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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行で働け


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1-2  西暦2000年に転生? チートとかないの!?

短いエピソードだったので、1話にまとめました。

以降のエピソード番号がずれていますので、ご注意ください。

 目が覚めた。

 天井だ。見知らぬ天井……とくれば異世界転生?


 どこかで見たようなパターンだ。

 アニメやマンガならここからチート能力発動で無双スタート……って流れだけど、どう見ても普通の病院。病室のベッドの上。現実の世界だわ、ここ。


 まあ実際に異世界転生なんか、しちゃっても困るしね〜。


 とりあえず……体は動く。大丈夫みたい。

 いやー、焦った、焦った。死んだかと思った。電動キックボード(名称自粛)危ないわ、マジで。


 なんかゴロゴロしてたら、看護師さんが気づいて先生を呼んできてくれた。

 年配の「おじいちゃん」って感じの先生だった。

  

「やー、頭を打って大変でしたな。レントゲンもCTも異常はないですよ。少しコブができてますけど、そこは様子を見てください」


 やっぱり頭を打って病院に運ばれたんだ、私。電動キックボード(名称自粛)許さん、絶対にだ!


「あ、そうだ、私をハねた……」

「ああ、自転車ですね。詳しいことはわからないけど、逃げたみたいよ」

「えっ……自転車? 電動キックボード(名称自粛)では?」

「る? るう? なんでしょ、それ?」


 電動キックボード(名称自粛)を知らないなんて変な話だけど、看護師さんも首をかしげている。

 おかしい……。たしかに私は電動キックボード(名称自粛)にハねられたハズ?


「あおい……あおい!」


 ママの声だ。

 よかったー、来てくれたんだママ。


 声のほうに視線をやると……ママ!? えっ、ママなの?

 ママの顔なんだけど……若い、若すぎる! 病室の入り口に立っているのは、私と同世代のピチピチした女の子。


 どういうこと?

 やっぱり異世界転生? それとも死に戻り?

 とにかく、何かとんでもないことになっちゃったみたい。どうしよう、私?


 ◆◇◆


 結論から言おう。私は西暦2000年の東京に転生した。

 いや、生まれ変わりではなくて、別人の身体に憑依したから、厳密には転生じゃない。


 その転生だか憑依をしちゃった相手は「佐藤葵(さとうあおい)」。

 ママの親友。つまり、ウチの仏壇に飾られていた写真の女の子だ。鏡を見せてもらって確認したけど、間違いない。

 異世界モノの定番だコレ。亡くなった人の代わりに転生するパターン。何度も読んだ、いや、読み飽きた。でも、実際に自分が当事者になってみると不安要素しかない。


 救いがあるとしたら、顔が可愛かったこと。

 ちょっとアカ抜けないというか田舎臭さはあるけど、透明感のある清純派って感じ。

 なんだか、イケそうな気がする〜。


 でも、でも身長は不安! 一応、ママよりも高いから女の子としては小さくないんだろうけど、ほら私、身長170㎝だったでしょ? 急に目線が低くなったから落ち着かないのよ。


 あと、せっかくだったらボインボインに転生したかった。この葵ちゃんボディって、私と同じ貧乳系じゃん。なんか「あおい」って名前は貧乳になる呪いでもあるの?

 巨乳化を所望する! 転生特典使わせてくりぃ〜。


 まあ、それはともかく、私は今……絶賛「記憶喪失」ってことになっている。


 正確にいうと記憶はあるのよ。令和のキラキラしたリア充の大学生「大工原碧唯」としての記憶がね。えっ、ただのモテないオタク女子だって?

 キオクニゴザイマセン……。


 でも、でも、でも、「佐藤葵」としての人生は記憶にない。

 転生モノだとバーっと記憶が頭に流れ込んだりするでしょ?

 ないのよ、そういうのが。話が違うじゃん。


 おじいちゃん先生は、私の挙動不審っぷりを見て「あー、頭強く打ったからね、記憶が混乱しちゃったんだね。よくあるよくある」みたいなノリで納得しちゃってる。

 大丈夫か平成日本の医学?


 横で半泣きになってたママも「あおい……大丈夫、アタシが全部教えてあげるから!」って感じ。すっかり「記憶喪失の親友を支える私」モードに突入している。

 おかげで怪しまれずに済んだのはいいんだけど、そこからママに教えられた「佐藤葵の現状」が悲サンだった。もう、蒙古タンメンが土下座するレベルの激辛よ。


 まず、葵ちゃん母子家庭なんだけど、この母親がガチのクズ。

 ヤバいスジからエグい額の借金を作りやがって、男と失踪。葵ちゃんは逃げた母親の借金を返さないといけないらしい。いや、実の親だよね? 毒親レベルが限界突破しているじゃん。

 

 家賃滞納でホームレスになった葵ちゃん。「とりあえず東京行けばなんとかなるっしょ!」って、東京で学生をやってるママを頼って上京。新宿で交通事故に遭い、今に至る。


 不幸だ……。不幸のずんどこだよ。

 そこへ、追い打ちをかける病院の受付。


「まい……なん? マイナ保険証……? そんなものないわよ」


 保険証がありません。見つけにくいものですか、カバンの中も財布の中も、探したけれど見つからないんです〜。


 現状の持ち物を整理してみた。

 携帯電話、ボストンバッグ。着替え数点。財布。原付の免許証。

 免許あるじゃん、免許。じゃあ、保険証もあるんじゃないの?


「すみません、この子、保険証がないんです。お母さんが持って逃げちゃったんだから」


 葵ちゃんのオカン、あかん人や。マジでクズ母! 

 ママが事情を説明したら、受付の事務員さんが完全に哀れな人を見る目になった。すご~く申し訳なさそうに差し出してきた請求書。そこには5万円の金額が……。


 え、ただのコブに5万!?  ボッタクリ!?  えっ、無保険だからってこと?

 無理、無理、無理無理、払えません。1000円札しかありませーん!

 結局、診察代はママが立て替えてくれたよ。持つべきものはマトモな親だね。あっ、今は親じゃなくて友達だけど。


 なんか聞いたら、ママと葵ちゃんはご近所さんで、仲良しガールズだったらしい。えーと、ママの実家は仙台だから葵ちゃんも仙台出身になるのね。


 ママの話を総合するに、葵ちゃんママは近所でも有名なクズ親。

 苦労していた葵ちゃんを、ママのお父さん&お母さんが援助してくれていたみたい。葵ちゃんが欠食児童にならなかったのはママ一家のおかげなんだって。


 仙台のおじいちゃん&おばあちゃん。感謝、感謝でございます。

 無事に未来に戻れたら祖父母孝行しますんで、もっと私を助けて、ヘルプ!


 それはさておき、今の私はホームレス。ホームレス大学生よ……って、葵ちゃんは大学生じゃないからホームレス無職。すなわち、ただのホームレスだ。

 それにしてもハードすぎる。住所不定、無職、多額の借金持ち。

 どんな無理ゲーだっちゅ〜の。そこの運営、難易度設定ミスってません?


「葵、大丈夫? とりあえずアタシの部屋に泊まればいいから。一緒に仕事探そうよ」


 不安そうな私の顔を覗き込んでくるママ、いや唯依様とお呼びせねばっ!

 ああ……もうママ、あなたは神です、ああっあん〜女神さまーっ〜。

筆者からの、お願い


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