6-2 寿司食いねえ? 回転寿司みたいなセクシーパブ
今回、二人が体験入店をする店。
実際に当時、歌舞伎町に存在した店がモデルです。
インターネットで調べてアタリを付けた店に、体験入店をしてみることにした。
まずは一軒目。歌舞伎町の花道通り。場所はこの辺のハズ……。
「葵ちゃんあったよ『チチ食いねえ』」
なんか、そのまんまの看板が出ている。
正式店名は『回転セクシー チチ食いねえ!』。
どーだい? ひどいだろう?
とりあえず店の前を掃除していたボーイさんに声をかけてみる。
体験入店の旨を伝えたら、裏口に通してくれた。
この店はちゃんと、裏口があるみたい。
「ああ、電話をくれた体験入店の二人だね」
蝶ネクタイの店長さんが、待っていてくれた。
「「よろしくお願いします」」
「他店でやってた?」
「はい、『SEXY CLUB ZUNDA』にいました」
「あぁ……」
なんだ、この「あぁ……」というか、同情の眼差しは?
「あそこよりは全然、楽だと思うよ。大変だったでしょう?」
「「えっ……?」」
なんと……『ZUNDA』って「大変な店」という認識だったんだ。そこまで大変だった気もしないんだけど、私は……。
「まあ、基本は一緒。キャバクラ風の接客。それとダウンタイム、うちの店では回転タイムって言ってるんだけどね。よそと違うとすれば、席の配置かな?」
たしかにユニークな配置だ。店内の座席が円形に配置されている。
「なるほど、回転寿司ですね!」
知っているのか、美由ちゃん!?
「そう、背の高いお嬢さんが正解。回転寿司だよ。回転寿司と違うのは椅子の向きが、円の内側ではなく外側に向いていることかな? まあ、そこは口で説明するより実際に体験してもらったほうが早いかな?」
回転寿司? えっ、美由ちゃんは納得しているけど、回転寿司? 私のイメージする回転寿司はスシ〇ーとか、がっ〇ん寿司なのよ。いまいちピンとこない。
この時代の回転寿司って、こんな感じなの? あとで行ってみよう……。
というわけで、着替えて準備完了。衣装は普通のキャバドレスだった。
なんか、もっと寿司っぽい衣装かと思ったけど、いや、寿司っぽいって言われても困るね。
とろサーモンの服とかあったっけ? 丸メガネでもかけとく?
午後8時の開店とともに、続々とお客さんが入ってきた。人気店という評判に嘘はなさそう。私も美由ちゃんも、さっそく接客に投入された。
「いらっしゃいませ、バッテラでーす」
そうそう、あったよ寿司っぽさ。女の子たちの名前が寿司ネタなの!
私はバッテラ。美由ちゃんはアイナメよ。
なんか、もう有名ネタは先輩たちが取っちゃって、こんなのしか残っていないらしいの。バッテラなんて食べたことないのに〜!
接客自体は普通のキャバクラ。説明通りだった。お客さんの左手側に斜め45度に着席。もう自然に身についているよ。
当たり障りのない会話で場をつないでいると、店長さんのマイク。
「業務連絡、業務連絡。まもなく回転タイム。キャスト、スタッフ、スタンバイOK?」
先輩キャストのお姉さまたちやボーイさんが、各座席からテーブルを引き離している。
「バッテラちゃん、席の周りを通れるようにテーブルを離して」
「あ、はい……」
ボーイさんに呼ばれて自分が『バッテラ』だと思い出した。
慌ててテーブルを動かす。
誰だよ、私に『バッテラ』ってつけたの!
あたふたしていたら、だんだん照明が暗くなっていく……。
そして、なんか聞いたことがある曲が流れてきた。
昔の男性アイドルグループの歌で、よくスーパーのお寿司コーナーで流れているアレだ。
よし、回転タイムスタートだ!
