4-7 ハッピーバースデーって言われたい
大げさだと思うかもしれませんが、シナモンロールって珍しい菓子だったんです。
12月3日って何の日? 大工原碧唯、本当の私の誕生日。123……ダー!
誰もハッピーバースデーって言ってくれませんでした。寂しい。
まあ、仕方ない。今の私、佐藤葵の誕生日は12月12日なんだから!
そんなワケで、やってきました誕生日。誕生日に来てくれるお客さんがいるかな?
「アオイ、ハッピーバースデー」
最初に来たのはホストのキヨミヤ。私が以前在籍していた『ハッスルガール』と同じビルに一店だけあったでしょ、ホストクラブ? そこの幹部だってさ、自称だけど。
普段のキヨミヤは開店直後の早い時間にフラっときて、1セットで帰っていく。でも、今日は珍しく延長してくれていた。
「店はいいの? そっちも営業時間じゃん」
「え〜、オレは遅いのよ、偉いからさ。アオイも来てよ、サービスするから」
「いらん!」
「つめたいなぁ。それよりも今日は誕生日なんだって。シャンパンでも入れてあげたいけど、アオイは飲めないもんね。せめて延長1セット、プレゼントさせてもらうよ」
うわぁ……ホスト! あま〜い、甘い。これ、ハマる人は、ハマるわ。ヤバいよ、ホスト。
油断したら身ぐるみはがされ丸裸、すっぽんぽんにされちゃうね。葉っぱ一枚あればいい〜ワケないからっ!
使うわ、精神コマンド。鉄壁(シャキーン!)
ピ・ポ・パ・ポ……。ちょうどよくダウンタイムだ。ここは勢い! 必中と熱血も使っておこう。あ、私、精神コマンドがスーパー系だよ、モビルスーツに乗りたいのにー。
♪ないとんふぁいあ……
「アオイ……、パンツある?」
「あいよー、2000円。まいどあり~」
高いほうのパンツを売りつけたった。私への誕生祝いだと思ってくれ。サンキュー、キヨミヤ。来てくれて、ありがとう。
キヨミヤと入れ替わるように、まっくんが来てくれた。私と同じくらいの歳かな? 高校生くらいにも見える。旧ジャ〇ーズにいそうな、かわいい系の美少年だ。
「アオイ、誕生日おめでとう。これプレゼント」
「ありがとう、まっくん」
これは……LAN〇〇ME? ママが使ってたフランスのメーカーやん! キラキラしたリップグロス。素敵だ。いいセンスしてるわ、まっくん。
ピ・ポ・パ・ポ……。
あ、ダウンタイムだ、プレゼントのお礼だ、サービスしちゃお!
「あ、今日は踊らなくていいんだ。ただ……、抱きしめさせてほしい、キミを」
まっくんが私の手を取って引き寄せる。ハグされちゃった。ぎゅうっと、強く抱きしめられる。
う〜ん、なんか重い。まっくんって、愛が重いタイプ?
「お待たせしました。本日ご指名のアオイでございます。ごゆっくりお楽しみください」
「アオイです。お待たせしました。ご来店ありがとうございます」
「あ、来た来たアオイちゃん。じゃあ、私はお役御免ね」
「いやいや、せっかくです。ミユ殿もご一緒くださいませ」
わーい、バキさんだ〜。バキさんは先日の騒動以来、ちょこちょこ来てくれている。私の誕生日にも来てくれるとは、ありがたい。
で、私がほかのテーブルについている間、美由ちゃんがヘルプに入っていてくれた。美由ちゃん、サンクス。
「アオイ殿、お誕生日おめでとうござる。誕生日のお祝いでござる」
「これは……シナモンロール!?」
「やあ~なに、アオイちゃん、シ〇ボンよ、美味しそう」
なんか私より、美由ちゃんのテンションが異常に高い。川口のイ〇ンにあるじゃん、シナ〇ン。
まあ、おいしいけど、そこまで……、あ、これがキャバ嬢テク? 私もここは、大喜びしておくべきなん??
「バキさん、うれしい、私、大好きなの(キラっ☆)」
「お喜びいただけて、嬉しい限りでござる 」
「ホントよ、アオイちゃん。これ吉祥寺の行列ができる店なんだから!」
あっ、そうか、この時代だと、まだシナ〇ンって珍しかったのかぁ……。
行列店ってことは、並んで買ってきてくれたんだ。ありがとう、バキさん。いい人だよー。
というわけで、さっそくシナモンロールを食べた。ふわっと甘い香り! ずっしり重い。もっちりとした生地、たっぷりのシナモンとクリームチーズ……。
カロリー高そうだけど、誕生日だからいいよね?
◆◇◆
なんだかんだで、楽しい誕生日だったかな? シナ〇ン、いっぱいもらっちゃった。ママにも持って帰ってあげよう。
今日くらいタクシー使ってもいいよね? 誕生日だもん。
「あら、おかえり、葵。早かったのね」
「ただいま〜ん。誕生日だったしゼイタクして、タクったよ。はい、お客さんにもらった」
午前3時だったけど、ママは起きていた。ちょうどよかった深夜にスイーツ。カロリー地獄の祭りだワッショイ!
「わぁ〜、これはシ〇ボン! 食べていいの?」
「どうぞ、どうぞ……」
「あんがとー、葵~大好きよん。で、なんか他にプレゼントもらった?」
「うん、なんかキラキラするリップグロス」
「な、これは、L〇〇CÔMEのジューシーチューブじゃないの! ふふっ……口紅のプレゼントねえ〜。キスをしたいって意味かー。もう~好かれてるね、葵」
うわぁ、そうなんだ。やっぱり重いわ、まっくん。美少年なのに重いな、残念。
「はい。私からもプレゼント」
マリーク〇ントのポーチだ〜。この仕事を始めて、お化粧道具を入れたりするのに、ポーチが欲しかったのよ〜。さすがママ、わかってる!
「ありがとう~。ま……唯依!」
「ふふっ……。ハッピーバースデー、葵」
うれしいな。お客さんに祝ってもらうのもうれしいけど、やっぱり家族に祝ってもらえると、うれしいよ!
「じゃあ、葵、ベッド行こう!」
「………」
このあと……めちゃくちゃセックスした。
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