゃんの客なのよ。


 美由ちゃんは真っ赤なキャバドレスに「今日の主役」のタスキ。コールに乗ってシャンパンをラッパ飲みしている。

 お酒は二十歳を過ぎてから!

 美由ちゃんは今日が初めての飲酒のハズなんだけどなぁ……。いろいろと察してしまう。


「飲んで、飲んで、飲んで、飲んで! 飲んで、飲んで、飲んで、飲んで!」


 パチパチパチパチ……!

 美由ちゃんはボトルを一本飲み干した。


 おおおおっ……おおおおぅ……!

 フロアがどよめく。


「今日は私の誕生日に来てくれて、ありがとー!」


 いえぇぇっぃ……うおおおおぅ……!


「ミユは……二十歳になりましたー。お酒ーっ、飲めまーすっ!」


「ミユさん、ミユさん、お酒が強い、飲まないミユは、ただのミユ! はーい、飲んで飲んで飲んで飲んで……」


 美由ちゃんは二本目のシャンパンをラッパ飲み。グビっと口に含むと、お客さんに口移しで飲ませた。たぶん、ボトルを入れてくれた人だよね? 


「ミユのキスで口移し酒ぇぇ、みんな飲めよーっ!」


 うおおおおっ……うおおおおぅ……!


 美由ちゃんが各テーブルを回りだした。

 いく先々でシャンパンを注文させてラッパ飲み。それを口移しで客に飲ませていく。


「さすが〜! さすが〜! 男前っ!  はーい、グイッと、グイッと、グイッと、グイッと! 」


 美由ちゃんは、酔えば酔うほど強くなる。安くはないシャンパンボトルが、次から次へと空いていった。ある意味、地獄絵図。鬼に金棒、美由ちゃんに酒瓶だ。


「はーい、飲んで飲んで飲んで飲んで……」



 私はこっそりVIPルームに逃げ込んだ。ここはセーフゾーンだ。


「おやおおや、アオイ殿も逃げてきましたか」


 VIPルームではバキさんがウチの社長と密談をしていた。リアルな悪代官と越後屋だね。

 ということは、私って腰元? くるくる回されちゃう? よいではないか、よいではないか〜!


「アオイくん、何をクルクルまわっているんだ?」

「いや~、ダンスです、ダンスの練習~」


 いかん、いかん、身体が動いてしまう。踊らされやすい体質なのよ。


「郷田殿、アオイ殿も来たでござるし、仕事の話はここまでとしませぬか?」

「そうしますか……」


 ボーイの神林くんが、おしぼりやグラスを持ってきてくれた。

 私は社長とバキさんに、お酒を作る。バキさんも社長だから、両手に社長状態? 強面オヤジとヘビー級どすこい。キャラ濃すぎて、ウレしかないけど。

 

「それにしても今夜は盛況でござるな」

「開業以来最高の売り上げ……いや、キャバクラだったころまで遡っても最高なんじゃないかな? アオイくんが提案してくれた新規獲得作戦。こんなに早く成果が出るとはなぁ」

「イベント案内と割引チケットのメルマガ配信、キャストブログと出勤予定、ネット予約の連動……アオイ殿はネット、とくにモバイルの使い方をよく理解してござる。わが社の企画部にほしい人材でござる」


 いえーい、ホメられてるぅ。すごいじゃん、私。天狗になっちゃうよ〜。


「ホメられついでに、もうひとつ提案があるんですが?」

「なんだね?」

「ウチの店というか、古着屋と雑貨屋をeコマース対応にしましょう。とくに携帯で買えるようにしてください」

「アオイ殿、eコマースで服は売れないでござるぞ」

「バキさん、それは先入観ですよ」


 ふっふっふっふ……私は未来人。知っているのよ。服はネットで買うのが当たり前になるのね。それも今(2001年)から、そんなに遠くない未来。


「そう遠くない未来、たぶん1~2年のうちにファッション雑誌にQRコードが載って、それを携帯で読み込む通販が始まります。技術的には、すぐですよね?」

「……アオイ殿、なぜそれを? QRコードの読み込み機能は、来年発売の携帯機種から搭載が予定されている最新機能でござる」


 あれ、そうだっけ? まあ、いいや。ここは勢いでノリきろう。


「私たち……若い女性は24時間、携帯を手放しません。私たちが便利だと思う機能が次々と実現されていく。そういうものじゃないんですか~? だから、服が売れないっていうのも、売り方の問題だと思うんです。だって、私たちは服を買いたいんですもん」

