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令和のオタク女子大生が西暦2000年に転生したら借金少女だったので歌舞伎町で働きます  作者: 昼夜兼行で働け


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23-1 ドライブだGO!GO!~春の房総半島~前編

バキさんとデートをする話です。

 久しぶりの休み。しかも日曜日。日曜に休みなんて、まるで普通の社会人みたいだね。

 そして、今日はデート。バキさんとデートなのよ。空は快晴。絶好のデート日和だね。


 新宿西口、スバルビル前。令和の時代だと、謎の網目模様のビルが建っている場所だ。

 待ち合わせは、ここなんだけどなぁ……。


 ブロロロロ……!


 車がやってきた。

 白と黒のツートンカラー。こ……この車はっ!?

 ゆっくりと徐行して、私の前で停車した。


「おまたせでござる」


 ドアが開いて、バキさんが出てきた。


「優勝!」

「趣味の車でござるから、引かれぬかと心配でござった。気に入っていただけて良かったでござる」

「いや、この車なら、みんな好きでしょ!」

「ありがたい言葉でござるな。さっさっ……乗ってくだされ」


 助手席に乗り込んで、シートベルトを締める。


「よろしくお願いします」

「では、出発するでござる」


 車が動き出した。軽快なエンジン音が高層ビルの街並を抜けていく。


「今日は、どこに行くんですか?」

「一足早い春を見に行くでござる」


 都庁を回り込んで首都高に入った。思ったよりも混んでいない。スムーズに車が流れている。となれば、車内はアニソン大会になるよね?

 車自体は古いんだけど、オーディオはCDとMDが両方使える最新タイプに付け替えてある。MDのバキさんのセレクトが素晴らしいのよ。


「カラオケで時代劇の歌ばかりだから、アニソン聴かないのかと思ってました」

「最近のアニソンは難しくて歌えぬでござるからなぁ。でも、聴くほうは好きでござるよ」

「それは私も同じですよ……」


 そうだよね……私だって歌うだけなら昭和のアニソンくらいが、歌いやすいもん。


「そろそろレインボーブリッジでござる」

「レインボーブリッジ!」


 予想以上に空いていた首都高を快走して、車はレインボーブリッジに差しかかっていた。令和の時代も含めて、レインボーブリッジを車で通るのは初めてだ。

 ループ線でいいの? 坂道になっているカーブを車が上っていく。


「海の上に出ましたぞ」

「うわぁ……」


 車の正面、左右につり橋の高い柱。その間に青空が広がっている。


「初めて乗りました」

「このあと、もっと長い橋を渡りますぞ」

「ほんと? 楽しみぃ!」


 なんか、あっという間にレインボーブリッジを渡りきってしまった。車は右折して湾岸線へ。窓からフジテレビが見える。トンネルに入ったり出たりで、気が付いたら東京湾アクアライン。私、こっちも初めてなのよ。アクアライン初体験。初体験(意味深)だから!


「浮島ジャンクションでござる。これからトンネルでござるよ」

「うゎぁ……」


 車はアクアライントンネルに侵入していく。周りが暗くなった。車の左右斜め上、等間隔に並ぶライトが近づいてきては後ろに流れていく。

 右側の車線を軽自動車が追い抜いていった。こんな車だけど、バキさんは安全運転だ。そういうところは信頼できる。


 5〜6分走ったかな? 前のほうに光が見えてきた。


「海ほたるは混んでいるようでござる。寄りませぬがよいでござるか?」

「うん、いいよ」


 海ほたるはアクアラインの中間地点にあるパーキングエリア。東京湾に浮かぶ人工島として人気の観光スポットだ。令和の時代では混雑することで有名なんだけど、2003年でも混雑しているのは変わらないのね……。


 そんなことを考えていたらトンネルの出口だ。

 いきなり空が広がった。登り坂になっているから、目の前が青空なのよ!


「空が青い……」

「晴れでよかったでござる」


 レインボーブリッジは吊り橋だったから横に柱みたいなものが建っていたけど、アクアブリッジは視界を遮るものがない。地平線、水平線、青空。海の上というより、空の上を飛んでいる感じがした。モビルスーツパイロットってこんな感じなのかな?


「陸地まで4キロくらいでござる」

「ほんとだ、先のほうに陸地が見える」


 周りの海より少し盛り上がった影。ゆっくり近づいてくる。少しずつ建物みたいなものも見えてきた。料金所が近づいてくる。がら空きのETCレーンをバキさんカーは通過する。今(2003年)だと、まだETCを使っているのは少数派みたいだけど、そこはIT社長だねぇ〜。

 料金所を抜けて、さらに高速道路を走ると、また料金所。高速道路を下りて国道に入った。木更津南インターを出たら、丘陵地帯を切り開いたような道になった。両側に木々が見える。さっきまで海の上だったから、ギャップが大きい。


「ここからは下道でござる」

「バキさんも運転疲れたでしょ、少し休憩します?」

「そうでござるなぁ……」


 君津に入った。君津の湯? 大きな看板と広い駐車場が見えたので、そこで休憩だ。私は助手席に乗っているだけだけど、バキさんは運転しているからね。1時間に1回くらい休憩したほうがいいと思う。


 とりあえず私も飲み物を買おう。バキさんにも……お茶でいいかな? 2本買った。


 車に戻ると、まだバキさんは来ていなかった。周囲を見回す。ロードサイドに店がポツポツと並んでいる。地方都市あるあるだけど、この国道沿いも令和の時代だと店がいっぱい並んでにぎやかになるんだろうね。


「お待たせでござる」

「はい、お茶」

「おおぉ、これは。かたじけない」

 

 バキさんにお茶を渡した。再び車は国道へ。少し走ると道路が片側一車線ずつになった。ところどころ歩道がない。道路も狭くなった気がする。本当に国道なのかな?


「右のほう、海が見えて来るでござるよ」

「あっ、本当だ!」


 山の中を抜けたと思ったら海だ。なんか、景色の変化がおもしろい。


「どこまで行くんですか?」

「房総半島の先っぽでござる」

「じゃあ、ちーばくんの足の部分だね」

「ちーばくん……でござるか?」


 あっ……チーバくんって、2003年だと存在しないんだっけ? 


「えーと、ほら、千葉県の地図を見ると、なんか足みたいに見えるでしょ?」

「おおぉ……たしかに言われてみれば、そうでござるな。その言い方なれば、今日の目的地は足の裏あたりでござるよ」


 セーフ、セーフ……。うまくごまかせたよ。ずいぶん今の時代に慣れたつもりだったけど、油断すると出ちゃうね。気を付けよ〜。


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