とりあえず、お客さんの膝の上にまたがろう。お客さんと私が向かい合う。
私が最初に勤務した『ハッスルガール』と同じ感じ。セクシー的な言い方だと対面座位だね!
キャバドレスの肩ひもをはずす。ブラなんて野暮なモノはつけない!
ドレスの下は、おっぱいポロリン、ポロポロリンよ〜。
見ろよ、このBカップ! ピンクピンクやぞ……ゾックゾクするやろ!
「……小さいね」
(くやしいです!!)
ぬぬぬ……控えめな日本女性の美がわからぬ輩め。
私が密かに精神的ダメージを受けている間にも、曲の1コーラスが終わった。
♪……スシ食いねェ!
「はい、移動! バッテラちゃんは左隣の席に」
ボーイさんに促された。
店内を見渡せば、おっぱい丸出しの女性陣が民族大移動中。
もちろん私も、おっぱい出しっぱなしで移動だ。
なるほど、移動するからテーブルをどかしたのね。納得したよ。
移動して、お客さんの膝の上に対面座位。あいさつもなしに、乳をモミモミ。
うん、このお客さんはわかってる。
手の中にすっぽり収まるコンパクトサイズ。善き哉、善き哉。
♪……スシ食いねェ!
さらに移動。お客さんの膝の上に対面座位。3人目だから、お客さんもテンション高い。座った瞬間、モミモミしてくる。
なんか、楽しくなってきた。
♪……スシ食いねェ!
4人目だ。お客さんのテンションはさらに高い。膝の上にオンした瞬間。即座におっぱいモミモミされた。
こういうのでいいんだよ、こういうので!
さあ、5回目……と思いきや、ここで終了。回転タイムは1曲で4回転のようだった。
そのまま、このモミモミ好きなサラリーマンの席についた。
回転タイムは20分に1回。1回5分くらいの長さだから、ほぼ15分おきにやってくる。
15分なんて「あ"ー"っ!!!」 という間。お天気の話をして、寒いとか、暑いとか、適当にうなづいておけばいい。
「業務連絡、業務連絡……」
本日二度目の回転タイムに突入した。
1人が1分程度で4回転。4人が入れ替わりで1セット。
1分といっても移動やなんやで正味の時間は50秒とか。ナニかエロエロできるような時間ではない。おっぱいモミモミくらいで終わっちゃうよね。
だから、楽といえば楽だけど……。
♪……スシ食いねェ!
◆◇◆
体験入店が終わって、私と美由ちゃんは「回転寿司」に来ていた。
歌舞伎町一番街から少し入った路地。一皿105円の店だ。
店の中央に回転するベルトコンベアがあって、囲むようにカウンター席が配置されている。
これが昔ながらの回転寿司なんだって! 『セクシー回転 チチ食いねえ!』は、これが元ネタ。
納得したよ。ガッテン、ガッテン、ガッテン、お寿司!
というわけで、昔ながらの回転寿司で反省会だ。
私はバッテラ。ついさっきまでの自分を食べる。これも共食いかな?
「美由ちゃん、『チチ食いねえ』どう思う?」
「ないわね」
即答だった。美由ちゃんはYES・NOがハッキリしている。
最近わかってきたけど、かなり男前な性格だ。そのへんは私と似ている。
「たしかに『おさわり』はライトだから、身体の負担は少なかったわね。私でも楽勝なんだから、葵ちゃんは物足りなかったんじゃないかしら?」
「もう、美由ちゃん! 人を性欲モンスターのように言わんでよ~」
「でも、短時間で次々と女の子が入れ替わるシステムだから、指名は取れないでしょ? お客さんも満員で、おもしろい店だけど、稼げる気はしないわ」
「だよね〜。稼げないとねぇ~」
まあ、次に期待。次、次!
で、次々食べていたら、二人合わせて35皿……。
性欲モンスターじゃなくて、食欲モンスターだよ、私たち。
筆者からの、お願い
みなさんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどが力になります。続きを書くためにも、どうか評価をよろしくお願いします。