「た、たしかに……」


「雑誌に通販を付けるのも、そういうコーディネートを写真でしっかり提案してもらえたら買いやすいですよね? 社長は好きでしょ、コーディネートするの? セレクトショップみたいなスタイルでいきましょう。ウチの店のキャストに服や小物、アクセサリーを身に着けさせて写真を出せばいいんですよ。サイズも使用感もわかりますよね?」

「あぁ、なるほど。モデルには困らないか!」


 まあ、10代、20代、30代はいる。あと絵里奈さんはアラフォーっぽいもんね。ホントは何歳なんだろう? 気になるわぁ……。


「それとバキさん、自分の身長、体重や、過去に買った服のデータからサイズやおススメが出てくるようなシステムって組めますよね?」

「それは組めますぞ。さほど難しくはないでござる」

「バキさんのツテで、i〇〇ドの公式に押し込めませんか? 『ピンクシャドウ』は論外として雑貨と古着の販売」   

「ほぉ……」


 さすがに無理な相談だったかな? バキさんは腕組をしたままフリーズ。しばらく目をつむったあと、口を開いた。


「……アオイ殿、この店を辞めてウチに入社しませぬか?」

「へっ?」


 予想外の展開。私がフリーズする番だった。こんなタイミングで急に言われても困る。

 私が大学生で就活中だったら即OKしちゃうけどなぁ……。でも私、大学生じゃなくて、借金持ちの水商売女でござるよ、バキさん。

 借金が1450万7409円。利息だけで月に22万6000円。普通の勤め人の給料一月分が利息でパ〜。いくらバキさんの会社が高給でも借金返済は……無理だよね?

 どうせなら令和の碧唯に内定出してほしいのねん。


「いやいや、それは郷田商会としても困ります。アオイくんはウチの貴重な戦力ですからね。御社には譲れませんぞ。ハッハッハッハ……」

「これは郷田殿に一本取られましたな。アオイ殿の勧誘は、またの機会にするでござるか」


 モテモテじゃん、私。あんまりウレしかないけど。

 どうせなら、パパみたいなイケメンからモテたいわ。あっ、そういえばパパとママって、もうデートしたのかな? 滅茶苦茶セックスしたしたのかな? なんかうらやましいなぁ。私がモテてるのは強面のオッサンとヘビー級バキバキ。やっぱり世の中は不公平だーっ!


 あ、そうだ、忘れないうちに渡しておこう。

 カラオケセットの裏をガサゴソ……。隠しておいたヨド〇シの紙袋を取り出した。


「はい、バキさん、プレゼント」

「拙者に……で、ござるか?」

「出会って1年の記念日だよ、今日は!」


 バキさんにヨ〇バシの紙袋を手渡した。ウチの社長は「?」って顔。前の店だったからね、私とバキさんが出会ったのは。


「こ、これは……V作戦のセット」

「1周年だから、1年戦争のMSね」


 だから7周年はZにする予定。7周年があるかどうかは知らんけど。


「アオイ殿……ほれ申した」


 うん、なんか、去年も言われた気がする。去年は美由ちゃんの誕生日で私がタンカを切ったんだっけ。美由ちゃんの誕生日イベントは荒れる決まりでもあるのかねえ、まったく。

 

「アオイくん、私には何かないのか?」

「えっ、社長にですか? なにもないですよ」

「そうなのか……」


 社長はがっくりしちゃったよ。仕方ない、今度なにか差し入れしてあげよう。顔が怖いクセに、さびしんぼうだね、ウチの社長。

ミユ生誕祭が大荒れだったので、アオイの誕生日は静かに実施されましたとさ。

あと、設定上ですが誕生日前に葵は原付の免許を更新しています。とくに何も事件も起こらず更新できてしまいました。


筆者からの、お願い

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