11-3 社長への提案と男女の合体を応援しよう(物理的に)!
借金返済に腹をくくった美由ちゃん。手段を選びません。
私と美由ちゃんは、ウチの会社の社長室に来ている。あ……社長室とは名ばかりの、雑貨屋2階の荷物置き場ね! 意外と寮から近いのよ。
「で、ミユくんは、もっと稼ぎたいと?」
「それには、ウチのお店自体がもっと繁盛しないとダメなんです」
「ミユくんは簡単に言うがね、繁盛する方法がわかるなら苦労はしないよ」
デスクで社長はパソコンと格闘中。パイプ椅子デザインのノートPCだ。オシャレじやん、社長。本業が雑貨屋や古着屋。基本的に小じゃれた人なんだろうね。
「あの……私、顔出しできます!」
「なっ! いいのか……? 店の広告や看板にミユくんの顔が出るんだよ?」
作業をしていた社長が手を止めた。美由ちゃんの顔を見る。ついでに私の顔も見た。えっ、なんで私を見るのよ?
「ウチは露骨な風俗じゃないけど一応エッチな店だ。知られたら困る人もいるんじゃないか?」
「知られて困る人は……いません」
「そうか、わかった。ミユくんがウチの広告塔になってくれるなら集客アップも期待できる。ありがとう。決断に感謝する」
軽く頭を下げた社長。続けて私の顔を見た。ニヤリと笑う。
「アオイくんもあるんだろ、話が?」
「はい。提案があります。こちらを……」
社長の前に提案書を出した。パソコンないから手で書いたよ。読んでクレメンス〜。
「ふーむ……よく調べてあるな。新規客の獲得は大きく2つ。案内所や店頭で見つけてもらう方法と、インターネットで見つけてもらう方法。ここは世代の差か? 雑誌なんかの紙媒体は補助的な扱いをしてるな」
「これからはネット、とくに携帯、モバイルです。ウチの店は全然足りていません。そもそも携帯版のホームページすらないのは、不適切にもホドがあります」
「頭が痛い話だが、そのへんは難しいからなぁ……」
「ご安心ください。その道のプロに太いパイプがあるんです、私。社長さえウンと言ってくださればスグにでも話を進められますよ~」
なんのことはない、バキさんなんだけどね……。
「わかった。店長と話して、進める方向で動く。これで新規のお客様は増やせるだろう。でも、それをリピーターにするのはキミたちキャストにかかっている。さらなる奮闘を期待しているよ」
「「ありがとうございます」」
ほかにも私の提案はいくつかあったが、概ね了承してもらえた。思ったとおり、社長は柔軟な人だった。これで、私たちの借金返済も進むと思う。もちろん、うまくいけばだけどね〜。
「おお……そうだ、これをあげよう」
「これは……ホテルの宿泊券?」
「恵比寿のホテルと目白のホテルがあるから、 二人で仲良くわけてくれ。恋人とでも行くといい」
「ありがとうございます!」
ニコニコで頭を下げる美由ちゃん。これはもう広石さんと行くつもりだ。美由ちゃんは男にも手が早いなぁ……。
「私、一緒に行くような男の人がいないんですけど~」
「えっ、アオイくんはイケメンホストの彼と行くんじゃないのか?」
「それは、ガセネタでーす! 付きあってませんからーっ!!」
◆◇◆
社長にもらったホテルの宿泊券。美由ちゃんは目白のほうを持って行った。ここって結婚式でも有名だもんね。完全にヤル気まんまんじゃん。
さて、このホテルの宿泊券。どうしたものだろう?
♪ビーー、ビーー、ビーー、ビブベー
ママ(唯依)からのメールだ。 なになに『もうすぐ真治の誕生日なんだけどプレゼント何がいいかな?』だって……。ひょっとして、私が宿泊券をもらったのを察知した? スキル持ち?
まあ、いいや。ママにあげるか、これ。
『いいモンあるから渡す。部屋で待て』。メール送信〜。
そのまま電車で中野に向かった。なんか、ママに会うのも久しぶりだね。
マ〇イの裏の路地を抜けてボロアパートへ。1階の角部屋。相変わらず鍵がかかっていない。防犯意識ーっ!?
「来たよーっ!」
「葵、いらっしゃ……って、キレイになったね!? どこのアイドルかと思ったわ」
いえ〜い、アイドル、アイドルぅ〜。ウチの店じゃあ、なんたら娘だもんね、ピース!
まあ実際はメイクしているからだよ、たぶん。さっきまで社長に会ってたし。さすがにノーメイクで社長には会えんっす。これでも一応は社会人よー。
「てれれれってれー♪ ホテルの宿泊券~」
「うえぇぇぇっ、恵比寿ガーデンプレイスにある豪華ホテルじゃないのーっ! こんな高い物もらっていいの? 」
「いいよ、いいよ。私も、もらいもんだから。ウチの会社の社長にもらったけど、私じゃ行く相手もいないじゃん。唯依にあげるよ。有効活用してね」
「葵……彼氏いないの?」
「うん、いないよ」
「ごめんね、取っちゃって」
あっ……そういう感じなんだ。
私としては、むしろホッとしているんだけどなぁ~。そもそもママとパパは実際に結婚していた。子供も二人作っているんだから、心も身体も相性はいいはずなのよ。このまま順調に結婚してほしい。というか、結婚しなきゃ、困るのよ!
「気にすることないって。落ち着くべきところに落ち着いただけよ。絶対、結婚してね」
「葵ぃぃ!」
ママに抱きしめられた。相変わらずボインボイン。久々に感じたよ。ホント、なんで令和の私のバストはママに似なかったんだろう? やっぱり世の中の不公平だ。
「ねえ、葵、久しぶりにセックスしよ!」
「えっ、唯依は真治さんと付き合っているんじゃ……」
「葵も真治と付き合っているときにアタシとヤッてたじゃん!」
(しまったーっ、そうだった!)
「見て、見て! 新作があるのよ、こんなに!」
ママがベッドのシーツをめくった。L字? L字があるよーっ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! 危険しか感じない。ちょっとーっ!
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