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3-2 趣味が同じ男女が恋に落ちるのは、よくある話




 喫茶店で二人きり。ナニも起きないはずがなく……って、ナニか起こしちゃダメだから!

 雑談しましょう。趣味の話とか、そんな感じでいいですか? 私、パパの趣味ならだいたいわかる。話のネタには困らないと思うのね、たぶん。


 あ、そういえば前から不思議に思ってたことがあったんだ。聞いてみよう。


「あの……真治さんと唯依は、なんで知り合いなんですか? 専門学校と大学院で接点なさそうですもん」

「大学のサークルだよ。俺、大学院生だけど顔出してるんだ。そこに小野寺さんも居て、連絡先を交換したんだ」

「名門ですからね、アニメーション同好会」

「知ってるんだ?」

「もちろん! 有名サークルですもん」


 知っているも何も、令和で私が入っていたサークルですよ。大学のアニメサークル界隈では老舗。他校からも学生も参加してくる有名サークルなのよ。

 この時代のママも、そんな他校からの参加者なんだろう……けど、ちょっと違和感があるんだよね……?


 私はママからサークルの話を聞いたことがない。というか、ママが通っている専門学校のことを、この時代に来て初めて知った。

 ママの黒歴史として封印されている? まあ、それなら……よくはないけど、納得できる。でも、私が過去に来たことで歴史が変わったとしたら、問題ありありだよね……。


「葵ちゃんもアニメ好きなの?」

「好きです! アニメというか、ゲーム、マンガ、声優、アニラジも聞きます!」

「そうなの!? 俺もなんだ!」


 私はパパといっぱい話した!

 アニメ、マンガ、ゲーム、もちろん時代性を考慮して、1990年代までの作品縛りで乗り切った。私、詳しいのよ1980年代後半から1990年代。なんでかって? 私に「英才教育」をした師匠が目の前にいるもん!

 楽しい、楽しい、楽しいなっ♪ パパと話すの、すっごく楽しい!

 パパは時々「ふんふん」と相槌を打ったり、うなずいたりして、私の話を聞いている。だんだん、だんだん姿勢が前のめりになってきた。顔が近い、顔が近い〜! 

 

「あれ? でも、記憶がないのに、昔のテレビやアニメの話は覚えているもんなの?」


 たしかに変だ。記憶喪失なのに、アニメの知識がバリバリ多いとか、不審すぎる。どうしよう、私? でも、ここは勢い。やはり勢い、勢いはすべてを解決する! 


「覚えていることと、覚えていないことがあるんですよー! アニメとかテレビとか、昔読んだマンガとか、そういうことは覚えているの。でも、自分のこと? 自分に関わってくることは覚えていないんです」

「なるほど! たしかに、特定の期間や特定の記憶だけを忘れるケースがある。脳のネットワークの「中継点や回路」が部分的に千切れると、記憶を引き出せなくなるらしい。葵ちゃんの場合も、記憶のネットワークに問題があるのかもね。これは興味深いなぁ……」


 パパが、目を見開いて私を凝視している。なんか、そういう学説があるらしい。ここはパパの解釈に乗っておこう。ご都合主義バンザイ!


「また、会ってくれる、葵ちゃん?」

「はい、よろこんで!」


 即答しちゃった。居酒屋みたいなテンションで! もう少し悩もう、私。


「よかった。俺、こんなに自分と価値観が同じ女の子と会ったの初めてでさ、絶対に仲良くならなきゃって、思ったんだ。葵ちゃんは他人じゃない。運命の人っていうか、そんな気がするんだ」


 他人じゃないっていうのは正解。父親と娘だよ。身体が別人だからアレだけど、精神的には間違いなく親子。私、あなたの未来の娘なの……。

 でも、今の私はパパにとって「自分と感性や価値観が100%シンクロする美少女」。うん……美少女で合ってる? 合ってるよね? 


 人って、感性や価値観が近い人を好きになるもの。パパは私にホレちゃった可能性が高いと思われる。

 やったー、見事に両想い。カップル成立だ……って、素直に喜んでる場合じゃないの! というか、なっちゃダメなの、ダメなのよ……。


 車がタイムスリップして過去に行くSF映画、見たことある? 1980年代にヒットした映画。アレよアレ! 今の私・葵がパパと仲良くなって、ママとパパが結婚しなかったら、未来の私・碧唯が消滅しちゃうんだよ!


 困った、困った、どうしよう?

 はぁ……もうどうなってもいいや……ってよくなーい! よくないぞー! 


筆者からの、お願い


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