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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行で働け


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25ー7 パートさん募集! 勤務地・歌舞伎町

友達を紹介すると報奨金が出る仕組み。

夜の店では、普通にあったんですよね……。

「社長、人妻を募集しましょう」

「……もう一度、言ってくれないか、アオイくん」


 朝一で会社。社長にコーヒーを淹(い)れたついでに、提案してみた。カップを持ったまま、社長が固まっている。まあ、意味はわからないよね。


「人手不足対策です」

「だから、それが、なんで人妻なんだ?」

「表現を改めましょう、10代、20代の若い独身女性だけでなく、30代、40代の大人女性まで採用の幅を広げましょう」

「おいおい、キャバクラで俺より年上に出てこられたらイヤだぞ……」


 そういえば社長はアラフォーだったね。意外と若いというべきか、老けているというべきか……。


「社長、60歳から見たら40歳は年下です」

「そりゃ、そうだがな。まあ……30代、40代を採用するのはいいとしてだ。主婦だと結婚していて旦那もいる。家庭に影響が出るんじゃないか? 世間体の問題もあるだろう?」

「それは働く人が考えることです。私たちが心配することじゃないと思います」

「アオイくんは、そのへんドライだな……」


 たしかに私は、そのあたりがドライだ。自覚はある。キレイ事じゃ借金を返せなかったからね。この身は、とっくに修羅の道よ……って、どこのVシネマよ。


「でも、働きたいっていう需要もあると思うんです。社長、ウチのパートさんの時給、いくら払ってます?」

「950円から1000円だ」

「ウチの体験入店なら、同じ時間で3倍は稼げます」

「そうなるよなぁ……」


 おっ、社長の態度が柔らかくなった。手ごたえアリだね。


「若い専門学校生が、仕事探しで苦労しているんです。30代、40代なんて、もっと大変だと思います。そんな女性たちに、働く場所を提供すると思ってください。考えようによっては、良いことですよ!」

「良いことか……。まあ、そうだよな。今はパートを探すのも大変だもんな。わかった、30代、40代を採用していくことにしよう」

「ありがとうございます」


 よし、まず第一関門は突破だ。


「それで、お願いがあるんですが、ウチの会社で働いているパートさんに、お友達を紹介してもらえないでしょうか?」

「はぁ?」

「チラシを作ってあります」


 徹夜で考えた昔話……じゃなくて、徹夜で作ったチラシを出した。『時給3000円+出来高(昇給あり)。制服貸与。午前11時から夜12時の3時間以上。週1日から、好きな時間にシフトを組めま』。ポップな感じに仕上げてみた。


「用意がいいな」

「急ぎで必要でしたので」

「これを配るのか?」

「お友達を一人紹介で、5000円。入店したら、さらに5000円を払いましょう」

「友達を金で売らせるのか。鬼だな、アオイくんは」

「社長の薫陶を受けておりますから……」

 

 とにかく社長の許可をもらえた。


「社長、これ、さっそくパートさんに頼んでもいいですか?」

「おお……だったら、そいつは俺から各店長に頼むのが早いな。FAXの文面を作るから、ちょっと待っててくれ」


 私は「OK出たよ」って、徳井さんにメールを送っておこう。この案は、徳井さんが担当だもんね。徳井さんなら、うまいことやってくれると思う。


「おーし、今プリントしたから……これを、さっきのチラシといっしょにFAXしてくれ」


 ガチャ、シュー……。プリンターから紙が出てきた。私の説明が、文面にまとめてある。社長は、こういうのが上手いなぁ……。


「下の店は、直接行ったほうが早いから、送らなくていいぞ」

「は~い」


 ピポパポピポ……。吉祥寺、中野、高円寺の店舗にFAXを送る。


「アオイくん、そのチラシを何枚かコピーしてくれ」

「はい。どうするんですか?」

「これから下の店に行く。コピー、持ってきて」

「ああっ、はい!」

 

 大急ぎでコピーをして、社長を追いかけた。も〜っ! 思いつきで動くんだから……。


「お~い、店長は居るか」


 ウチの会社が入っているビル。1階は雑貨店だ。社長は、ズカズカと入っていく。


「騒がしいと思ったら社長かね?」


 目つきの鋭い女性が、奥から出てきた。お察しの通り、郷田一族だ。たしか、社長の従姉だったかな? 


「おお、店長、ちょっと頼みがあってなぁ。アオイくん、チラシを……」

「は……はい」


 コピーしたチラシを、社長に渡した。そこから社長は一枚抜いて、店長に見せる。


「ここを見てくれ、ここを」

「なになに……お友達紹介キャンペーン? 紹介したら5000円、入店したらさらに5000円。これ、なによ?」

「弟の店で働く女を紹介してくれたら、金を払う。まあ、ちょっとした小遣い稼ぎだな」

「ロクでもないことを考えるねぇ……」


 店長は、あきれたように社長を見た。困った社長は……私を見る。私に話を振らないでよ。まったく、仕方ないなぁ。


「すみません、私が考えました」

「あら、アオイちゃんが考えたの?」

「私が考えたというよりも、前からある仕組みなんです。友人紹介料とでも言うんでしょうか? 私が以前、居た店にもありました」


 たしか『ハッスルガール』にも『ZUNDA』にもあったのよ。だから徳井さんには、すぐ話が通じたのね。ウチの店にはなかったけれど、たぶん珍しい制度じゃないと思う。


「ウチの会社は水商売じゃない、普通の店もやっています。そこで働いてる人にも、友達や知り合いがいるワケです。そこで紹介してもらったら、これまで集められなかったような人たちが、集められるんじゃないか……って」

「へ〜っ、感心したわ。よく考えているわね。これ……私が紹介しても、お金はもらえるの?」

「はい。出してもらいます。いいですよね、社長!」

「お、おお……」


 社長が頷(うなず)いている。なんかモメたら、あとで兄弟ゲンカをしてちょうだい。私を巻き込まない程度に、お願いね。


「これは一人捕まえたら、芋づる式に増えるわよ。しょせん、女なんて友達よりもお金だからね。悪いこと考えるわね、アオイちゃん」

「社長にも言われました」

「でしょうねぇ。フフフッ……」


 店長が笑った。笑うと顔が社長に似てくる。すごいな、郷田一族って。


「アオイちゃん、何歳だっけ?」

「21歳です」

「そっかぁ……。せめて30歳くらいだったらねぇ」


 30歳だったら……なんだろう? 気になるよ。


「健坊のお(・)も(・)り(・)。大変だと思うけど、見捨てないでね、アオイちゃん」

「おいおい、俺をガキみたいに言わないでくれよ」


 社長も従姉(ねえ)さんには頭が上がらない。見た目は大人、中身は子供の逆・名探偵だもんね、健坊は!


筆者からの、お願い


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